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3転!(2度目の転生に関する報告書 続編)  作者: トール


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17/22

第17話 マスクド氏との面談

2022年1月 総資産1兆2400億円(108億ドル)。


「ユメ、moonbaseに行くよ」

「ん、わかった」


僕らが向かったのは、アメリカ・テキサス州ムーンベース。Space Zの本社だ。

成田からダラスを経由し、ブラウンズビルへ。

ブラウンズビル空港で、証券会社の米国駐在員と落ち合い、駐在員さんのレンタカーでSpace Z本社へ。

そこで待ち受けていたのは---

「やあ、初めましてだね、トールさん。お噂はかねがね聞いていますよ」

「お会いできまして光栄です、マスクドさん。あらためまして、トールと申します」


アーロン・マスクド氏。Space Zの創設者、CEO(最高経営責任者)、そしてチーフエンジニアでもある。

証券会社のコネクションをたどり、何とかこの面談を実施することができた。


「こちら、共同出資者であり、僕の婚約者でもあるユメです」

「香取 夢と申します。お会いできましたこと、大変うれしく存じます」

「これはお美しい婚約者殿だ。トールさんがうらやましい」

ユメとマスクド氏は握手を交わす。マスクドさん、ちょっと、握手の時間長くない? そろそろユメの手を離してくれないかなあ。

まあ、しかたないか。だって、ユメはダメスキル(男体征服)改め神スキル発動中だもんね。全開ではなく10%程度の発動だけど。


「さて、お互いに忙しい身だ。早速だが、用件を伺おう」

ようやくユメの手を離したマスクド氏が僕に尋ねる。

「それについては、私から」

今回の交渉は全てユメが行うことにしている。未来予知さんの命令だ。交渉シナリオも未来予知さんのチェック済みだよ。

「おお、ユメ。それは願ってもないことだ」

おいおい、いきなりファーストネーム呼びかよ。


「私どもトール商会は、Space Zに出資をしたい。出資額は100億ドル(1兆1500億円)」

「---目的、狙いを聞こうか」

「今から言うことを信じるかどうかは、あなたの自由。

 私たちは神から使命を受けた。あなたの神と同じ神かどうかは知らないけど」

多分違うと思います。マスクドさんの神(キリスト教)は唯一神・絶対神で、こっちは多神だもん。

神様が査定会議で槍玉にあげられたり、コンプライアンス委員会で降格されたりすると聞いたら、マスクドさんはビックリしちゃうよ。

まあ、僕もビックリしたんだけどさ。


「私たちに与えられた使命は四つ。

 宇宙進出の加速、CO2削減、国際紛争の鎮静化、ポピュリズム台頭の抑止」

「それは---大変な使命だ」

「全てに取り組む必要はないと、神から言われた。だからSpace Zに出資する。宇宙進出を加速するために」

「---あなたは、いや、あなたがたは神に会ったのか」

「会ったことはない。会話をしただけ。私はこの世に生まれたことへの感謝をしただけ」


そう、スマホでね。

あれ? ユメはリリアナさん(ダ女神)と会ったって言ってたよね? 会ってるじゃん! 私と会ってるじゃん! と、リリアナさんが騒ぐ声が脳内で再生される。

うん、ユメはリリアナさんを神として認めていないんだね。まあ、僕も同じ意見だけど。


「---少し待ってくれ」

マスクドさんは、傍らにいる秘書さんと何やら打ち合わせ。

「---ユメ、お待たせした。申し訳ないが、どうしても外せない打ち合わせがあってね。

 今晩のディナーにお誘いしたい。ああ、もちろんトールさんとそこの方(駐在員さん)と一緒にだ。そこで、あなた方の出資に関する仮契約を締結したい」

「それでは、出資はご了承いただいたということ?」

「もちろんだ。神の使命とあれば協力させていただこう。それにユメ、僕は君の頼みを断るなんてことはできないよ」

う~ん、効いてるなあ。神スキルが。


「ディナーの時間になったら、ホテルまで迎えに行かせるよ。どこのホテルに宿泊している?」

あれ? 未来予知さんが---

「ディナー○(マル)、ホテル名○、迎え×(バツ)」と、僕は短くユメに伝える。

「マリオットホテル、迎えはいらない。場所と時間を私の携帯(スマホ)に連絡して」

ユメは名刺に携帯番号を書き入れ、マスクド氏に渡す。

「この番号が私の個人携帯」

「おお、ユメの個人携帯番号を教えていただくとは光栄だ。これからちょくちょく連絡させてもらうよ」

ちょくちょく連絡しないでください。あんた、婚約者(僕)が目の前にいることを忘れていない?


僕らは、今晩の再会を約束してSpace Z社を辞去した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(トールの知らないところで)


「ハロー、アーロンだ。済まないが、急ぎの要件があってな。今晩中の案件だ---いや、そこを何とか頼む。通常の倍を払おう---大丈夫、ボディーガードはいない。


 ---そうだ、日本人だ。奴らは平和ボケしているからな---銃はもっていないと思うが、保証はできない。こっちに駐在している奴がいるからな。

 ---ああ、ああ、ウエストエッジストリートのレストラン、知っているな。そこからマリオットまでだ。


 おおよそ22時にレストランを出る。レストランを出るときに、そっちに連絡することは可能だが---、わかった、そうする。それでターゲットだが---」




皆さん既にお気づきのとおり、人物名については「イ」を「ア」に変えて「ド」をつけて、会社名は「X」を「Z」に変えました。みなさんの脳内で変換してお読みいただければ幸いです。

---イーロン、もしも君がこの小説を読んでいたらば伝えておこう。アーロンは君のことじゃないよ。

君に似たパラレルワールドの別人だよ。

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