↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/38

4 日常を変えるもの

学園に戻ると、瑞花(ずいか)ユキ先生が校門の前で待ち構えていた。

「うっげっ!」

蘭子(らんこ)が、弾かれたように椿(つばき)の背後に隠れた。


「みんな、お帰りぃ。怪我した人はいないかな?

 ゆっくり休んで下さいね。

 それから……五十鈴(いすず)さん」

「……はい……なんでしょうか」

「見ましたよ、この目ではっきりと……大きな穴でしたね。

 道路のど真ん中にぽっかり」


蘭子(らんこ)の武器は神楽鈴。

シャリン コロン ゆらぐ鈴の音。

乱舞する鈴蘭。


大気の澱(おり)がふるい落とされる。

重力を操作できる音色だ。

戦闘の都合上、残念ながら周辺が害を被ることも。


制服の左胸の、イベリスの花の形の校章には、

カメラが内蔵されている。

ユキは学園にいながら、戦闘の模様を観察することができた。


「うぐぐっ……ごめんなさい」

「とはいえ、一般の方を巻き込まず、

 被害があれだけで済んだのは不幸中の幸いでしたね。

 財団の方には私から謝っておきます。

 ……修繕費、いったい幾らかかるのやら」

ユキは深くため息をついた。

どうやったら、財団の経理担当者の小言を回避できるのか。


この時、ユキは自分の視界にしっくりこない感覚があることに気付いた。

クリーム色の制服にまぎれこんだ、一点のブルー。

「そちらは? ……あっ。ど……どなた?」

他の少女たちに気付かれぬくらいの、一瞬の困惑。


「はじめまして。あたし、鞠屋(まりや)・サンライト・アナベルっていいます。

 ここにわたしと同じ能力を持つ娘(こ)たちがいると聞いて、会いたいなって。

 それでここまで来ちゃいました」

藍(あい)が、うれしそうにうなずいている。


「……どちらからいらしたの?」

「生まれたのは日本です。

 けど、ずっと両親の故郷のテキサスで暮らしていました」

「そう、そんな遠くから……ですが、むやみに知らない方を

 校内に入れるのはちょっと……」

「でもこんな時間だもの。

 今から追い返すのはあんまりじゃないかな? ユキ先生」

「藍(あい)くんの言う通りだよ。それに俺たちが一緒なんだ。

 仮に何か企みがあったとしても、そうそう悪さなどさせないさ」

騎士(ないと)も、藍(あい)に賛成の意を表した。


ユキは、またため息をつく。原因は雪のようにふり積もる。

「……しかたないですね。

 念のために身元照会はさせてもらいますが、

 しばらくの間、ここに滞在することを許可します。

 後で私の執務室まで来てください」


小さな小石が投げ込まれた。

静かな水面に波紋を広げるのか、

はたまた歯車がきしみ始めるのか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。