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「あーあー…やっぱり騒ぎになってるっすね…凛様」

「予想通りですし、さっき話した通りに動いて下さいよ?」


これに失敗するともう凛としても零としても生きていけないので


二人で不可視の魔法を纏い訓練場に向かう。

その最中、廊下の隅で真っ青になって座り込んでいるリズさんとリザイヤさんを見つけました。

正確に表すならば座り込んでしまっているリザイヤさんの膝の上でリズさんが何か話をしている、といった所ですね


「…ロウディオ、紙持ってますか?」

「へ?紙っすか?いや、持ってな-」

「探してきて下さい」

「……はいっす」


ロウディオが渋々、といった様子でその場から離れて行くのを見届けたあと、

そっとリザイヤさん達に近づき腰を下ろした


いえ、別に心配だけどロウディオに見られたくない、とかじゃないんですよ?

紙が必要なのは事実ですし


…少々二人には可愛そうですがこの後もっと青くなって貰うんですよね……過去(昔)にされた事した事を思い出して複雑ですが…

泣かれる事も覚悟しましょうか


…いえ、既に泣かせてしまってますね


そっと赤くなった目元に手を伸ばしかけたが今はまだ見つかるわけには行かないためゆっくりと手を下ろす


作戦が始まったら二人は前を向いて行動するでしょうね…いや、それはきっと私が望んでいるだけでしょう


ふと、二人を見ながらロウディオを待っている時間が惜しくなってきた。


今私が居るのは訓練場に向かう道。

途中兵士達の部屋があるがそれはまだまだ先の方だ。ロウディオは恐らくここから一番近いシュラの執務室に向かって居るだろうがここは腐っても王宮。王城。それはとてつもない広さに加え魔法で別の場所に飛ばされたり落とし穴があったりと楽しい仕掛け(罠)が沢山ある。


元は自分で設計したがキースやシュラ、リザイヤ達に言われて隙を無くした結果がこれだ

お陰で不審者ほいほいとして他国では有名だと帰る前に聞かされた事があった


と、まぁ、そんな訳でここから執務室に行くにはかなりの時間を要する事になる

…有事の際はどうするか決めてなかったなぁ

誰かと会う前に罠と出会うだろうし…

出会ったら終わりな物が多かったからなぁ…


ざっと見積もって15分程だろう。

そのあいだでも出来ることは沢山ある。

紙を取りに行くには誰かに化けて行かなければならない。何故ならこの世界ではまだ紙は高級品で専用の管理者がいるくらいだからだ

紙を使うにはその人から直接貰わなければならないしな

だから自分を見えなくしたところで紙を手に入れることは不可能というわけだ。

だから、ロウディオに行ってもらった



ただ、それだけだ




そこからは姿を見えなくしてはいるが徹底的に気配を消していった

二人とはまた会える。

ならば先にするべき事があるだろう

立って、歩いて、前を向け。自分で選んだ道だ


そこに着くまでに僕が立てた音はゼロ。

ただ、勘がいいものは少しの空気のズレで気づくかもしれないな

だが、気づかれた方が都合は良いから無視しておく


闘技場(・・・)にはシュラがいた。

作戦実行は訓練場だ。

だけど、シュラの姿を見ておきたかった。

間違いで呼ばれた凛としてじゃなく、零として、しっかりと。


シュラは一人で剣を振っていた。

多分、何かが起こると気づいてるんだろうな

訓練場でやらないのはきっとまだ誰かに見られるのを嫌っているからだろう。

だけど、守れないのはもっと嫌だから努力を続けているんだろうな



変わってない。



あの時から変わってない



だけど僕《私》は変わってしまっている



ゆっくりと踵を返す。

大丈夫。僕はもう、安心した。

だから、後はのんびりと隣の訓練場でロウディオを待とうじゃないか


いつ来るかは分からない



来たら、それが合図になる。




…あぁ、そうだ、あの時も待っていたんだ



あの人を





届かなかった合図を










次から過去編に入る予定です

最近、ジャンルを恋愛からファンタジーに変えるべきか悩んでます…

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