30 ナイタブエース社とキャンディタフト財団
「ナイタブエース社って?」
「バーリックの原因となった薬の生みの親だよ、蘭子くん」
騎士が、ヤレヤレとばかりに肩をすくめる。
「その通り。そして、ナイタブエース社の裏の事業は、
軍需産業なのは知っているかしら。
ナイタブエース社は人工兵士の開発を始めた。
そのために協力を仰いだのが、キャンディタフト財団だったのよ。
高嶺先生のアンドロイド作りの技術は、
たいそう魅力的だったのでしょうね。
当初は、死体を蘇生させて兵器に転用することを計画していた。
そのために開発された薬品が、レーズンブロリック。
でもその計画は道義的な問題で頓挫した。
そこで目をつけたのが、高嶺先生の技術よ。
ナイタブエース社との提携後、
キャンディタフト財団はアンドロイド作りを加速させた。
幸いにして、現時点では実用化までには至っていないけれど」
香は一息つくと、眉をひそめた。
「もうひとつやっかいなことがあるわ。
表向きは開発を中止したことになっているレーズンブロリック。
肉体疲労回復のための薬品として違法に出回り始めた。
美を求めるセレブや、スリル好きの若者たち。
使用してしまったら、どうなるか容易に想像がつくわね」
ジッと聞いていた椿が腕組みをした。
自身の身体を抱きしめるように。
「そんな……じゃあわたくしたちは、
なんのためにバーリック退治をしていたんですの?」
「データをとるため」
藍が口走る。
皆の視線が藍に集まった。
「藍は知っていたんだ。なんで言ってくれなかったんすか?」
「……ごめん、蘭子。わたしもついさっき知ったの。
ユキ先生が財団の人と話していたのを聞いちゃったんだ。
どう言えばいいかわからなくて。
……ベルがマリヤ機関とかいう組織から来たってことも」
「マリヤ機関? 俺も聞いたことはないな」
「それじゃあ、あの娘も敵と考えるべきかしら?」
「マリヤ機関は、あなたたちを傷付けたりはしない……
ねえ、もう時間がないの。もうじきそこに奴らがくるわ。
キャンディタフト財団が差し向けた部隊が」
「何の冗談かしら? キャンディタフト財団といえば、この学園の上部組織。
わたくしたちの味方ですわ。味方に軍隊を差し向けるなんてことあるわけない」
「裏切り……地球の歴史上いくらでも起きていることだわ。
あなたたちの身にもそれがやって来てしまった。
さあ、あなたたち、仲間同士でいがみあっている場合ではない。
戦いなさい。
そして、いよいよピンチとなったら、思い出して。
『爛漫少女の花道は……』、高嶺先生から
あなたたちへの最後の贈り物……」
突然映像が途切れた。建物全体の停電だった。
次回更新は10月19日月曜日23:00を予定しております。




