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3転!(2度目の転生に関する報告書 続編)  作者: トール


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13/22

第13話 ユメ独白

私の名は 香取 夢。大学一年生。

前世の私は、バルト連合王国 子爵トール・イスタン第三夫人、ユメ・イスタン。

「氷の聖女」とも呼ばれていた。


前世で、私はおにいちゃん(トール)の大往生を看取ることができた。

看取ったのは、私たち三人の妻と九人の愛人さん。病室の雰囲気は、ちょっとギスギスしていた。

おにいちゃんが旅立ったあと、すぐに私も旅立つこととなった。

そもそも私の寿命も尽きる寸前であり、せめておにいちゃんが旅立つのを見届けたいと、自らにハイヒールをかけて寿命を無理矢理延ばしていたのだ。


「ユメちゃん、お疲れ様でした」

10代後半から20代前半の女性。金髪碧眼(コーカソイド系)の美人さんがいた。

あなたは---

「あ、そうだ。初めましてだね。私はリリアナ。トールさんの担当神をしているんだよ」

おにいちゃんの、担当神?

「そう。それでね。トールさんを次の世界に送り込んだの。トールさんが希望する地球世界、日本の東京にね」

日本---おにいちゃんから聞いたことがある。平和で、安全で、住みやすくて、食べ物がおいしいところだ。

「その時にね、ちょっとしたトラブルがあってね。ううん、たいしたことじゃないのよ。ちょっと上司(最高神)が心配性でね。

 それで、ユメちゃんにトールさんをサポートしてほしいかな、と思って」

また、おにいちゃんと一緒になれる! しかも、地球世界、日本で!! すごいご褒美だ!!!

「でもね、たいていの人は転生前の記憶をなくしてしまうの。今、こうして私に会っていることを含めてね」

私は絶対に忘れない! おにいちゃんのことを忘れるわけがない! そうだ、気合いだ! 気合いがあれば何とかなる!!

「うん、がんばって。じゃあ、特殊スキルを二つあげるね。一つは---」


転生した。忘れていなかった。前世のことも、リリアナ様のことも。

あれ、魔素がある。すごく薄いけど。お兄ちゃんは地球世界では魔術はなかったと言ってたけど---。

魔術があるにこしたことはない。まずは魔力量増大に努めよう。


三歳になった。今までにわかったこと。

・ここ、東京じゃない! 千葉!江戸川を渡っているよ。しかも都心からかなり離れているよ。

 まあ、外国の人も東京と千葉の違いをわかっている人は少ないかもしれない。ネズミとかドイツとか飛行場とかあるから。

 でもさあ、神様でしょう?間違えないでほしいかな。ひょっとすると、おにいちゃんも埼玉とか神奈川にいるんじゃないの?

・私は、結構有名な神社の神主さんの娘に生まれた。

 私の住んでいる家は神社の境内にあり、そして、魔素があるのは神社の周りだけ。これは引きこもって魔力量を増大させるしかない。

・私は字が読める! 識字障害ではなくなっていた!!


さて、私は考えた。どうすればおにいちゃんに会えるのだろうか。

おそらくおにいちゃんは私と同い年だろう。でも姿は変わっている。名前も変わっているはずだ。

おにいちゃんのことだ。この世界の人が持っていない魔力をもっているに違いない。魔力感知を働かせればおにいちゃんを見つけることができるかも知れない。

でも、どうやって? 魔力感知の有効範囲はそれほど広くない。東京中を歩き回って魔力感知を使ってもおにいちゃんに会えないと思う。

そもそも、おにいちゃんは埼玉とか神奈川にいるのかもしれないし---。


考えろ、考えるんだ、ユメ。どうすればおにいちゃんに会えるかを。

そう言えば---

おにいちゃんは言っていた。この世界では大学という教育機関があり、日本で一番の大学は東京大学というところだって。

おにいちゃんは、地球世界・日本での二周目。いろいろなところで他の人よりもアドバンテージがある。学力についても同様だ。

ということは---

おにいちゃんは東京大学に入学するかもしれない。

同じ大学に入れば、絶対におにいちゃんに会えるはずだ。私も東京大学に入ろう。


TODO事項

・魔力量のアップ

・学力のアップ


中学・高校と私立の女子校に通った。あまり人とは接しずに魔力アップと学力アップに専念した。

高校二年生の時に、親に打ち明けた。東京大学に入ってやりたいことがあると(嘘はついていない)。

父は猛烈に反対したが、最後は「まあ、東大に入るのであれば」と同意してくれた。おそるべし、東京大学。


「ところで夢、おまえのやりたいこととは何だ?」と父親。


さて、何と答えるべきか。

私のやりたいことは、おにいちゃんをサポートすることだ。

では、おにいちゃんがやりたいことは何か?

決まっている。前世でお兄ちゃんはずっと言っていた。

のんびりと過ごしたい、もう働きたくない、と。

つまり、私がおにいちゃんを養ってあげればいいんだ。


そうなると、医者か。

医師免許を取れば、食いっぱぐれることはない。最強の職業だ。

ただし、弱点がある。

大学生の時、学業に専念する必要がある。しかも六年間。

万一、おにいちゃんが東大に入学しなかった場合、おにいちゃんを探しに行く時間が取れない。

正確には、おにいちゃんを探しに行くので、授業に出る時間がない。

では、どうする?

弁護士だろう。弁護士資格なら、在学中に取得することが可能だ。

最近、所得が低い弁護士が増えたという話を聞いたことがあるが、必ずしも弁護士になる必要はない。

東大在学中に弁護士資格を取ったということを売りにして、企業に就職すればいいのだ。

高給を望まなければ、職はあるだろう。


「お父様、私は弁護士になり、社会的弱者の救済をしたいのです」

なお、社会的弱者とは、おにいちゃんのことを想定しています。


こうして私は東京大学文科一類を受験することにした。


合格した。


2017年4月12日 午前10時 日本武道館 西口玄関前。

東京大学学部入学式開式の1時間前からここに立っている。

ここでおにいちゃんが来るのを待っている。

ここで見つからなかったらばどうするかって?

式場を探して見つけるのだ。

それでも見つからなければ、キャンパス中を探して見つけるのだ。

それでもダメなら、東京中、日本中、世界中を探して見つけるのだ。


来た? 来た! 来た!!

なつかしい、本当になつかしいおにいちゃんの魔力を感知した私は、駆け出していた。

「おにいちゃん!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


『わたしの事情はそんなところ』

「そうか、ユメ、ありがとう。僕を見つけてくれて。ユメは本当にがんばったんだね」

『ん。おにいちゃん、明日、会えるかな』

「もちろんだ。でもユメのご両親は?」

『千葉に帰った。私は東京で一人暮らし』

僕たちは明日の予定を決めた。

ふと気になりユメに尋ねた。

「ところでユメ、ユメの特殊スキルってどういうものなの?」

『――一つは『頭脳明晰』』

なるほど、良いスキルだ。あれ?このスキル、僕の時に提示されていなかったよね。

「もうひとつは?」

『――私が選んだわけではないの。リリアナ様が勝手にくれたスキルなの』

「へえ、僕の時とは違うね。で、そのスキルは?」

『――ナンタイセイフク(小声)』

「え?」

『男体征服っ!!』

「あのダ女神!!!」


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