第21話 Space Z株式のその後
「アーロンだ、連絡が遅いじゃないか---何! しくじっただと! 襲撃者が行方不明? それでターゲットは?
---わからない? ホテルには戻っていないのか? そうか。それでどうする? 空港に張り込んでいる?そうか、いや、少し待て。
奴らは明日の、いや、今日のダラス発東京行きに搭乗すると言っていた。ダラス空港にも張り込みを---何! ダラスでやるのは無理? 人手が足りないだと?!
何とかしろ! ---ああ、そうだ、強盗にでも見せかければいいだろう!!」
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2022年2月1日
Space Z社から増資に関するプレスリリースが発表された。
事業発展を目的として、新株を発行し、100億ドルの増資を行うという内容であった。
このプレスリリースでは、新株の発行数(発行比率)ならびに新株取得先は明らかにされなかったが、金融業界の一部では、日本の資産管理会社が本株式を取得したとの情報が出回り、関係者を驚かせていた。
2024年12月1日
Space Z社とガイツ財団の共同記者会見が行われ、アーロン・マスクド氏とビル・ガイツ氏本人が記者会見を行なった。
内容は、ガイツ財団がSpace Z社の株式を取得し、アーロン・マスク氏に次ぐ株式保有者になること、ならびに今後もガイツ財団はSpace Z社に対して必要な支援を行なう意向があることが発表された。
記者会見の席上で、ビル・ガイツ氏から、Space Z社の経営は全てアーロン・マスクド氏に委ねる旨を公表し、これがSpace Z社の発展、ひいては 人類の宇宙進出に最も寄与する方法である旨が説明された。
2024年12月10日
テキサス州ブラウンズビルのコンサル会社であるパイオニア・ガバメント・ストイラテジー社を経営するジェイムス・ドノバン氏が銃撃を受けて死亡した。
犯人は逃走中に警官からの銃撃を受け死亡、メキシコ系の不法移民であった。市警察は、強盗目的の襲撃であったと発表した。
2025年1月20日
ドナルド・ドランプ大統領就任。
就任初日に大統領令を26件発し、関連する大統領措置を合計46件実施したが、その中に、「宇宙産業を営む非公開会社における外国資本の原則禁止」があった。
内容は、国防上の理由から、宇宙産業を営む非公開会社における外国資本は原則禁止すること、商務省と国防総省の承認があれば例外として認めること、
既に資本参加をしている場合であっても、商務省と国防総省の承認が必要であり、この承認が得られない場合には、商務省が査定した金額で米国政府が買上げるというものであった。
この大統領令にサウジアラビア政府が激しく反発、ムハンマド皇太子自らが、ドランプ大統領に撤回をせまった。
同年2月25日、わずか1ケ月でこの大統領令は廃された。「DACO(Donald Always Chickens Out)」の典型例とされるものであった。
2026年6月1日
Space Z社株式を店頭公開。
店頭公開に伴い公表された有価証券報告書によれば、Space Z社の筆頭株主はアーロン・マスクド氏であり、マスクド氏が支配する企業等を含めたマスクド氏の実質保有比率は2/3を越えている。
第二位はガイツ財団、約10%
なお、Space Z社のIPO時評価額は、1兆8,000億ドル(270兆円)であった。
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(時は遡り、2024年11月)
「ハロー、トール。元気か」
「やあ、ビル。元気だよ。ここにユメもいるよ」
「こんにちは、ビル。ご機嫌はいかが?」
「とてもいいよ、例の件、いよいよ実行に移すことができるからな」
「それは良い知らせだ! 株式譲渡制限について、クリアしたということなのかい」
「ああ、アーロンの確約を得た。あのコンサル会社について探ったところ、結構ボロが出てきてね、
アーロンに少しだけ知らせてやったら、あいつ、顔色を真っ青にしていたぜ。
そんなこんなで、Space Z社の取締役会承認は問題ない」
「手間をかけたな、ありがとう」
「いや、もともと君から得たネタだからな」
「それで手続きのほうは?」
「ああ、今月のSpace Z社取締役会での株式譲渡承認が通知され次第、金を振り込むよ。金額は800億ドル(約11兆4,400億円)でいいな」
「ああ、ありがたいのだが、僕らの取り分が多すぎないか?」
「おいおい、前にも説明しただろう。
来年か再来年の早い時期にSpace Zは上場されるはずだ。その時の評価額は堅く見ても1兆5000億ドルを下回ることはない。
君の保有比率は10%だから1,500億ドルの株式価値。君が投資した100億ドルを差引いて1,400億ドルの儲け。
この1,400億ドルを折半しようというんだ。むしろこっちの利益が大きすぎるくらいだ」
「すまない。では、そうさせていただくよ」
「こちらこそ。それにだ、私はあのMAGA野郎に一泡吹かせてやりたかったんだ。あいつのことだ。何か企んでいたのだろう」
「おそらくはな。内容までは把握していないが。それで、ビル。Space Z社の株式はなるべく早いうちに手放すことをお勧めするんだが」
「それについても問題ない。アラブの王族に売りつける算段を既にしているよ」
「それを聞いて安心したよ」
「それじゃあな、トール、ユメ。また何か面白そうな話があったらば声をかけてくれ」
「ああ、そうさせてもらうよ。ビル、今回のことについては、本当に感謝している。改めて礼を言わせてもらう」
「いいってことよ。それじゃあな、またいつか会おう」
人名については、ゲをガに、トをドに変えていますので、脳内変換をお願いします。
ビル、そしてドナルド、君たちがこの小説を読んでいたらば(以下略)




