第2話 上司との面談
少し短いので、第2話 第3話を続けて投稿します
リリアナは、小会議室の前で、ふっ、とため息をつく。
今日は上司との個人面談の日だ。
「失礼します」ドアをノックした上で声をかける。
「どうぞ」
入室の許可が出たのでドアを開ける。
定員四人の小部屋に上司が座っている。
「どうぞ、そちらに座ってください」
「失礼します」
一礼をした後、テーブルを挟んだ向かい側の椅子にリリアナは座る。
「リリアナさん、ご苦労さまです。あ、そんなに緊張しないで下さいね。
どうですか、最近の調子は」
「はい、がんばっています」
「そうだね、前々回の第一目標がA評価、前回の第一目標がS評価だ。この調子でいけば昇格もあるかもしれないな」
「あ、ありがとうございます」
「さて、今日の面談は今年度の目標に設定した内容についてのヒアリングです」
「はい」
「では、早速ですが始めます。先ず、第一目標について、その内容要旨を教えてください」
「はい、第一目標は『トールによる地球世界の改革』です」
「なるほど。トールを地球世界にぶつけてきたのか。
確かに、地球世界は問題があるな。念願の宇宙進出について、わずかな進展があったとはいえまだまだ遅々としている。
気候変動の問題は悪化するばかり。紛争も治まるどころか拡大している。特に核保有国による侵略行為が数カ所で起きていることは由々しき事態だ。
挙げ句の果てにポピュリズムの横行、これを放っておくとえらいことになるぞ」
「も、申し訳ありません」
担当世界にダメ出しをされ、早くも涙目になるリリアナ。
「まあ、問題があることを認識していることは良しとしよう。それで、どこの地域に送り込むんだ?」
「日本です」
「日本?アメリカではないのか?あるいは発展が著しい中国では?」
「アメリカは富裕層に転生すれば問題はないのですが、貧困層に転生した場合目も当てられません」
トールの発言の受け売りです。
「中国でも同様の問題があります。さらに、中国の政治形態は、トールの政治理念とは異なるところがありますので」
「ふむ、『民主主義は民が政治責任を負うことができる唯一の政体である』ってやつか。少し転生者を甘やかしていると思うが---まあ、良しとしよう」
「ありがとうございます」
「転生させる時代は?」
「現代、西暦1998年7月です」
「西暦1998年?もう少し前に転生させるべきだったと思うが」
「いえ---1998年への転生で、地球社会の軌道修正は十分に可能であると判断いたしました」
根拠はない。トールが「シャワートイレがないから嫌だ」と言ったからだということは絶対に言えない。
「むう、まあ、担当者である君がそう判断したのならば、その判断を信じるか」
さて、賢明なる皆さんは既にお気づきであろう。
ボーナスステージであっても、転生する世界、地域、時代については担当神が決定すべき事項であることを。
この重要な決定事項をリリアナは転生者に一任してしまったのである。
一任した理由は、考えるのがメンドーだったから。
まさにリリアナのリリアナたる行いである。
「そう言えば、トールは前回S級評価、今回はボーナスステージだな」
「---はい」
「特殊スキルは何を与えた?」
なんと!特殊スキルも担当神が決定する事項であったのか。
「ん?どうした、気分でも悪いのか」
顔面を蒼白にし、脂汗を流しているリリアナを上司が気遣う。
「いえ---大丈夫です」
「そうか、それで、特殊スキルは?」
「---一つ目は未来予知です」
「なるほど、現代の地球社会に魔術系のスキルは不要だからな。極めて妥当な選択だ。それで二つ目は何だ?」
「にょたいせいふく」(小声)
「は?」
「女体征服です!」
「てめえ!何考えているんだ!!」




