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零さんの記憶と意志を受け止めて理解した時に感じた事は違和感だった。
思い出して欲しい
私はいつ、この国のこの世界の言語を学んだ?いつ、自動翻訳機能を手に入れた?零さんはこの世界に来た時、言葉が通じずに辺境の村から王宮に不法入国者として連れてこられていた。それなら、私は何故初めから会話する事ができていたのか、それが初めの綻びでした。
その次に初めて会った時のキースさんの反応だ。まるで零さんは召喚されないと分かっていたかの様な反応だった。零さんではない事に落胆せずにシュラさんに言い聞かせるように怒っていた。その怒り方もあの時のキースさんはまるで私に呼んだ理由をわざと説明するかのようだった。
そして王の間での事。
普通見ず知らずの人間を着の身着のまま王の間に連れていくだろうか?
それも異世界人を、だ。
その後も何度も零さんの記憶に繋がりやすい行動を取っていた。
因みにこの世界に来て初めて食べたあのオムレツモドキは零さんがこの国に来て初めて食べた物だと記憶は言っている。
各国首脳一覧表もそうだ。
無関係な人間に対して見せるものじゃない。
あの時は気づかなかったけど零さんの記憶とすり合わせると敵として戦った事のある国と友好関係を築いていた国のどちらかだった。
ここまで来るともうわざととしか思えない。
たまたまなどと言う言い訳は通じません。
キースさんは何故私を呼んだ?
セシュバルは小国ながら国交は盛んに行われているし弱小国というわけでもない。
だから今更零さんの力が惜しくなった訳ではないのでしょうし…
なら、考えられることは絞られてくる
「…キースさん、貴方はもしかして零さんの使う魔法には副作用がある事に気づいていましたか?」
「使う度に筋力が減るって事か?知ってたさ…あいつは隠してたつもりだろうが」
ーバレバレだ…ー
その声には明かに悲しみ、後悔、怒り、絶望、沢山の感情が込められていた。
その顔に浮かんでいたのは諦めだったが瞳だけは何かに縋って抗っているようだった
「キースさんは零さんは元の世界に戻って行ったと思ったんですか?」
「そんな訳あるか…あいつは、あの時死んじまってる」
「なら、何故…!」
「それでもな!…セシュバルには、セシュバルの国民には零が、あいつが必要だ……いや、必要だった」
まるで懺悔するかの様に始めの勢いは消え衰え、弱々しく言葉を吐き出す。
その場に膝を付き、項垂れた
「失敗してもかまわねぇと思ってた。零が死んだ事を知ってんのは俺と零直属の部下…いや、仲間か…くらいだったがどうしても言えなかったんだ。シュラやリザイヤに、城の仲間にも、な…言っちまったらあいつらはきっと泣いちまうだろう?」
「それは言わなくても変わりません。零さんが死んだと聞かされず生きていると信じ続けても涙は出ます。当たり前です。大切な人が生死不明で行方も分からないんですから。そんなの、まだはっきり言ってもらうほうがマシです…!」
「…嬢ちゃん、お前に何が分かるんだ?零と過ごしてきたのは俺たちだ。嬢ちゃんは零の記憶を覗いただけで共有はしてねぇ。それなのになんで零じゃなくてお前が言うんだ!体験してねぇお前が…!」
「なら…聞かせて下さい」
「……」
「共有していない人を呼んでどうするつもりだったんですか?」
「………さっきも言っただろぅ……………失敗してよかった、いや、失敗するべきだった、失敗しないといけなかった…まぁ、この場合は成功じゃなく、ある意味では失敗だな」
「…答えになってません貴方は私に何を求めて居るんですか!何の為に召喚用の魔法陣を書き換えたんですか」
キースさんは失敗していいと言ってますが矛盾しています。自動翻訳の補助魔法を既に完成した術式に組み込むのはとても難しいことだから、失敗していいなら、誰もそんなことはしない筈なんです。
「…………後継者作りだ…本当はもっと馴染んでからにする予定だったんだけどな」
「…後継者、ですか?」
セシュバルにはシュラさんが居ますしそんなにも急いで召喚しなくても良かったはずなんですが…
「あー、言い方がややこしいか…シュラ、いや、この際誰でも良いが、結婚してくれ」
「………………は?」
凄く真面目な顔して膝を付いたまま頭を下げる。すると自然と土下座の形に…て、え?
何言ってるんですか?この人は
「頼む!もうこの国の跡取りはお前にかかってるんだ!」
「………はぁ?」
誰か、説明下さい。
この世界は説明が無さすぎます
ありがとうございました(´∇`)
次回、主人公の作戦発表




