第8話 初めての戦闘
中学校は地元の公立中学校に入学した。
ママンからは大学の付属中学校に入れば?と勧められたが
「母上、僕の目標は東京大学入学です」と言い、断った。
そうしたら、パパンが中高一貫の進学校を勧めてきたんだけど
「父上、そのような姑息な手段を取らずとも東大に合格して見せます」と言い、断った。
僕は既に高校生の学習内容を独学で終了させたんだぜ。
今は、東大入試の過去問題に取り組んでいるんだぜ。
わざわざ通学時間が長い進学校に通う必要ないじゃん。
さて、学園編の始まりだ。学園編と言えば、まずはクラブ活動だ。
当然のようにサッカー部に入部して---二日目でやめた。
だってさあ、上級生が、
「一年生は雑用係だ。ボールは蹴らせない」とか言うんだぜ。
顧問の先生がそれを黙認するんだぜ。そもそも顧問の先生はサッカーのこと、全く知らないんだぜ。
一日目はがまんしたんだけど、二日目にしごきという名のいじめを受けそうになったから、
「先輩方、ダブルタッチやルーレットもできないのに、偉そうにするのは如何なものでしょうか」と、丁重な暴言を吐いてサッカー部から去っていったんだ。
どうだ、格好いいだろう。
え?大人げない?
---うん、そのとおりだね。
さて、サッカー部をやめた僕は、帰宅部入部が確定した。
体育会系は、もういいや。サッカー部と似たような体質だろうし。
文化系に入ろうかと思ったんだけど---「未来予知」さんが激しく反発。入部したら駄目なんだって。
そうか、僕が文化系のクラブに入部したら、たくさんの女子生徒がその部に入部して大混乱する未来が待っているからなあ。
そうです。
ダメスキルはパッシブでした。アクティブに変えるべく、現在奮闘中です。
いや、これ、本当にシャレにならないよ。
小学生の時は「トールのやつ、女の子にもててうらやましいな」で済んでいたけど、思春期まっただ中になったらばそれじゃ済まないだろう。
下手すりゃ刃傷沙汰になっちゃうよ。
---すみません、フラグを立ててしまいました。
早速、フラグ回収班が出動してきました。
サッカー部の先輩方が、放課後に体育館の裏でお話し合いをしたいそうです。
わかるわ~。先輩方の気持ち。
一年坊主に「おまえらはサッカーが下手くそだと罵られ。
うれしい悲鳴が上がるほどたくさんいたマネージャ希望者が、僕がサッカー部を辞めたと聞いた途端に、全員退部し(呼び出しに来た人から聞いた話です)。
挙げ句に、サッカー部のマドンナから、「何でトール君を退部させたんだ、おまえらはトール君より全然サッカーが下手くそのくせに」と罵られ(これも呼び出し人に聞いた)。
そりゃ、文句の一つも言いたくなるよな。
そのついでに、腹パンのひとつやふたつはしたくなるよな。
そんでもって、退部を撤回させて、サッカー部の奴隷としてこき使いたくなるよな。
よし、必殺技を発動しよう。
必殺技『先生に言いつける』だ! 敵にとっては最も有効な技だぜ。
え、ダメなの?『未来予知』さん、必殺技使っちゃだめなの?呼び出しに応じたほうが「良い」なの?
そうか、それじゃしょうがない。未来予知さんの言うとおりにしよう。
いつも未来予知さんにはお世話になっているからな。主にママンの「今日の晩ご飯、何が食べたい?」攻撃の対応に。
知っている?あれ、何が食べたいか聞いているわけじゃないんだぜ。「さあ、私が作りたいものを答えなさい。ちなみに私は正解を知らないのよ」って聞いているんだぜ。
なお、「どこか行きたいところある?」攻撃も同様に「さあ、私が行きたいところを答えなさい。ちなみに(以下略)」と聞いているんだぜ。
そのような理不尽な攻撃を、共に乗り越えてきた『未来予知』さんを信頼しないはずはないではないか。
体育館の裏には、先輩方が五人と同級生が一人いた。
あれ、もしかすると、これ、この世界での初めての戦闘なんじゃない?
素手の中学生が六人だけか。前の時の初戦闘は武装した盗賊、しかも傭兵崩れ八人が相手だったんだよな。全員やっちまったけどね。
いやあ、やっぱりこの世界の日本は平和だなあ。この世界を選んで良かったよ。涙が出るほどうれしいよ。
「あれ?こいつ泣きそうじゃないのか?」
「泣いたって許さん、少し痛めつけないとな」
「そりゃそうだ」
「顔は殴るなよ、腹だ、腹殴れ」
「前方集団を敵対勢力と認定!」
「は?」
「敵対勢力に警告する!これ以上、僕に近づくな!近づいた場合は、敵対行動が行われたものと見なし、自衛権を発動する!」
「何言ってだ、こいつ」
「交戦規定、クリア!これより敵対勢力を排除する。状況開始!」
先ずは、『身体強化』、そして---
一人目、鳩尾に蹴りをたたき込む。間髪入れず二人目の鳩尾に拳をたたき込む。
二人とも胃の内容物をぶちまけてうずくまる。
三人目、延髄に回し蹴りを叩き込む。四人目、顎を掌底でぶち抜く。
二人とも意識を刈り取られ倒れる。
「う、うわあ~!」
五人目はキャプテン、大ぶりのテレフォンパンチを繰り出してくる。かいくぐって懐に入り、『天崩し』。
ローゼン流格闘術の投げ技。
投げたらば極める。
極めたらば---
「ぐぎゃっ!!」
折る!
これがローゼン流格闘術の流儀である。
六人目、戦意喪失中。敵認定から除外。従って---。
「状況終了」
けがらしいけがをしているのは---キャプテンだけか。
折られた右腕を抱えながら転げ回っている体に足刃をたたき込み!
「ぐふっ」
戦意を完全に喪失させた後、右腕にヒールをかける。
よし、これでけが人もなしだ。
「えっと---クラスのみんなには黙っていて欲しいかな。あ、もちろん先生にもね」
ぶんぶんと頭を何度も縦に振り、同意の意思を示す同級生。
「全員、けがはしていないから保健室に行く必要はないよ。ちょっと休ませれば歩けるようになるから」
同級生、こくんこくん。
「僕はこれで帰るね。じゃあね、また明日」
いやあ、死者なし。負傷者なしで問題解決か。本当に日本(3転世界)は平和でいいよなあ。
明日も投稿します




