17 先生のいぬ間に
「藍、おはよう。どっか行くの?」
「ベルも行くでしょ? メグモプライムショッピングモール」
メグモプライムショッピングモールとは、
ここ、目雲市に最近できたばかりの超大型ショッピングモールだ。
ファッション=Fashion、フード=Food、ファン=Funの
スリーFをコンセプトにオープンした、
地元最大の商業施設だ。
「聞いてないよ! ユキ先生に見つかったら大変でしょ」
「フッフッフッ、幸運なことにユキ先生は、今日は一日中外出なんですぞ」
「そうなの?」
「ユキ先生、今日は指令官殿との面談の日なんだ。
毎月一回、財団まで出かけてる」
「へえぇぇ」
キャンディタフト財団の指令官なら、自分も会ったことがある。
アナベルは、彼女の顔を改めて思い浮かべた。
あの圧力強めな人物と、毎月顔を合わせねばならないなんて、
改めて瑞花ユキの立場を気の毒に思った。
そんなアナベルの心の内を、藍は知るよしもない。
「先生が本部に行くということは、あたしたちはフリーってこと。
だから、9時半に玄関に集合ね!」
メグモプライムショッピングモールは、かなりの賑わいを見せていた。
できたての楽しそうな場所に人が群がるのは自明の理。
建物のほぼ真ん中に位置するのはニコニコ広場、
2階までぶち抜いた八角形の吹き抜けだ。
このニコニコ広場には、1両しかないジェットコースターが設置されている。
上の階までゆっくりと登っていく見晴らしのよい乗り物は、結構なスリルだ。
広場の右手奥には、ベンチと人工の滝があって、
ザァザァと心地よい水音が聞こえていた。
歩き回って疲れた足と心を癒やせる場所。
行き交う人々のザワメキや、各店舗の賑やかなディスプレイ。
そういったものの全てが、少女達にとっては
生命の煌めきそのものだった。
普段の彼女達の生活は、ほぼ学園の中とバーリック出現現場との
行き来に限られているのだから、無理もないだろう。
「わたし、洋服と靴が欲しい。ベルは?」
常日頃、ファッション誌を隅々まで読んで研究している藍が言った。
「わたしも藍と一緒に行く」
「わたくしと蘭子は、水着を見たいと思っていますの」
「椿と蘭子は水着ね。純とナイトは?」
「ボクは帽子が欲しいんだ」
「では俺もご一緒するよ、純くん」
「じゃあ、今からそれぞれ見たいところを回るとして、
2時間後にゲーセンの前で待ち合わせね」




