33 モンスター
学園の全ての入り口の前には、
キャンディタフト財団が派遣した部隊が待機していた。
こちらは重装備の、人間部隊。
別の入り口で待機していた隊員から通信が入る。
『隊長! 出撃させたバーリックは全滅、繰り返します出撃したバーリックは全滅。
どうしますか?』
隊長は後ろを振り返った。荷台に乗せた檻が、空っぽの2台のトラック。
そして3台目のトラックを、中に乗せられた人々を見やる。
隊長の部隊の中に、白衣を着た人物がひとりいた。
ここには不釣り合いなその女は、集めたデータを満足そうに眺めている。
「おい、そこのあんた! もういいよな? 我々も中に入るぞ!」
「あなたがたの出番はずっと後ですよ……フフッ。
まずは、彼女たちが降下部隊にどう対処するのか見極めなければ」
「もう十分だ。きっと彼女たちも、もう限界だろう。
われわれはあの少女たちを確保できればそれでいい。
これ以上続けるなら、ただ、いたぶるだけになってしまう!」
「ご冗談を。彼女たちはまだ本領発揮していません。
それにあなたがたが乗り込んだところで、はたして役に立つかどうか……フフッ」
隊長は気付いた。これ以上押し問答をしても、この女の感情を揺り動かすことはできないだろう。
「今、ナイタブエース社の本部から許可が出ました。
第3部隊を出してください。
事前に支給したアンプルを戦闘直前に使用するよう、彼らには伝えてあります。
彼女たちに、肉体の変化する様を見せてあげられますよ。
そうすれば余計に脅威を感じやすくなる。
それにどう対処するか……フフッ、楽しみです」
「冗談だろ! あんな得体のしれない薬物を、生きている人間に使わせるのか?」
「そうだ! そんなの人体実験じゃないか!」
他の隊員たちも口々に抗議する。
バーリックを目の当たりにしたのは初めてだった。
だがそれだけで十分だ。
ナイタブエース社がやってきた人道にもとる研究。
それをわれわれの目の前で繰り広げようというのか。
「得体が知れないだなんて、失礼ですねぇ。
この薬品、『レーズンブロリック』を使えば、
生きたままでバーリックレベルの身体能力になれますよ、フフッ。
彼らは死刑囚。
ただ刑の執行を待つよりも楽しい事があるかもしれない、
そう理解していただきました」
「あんた……」
言葉が続かなかった。バーリックを目のあたりにしてもなお、こう言える。
この女は、いやナイタブエース社がやっていることは、
人間の皮をかぶった人外そのものの行為。
そしてこんなやつらと素知らぬ顔で手を組んでいる
キャンディタフト財団の悪辣さにも虫唾が走る。
「さあ、早く出撃させてください! 彼女たちが出てきてしまいます」
次回は、10月26日月曜日23時更新予定です。




