第18話 襲撃
本日は、2話投稿します
ブラウンズビル郊外のレストラン。
個室で仮契約書を取り交わした後、その場で食事会となった。
こちらは、僕、ユメ、駐在員さん。向こうはマスクド氏、秘書氏。計五人。
「トールさん、これから君のことをトールと呼ばせてくれないか。私のことはアーロンと呼んで欲しい」
「光栄です。それでは、そうさせていただきます、アーロン」
あれほどユメに執着していたマスクド氏は、なぜかユメとは会話をせず、僕との会話を行っている。
ナンカアヤシイナ。
「トール、君たちの明日の予定は?」
「ブラウンヒルズ9:30の便でダラスへ。ダラス発13:00の便で東京へ帰ります」
未来予知さんが、そうしろって言っていたからね。
「おいおい、すぐに日本に帰るのかい。それは無いだろう。観光をしろとは言わないが、我が社の施設を見学していきたまえ。
君は我が社の10分の1の出資者、私に次ぐ第2位の株主になるのだからな」
「申し訳ありません、東京での予定が入っていまして。日本のことわざで『貧乏暇なし』というものがあるのですがまさにその状態でして」
「ははは、日本人もジョークが上手くなったな。君が貧乏だというのであれば、世界中のほとんどの人が大貧民だ」
「いや、資産のほとんどを貴社につぎ込むので、手元資金が枯渇しているんですよ。それに、僕は貴社の経営に関与するつもりはない。
Space Zは、アーロン、あなたにお任せします。従って、僕が貴社を見学することは無意味です」
「ふむ、そこまで言われると仕方ないか。まあ、今度来るときにはゆっくりとしてくれ。そうだ、その時には私のビジネスジェットをお貸ししよう」
「ありがとうございます」
「それでは、せめて今夜はゆっくり過ごしてくれ。このレストランは良いワインが置いてあることで有名なんだ」
いやあ、マスクド氏が僕にワインを勧めること勧めること。
一本何十万円(ひょっとして100万円以上?)のワインをポンポンと抜き、
「さあ、今度はこちらのワインを試してくれ。どうだ、味の違いがわかるだろう」とか言ってくるんだ。
未来予知さんに、「まだ、飲まなきゃだめ?」と聞くと、消極的賛成(まあ、できれば飲んだ方がいいかなあ)と答えるので、
いやあ、さすがにブルゴーニュの赤はおいしいですね。この渋みがなんとも言えません、などと訳のわからないことを言いながらマスクド氏が勧めるまま、ワインを飲んだ。
22時になった時に食事会は終了。僕は駐在員さんの車に乗るときには、駐在員さんに支えられなければ乗れないほどの泥酔状態になっていた。
「トールさん、大丈夫ですか?」
「らいじょうぶぢゃないれす、しゅっぱつしてくらはい」
マスクド氏、秘書氏に見送られながら出発。
「ゆめ、おねらいしやす」
「ん」
ユメ、キュアを発動。
僕のステータス、「状態異常:泥酔」から「状態正常」へ。
「駐在員さん、ちょっと嫌な予感がします。慎重に運転してください。あと、少しでも変に感じることがあったらば言ってください」
「え?トールさん、酔っていないんですか? あれ、演技だったんですか」
「---まあ、そんなところです。とにかく慎重に。異常があれば早めに知らせてください」
「わかりました」
周りには何も無い、対向車線を通る車も全くない道をしばらく走っていると---
「何だ?あの車は?」
駐在員さんはちらっとバックミラーを見てつぶやく。おいでなすったな。
「ユメ、身体強化!」
「ん!」
後続の車は、ものすごいスピードで僕らの車を追い抜くと、急ブレーキ。
「危ない!」駐在員さんも急ブレーキ。前が塞がれた。
さらにその後ろから車が来た。後ろも塞がれた。
「ユメ、状況開始!」
「ん!」
僕とユメは素早く車から降りる。
後方の車の後部座席から男が二人降りようとしている。片手には銃を持っている。
僕はそのうちの一人に駆け寄り首筋に手刀、意識を刈り取る。
その間に、ユメはもう一人の股間に蹴りを入れる。相手は悶絶。あれ、絶対に潰れていると思う。
前席の二人。まだ座席に座ったままだ。シートベルトをしていない。
試しにドアを開けてみるとすんなりと空いた。ロックは解除されているようだ。
運転席側の男を引きずり出し、顎に膝蹴り、意識を刈り取る。
ユメも同様に、助手席側の男を引きずり出し、顎に膝蹴り。こちらも意識なし。
「Freeze!」
前方の車から降りた男二人が銃らしきものを構えながらこちらに走ってくる。甘い!
「(ストーンパレット!)(ストーンパレット!)」
無詠唱のストーンパレットが二人の眉間を貫く。だめだよ。銃を抜いたらばまずは撃たなきゃ。
「危ない!車の中で伏せて!!耳を塞いで!!」
車から出てこようとする駐在員さんに『威圧』を込めて警告を発する。
駐在員さんは、素直に言われたとおりにしている。う~ん、耳を塞ぐという行動に疑問は生じないのか?
さて、尋問のお時間です。できれば早めに終了したいなあ。
少し短いのですが、キリがいいのでここから先は次話にしました




