第14話 担当神とのリモート面談
少し短いので2話投稿します
翌日、僕はユメと会った。
会って何をするかって? そんなもの決まってるでしょう。夫婦が久しぶりに会ったんだよ。今は夫婦じゃないけど。
未来予知さんも大賛成してくれたし!
朝7時、吉祥寺駅の井の頭線改札で集合。
風営法第2条第6項第4号に該当する施設の一室に入る。
イチャコライチャコライチャコラ----
夕方6時、該当する施設から退出。
夕食を共にした後、ユメが吉祥寺駅から出発するバスに乗り込むのを確認して、解散。
その日に決めた二人のルール
・時間に十分な余裕が無いときには会わない。
・該当施設以外では、手をつないだり、腕を組んだりはしない。会話も必要最低限のものとする。
仲が悪くなったわけじゃないよ。交際していることを他人に知られたくないわけでもないよ。
抑えがきかなくなるんだよ。理性がどっかにぶっ飛んじゃうんだよ。
お互いが持っているダメスキルを解放すると、お互いに征服されちゃうんです。
とてもとても良いのです。何回も何回もなのです。気がついたら、十時間以上経過しているのです。
ダメスキルって、こうやって使うんだなあ。いや、ダメスキルじゃない。これからは神スキルと言おう。
人をだめにするスキルではあるけど。
担当神さん、今までダ女神とか言ってごめんなさい。これからは、神スキルを授けてくれたあなたに、毎日感謝の祈りを捧げます。お供え、いりますか?
僕たちは、必要最低限の授業だけに出席し、あとはひたすら該当施設にこもっていた。
受付のおばさんから、「またあんたたちかい」とあきれられてしまったけどね。
そんなある日---
その日は朝6時に吉祥寺駅集合、該当施設に直行。こんな朝っぱらから、とあきれるおばさんを尻目に部屋に入り、イチャコライチャコラ。
本日1回目のイチャコラが終了したとき、僕のスマホが鳴った。
ぽっちの僕の携帯番号を知っているのは、両親とユメだけ。さては、パパンからの緊急連絡かと思い、電話に出たらば---
「トールさん! あなたは一体、何をしているんですか!」
いきなり女の人から怒られた。
「すみません、どちら様ですか?」
「リリアナです!」
「リリアナ---さん?」
「あなたの担当神です!」
「あ! 担当神さん! お世話になっています。いやあ、お久しぶりです。ユメ、担当神さんから電話だよ」
スピーカー機能に切り替える。
「リリアナさん、ユメです。無事、おにいちゃんに会えた」
「知ってます! 見てましたから!!」
え? 見てたの? 僕とユメのイチャコラも見てたの? まあ、別にいいんだけどさ。
「えっと---担当神さん、なんか怒ってますか?」
「怒ってます! あたりまえでしょう!!」
「やっぱり---いや、言い訳をするわけじゃないんですけど」
「何ですか!」
「何をお供えすればいいか、よくわからなくて---お花とかお菓子で良かったんですかね」
「子羊?」
いや、ユメ、それはちょっとグロいよ。
「お供えが欲しいわけじゃありません!」
「いや、でも、感謝の気持ちは形で示さないと---」
「感謝しろとも言ってません! 私は! あなたが! ミッションを遂行していないこと、遂行する気もないことを怒っているんです!」
ミッション? 何のこった?
「ユメ、ミッションってわかる?」
「わかる。リリアナさんから言われた。私のミッションは、おにいちゃんをサポートすること」
「僕のミッションは?」
「知らない」
「---担当神さん、僕、ミッションを聞かされていないと思うんですけど」
「あ---」
あ、じゃねえよ!
しばしの間、沈黙。
「えっと、担当神さん、念のため確認しておきたいんですが、あなた、ミッションについて僕に何も言っていませんよね」
「---言っていなかった---かも」
「かもじゃねえよ!言ってないんだよ!!」
「ひっ、ごめんなさ---」
「ごめんじゃねえよ! 謝っても済まされないことがあるんだよ! 上司を出せ! 上司を! 今日こそは担当者、変えてもらうからな!!」
「う---」
「う、って何だよ!」
「うわ~ん!!」
「あ、おにいちゃん、リリアナさんを泣かせた」
「ちっ、最近の若い奴は、泣けば許してくれると思ってんのかよ! 甘いんだよ、その考えは!」
「うわ~ん!!」
「おにいちゃん、さすがにこれ以上は---」
「しょうがねえな。じゃあ、そのミッションとやらを言ってみな。できることならば、やってやるからさ」
「本当ですか。ありがとうございます!」
「やっぱり嘘泣きだったよ。ユメは優しいから、だまされちゃうんだよ。でも、そんなユメのことが、僕は大好きだよ」
「ユメもおにいちゃんのこと、大好き」
「そこのバカップル! イチャイチャしていないで私の話を聞きなさい!」
なんでこいつ、こんなに偉そうにしているんだろう。あ、偉そうにしているんじゃなくて、本当に偉いんだった。だって、神様だもん。
「それではミッションを言います。まず、人類の宇宙進出を加速させてください。そうですね、最低でも人類が火星に到達することを目標とします。
次に、気候変動の問題について。CO2排出量を西暦2016年度比50%以下になるように取り組んでください。
そして、国際紛争の鎮静化です。2007年から2017年まで、国際紛争による死者は累計で60万人います。これを10分の1以下になるように取り組んでください。あと、ポピュリズム台頭への対応です。これについては---」
「あれ? スマホ壊れたのかなあ。声が聞こえなくなったぞ(棒)」
「本当だ。何も聞こえない(棒)」
「ちょっと!こっちはちゃんと聞こえてるよ!!もしもし、もしもし!!」
「だめだねこれは、通話を切るしかないな(棒)」
「ん、切るしかない(棒)」
「待って!切らないで!お願いだから!!これ、切られちゃうと、わた」
プチ。
着信番号を迷惑電話に設定する。
「それじゃあ、ユメ」
僕はユメを抱き寄せる。
「続き、しよっか」
「あん♡」




