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3転!(2度目の転生に関する報告書 続編)  作者: トール


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10/22

第10話 先輩のお宅にて

僕は今、長田家の正面玄関の前にいる。

「すごい屋敷ですね」

「ああ、地主---古くからの名家だからな」とパパン。

長田家は江戸時代にこの地域の庄屋であった名家。そのルーツは室町時代の豪族であったとしている。

現在でも土木業を中心に幅広い商売を営んでおり、歴代当主は市議会議員を務めているとのことだ。


「さて、時間だ。入るか」

「お父様、ここは私が」

インターホンを押す女性。

『おう、誰だ?』

「町田中学校で教鞭を執っております池田でございます。本日10時から生徒の長田君、長田君のお父様と約束をしております」

担任の池田先生がついてきたのだ。


昨日、パパンとの電話が終わった後、担任教師(池田先生)が同行する旨を激しく主張。

副校長が先方に確認したところ、同行許可(別にかまわない)が出たのでこうしてここにいる次第。

なお、『未来予測』さんは「どちらでも良い」判定であり、パパンが帰宅した時に先生同行を報告したら、パパンは苦笑いをしていた。


『おう、ちょっと待てや』

しばらく待っていると、重厚な門が電動で開いた。そこで持っていたのは、身長190㎝、体重120㎏、年齢30歳(すべて推定)でスキンヘッドの男性。

「ついて来な」

背を向けて歩き出す。結構速く歩いている。

スキンヘッドは後ろをちらっと振り返り、

「もたもたするんじゃねえ」

いや、もたもたはしていないよ。僕もパパンもしっかりと後をついているよ。あ、先生が少し遅れ気味なのね。

屋敷に入り、廊下を歩く。何度か曲がり角をまわり行き着いたところには---。

「馬鹿野郎!グズグズするな!いつまで社長を待たせるんだ!」

身長185㎝、体重130kg、年齢40歳(すべて推定)でパンチパーマの男性が立っており、いきなりスキンヘッドを鉄拳制裁!あ、鼻血が出たよ。

「すみません!」

「ちっ---社長、若、お客人をお連れしました!」

若だって!長田先輩、若って呼ばれているの?まさか、若様って呼ばれているの?江戸時代かよ。

「おう、入れ」

パンチパーマがドアを開ける。僕とパパンが入室しようとしたが---先生が固まってしまっている。


そりゃ、そうだよな。スキンヘッドに案内されて、パンチパーマがスキンヘッドに暴力を振るう。それも(先生の主観では)自分が遅れたせいで。

20代の女性が受ける心理的な圧力(プレッシャー)は相当なものになるよな。

「青鹿先生、大丈夫ですか?」小声で僕が先生に声をかける。

「だ、大丈夫。え?青鹿?私、池田なんだけど」


部屋に入る。結構な広さの応接室。ソファーには長田先輩と、その父親らしき人が座っている。

パンチパーマとスキンヘッドは二人の後ろに立つ。なお、スキンヘッドは鼻血を流したまま、僕たちを睨んでいる。

「おう、そっちに座りな」と長田パパ。

あのね~、こっち、下座なんだけど。普通、来客者は上座に座るよね、失礼な奴だなあ。


失礼します、とパパンが座ったので、僕も失礼しますと言って座る。先生も座る。先生は震えている。

う~ん、抱きしめてあげたい。抱きしめてその震えを止めてあげたい。いかんいかん、ダメスキルが発動してしまう。


「坊主、結構な度胸じゃねえか。それともただの馬鹿なのか」と長田パパ。

失礼な奴だなあ。

「そっちの御仁もな、あんた、勤め人かい?」

「初めまして、トールの父親です。本日は会(・)社(・)の用で来たわけではないのですが---」

パパンが立ち上がり、両手で名刺を差し出す。

それを座ったまま、片手でヒョイとつまむ長田パパ。

本当に失礼な奴だな。

長田パパは名刺を一瞥すると---

長田パパが---長田パパが立ってる!パパン、長田パパが立ったよ!

「大変失礼をしました。今、私の名刺をお渡ししますので---」

「不要です。今(・)は(・)息子の父親としての立場ですので、お互いに。それに私は社長、いや、先生(市議会議員)のことを十分に存じ上げておりますので」

「---承知しました」


「さて、それでは今回の件ですが」

「いや、もう結構です。子供同士のもめごとですので---」

「いえ、せっかくですので、息子の話を聞いていただけますかな。トール、話しなさい」

「承知しました、父上」


プレゼンは要領よく、手短に---っと。プレゼン終了。

「竜一、謝れ」

長田先輩、竜一っていうんだ。

「そこの坊ちゃんに謝れ!」

うん、坊主から坊ちゃんに出世したぞ。

「す---すみませんでした---」

「馬鹿者!!土下座して謝れ!!」

うん、この世界(3転世界)で初めて見る生土下座だ。


帰りは長田パパが自らお見送りだ。

長田先輩はいない。

「竜一、おまえはそこで正座していろ」と長田パパに言われたから。なお。スキンヘッドとパンチパーマもいない。

「旦那、もしよろしければ今夜あたり、一献を」

「申し訳ない。私的に饗応を受けるのは禁じられておりますので。それではここで失礼させていただきます」


長田パパと別れて、三人で歩き出す。メインストリートに出たところで、

「先生、大変申し訳ないが、少々時間が押していまして。ここで車を拾わせていただきます」

「わかりました。本日はありがとうございました」

「父上、ありがとうございました。恐縮ですが、お名刺を一枚いただきたく」

「ははは、おまえが大人になったらな」

むう、またか。先生、出番です。

「あのう---できましたらば私にもお名刺を---」

先生、グッドジョブ!

「ははは、今日はトールの父親の立場ですので。ご容赦ください」

先生、軽くあしらわれる。

パパンはタクシーに乗り込んだ。

「トール、良い先生に会えて(担当してもらって)良かったな。先生、トールのことをよろしくお願いします」

「承知しました。お任せください」

パパン、去る。


「かっこいい---」去って行くタクシーを見つめながら先生がつぶやく。

え?僕のダメスキルより、パパンの魅力が勝るの?

先生、お願いだからパパンにちょっかいをかけないでね。ママンが、ママンが阿修羅になっちゃうよ!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(以下、トールの知らないところで)


都内某所の料亭。その一室で長田父とトール父が向き合って座っている。

「社長、まずは一献」

「恐縮です。まさか今日のうちにお誘いを受けるとは」

「ははは。せっかく社長が今晩のスケジュールが空いていると知らせてくださったので」

杯を酌み交わす二人。


「さて、今回の一件ですが、狙いは?やはり我が家の財産ですか」

「とんでもございません」

「ほう---正直にお答えいただければ助かるのですが---お互いの時間の節約になる」

「---義弟が都議会議員を狙っていまして。できれば後援をお願いしたいと考えた次第です」

「なるほど。私は立場上、一候補者の応援を行うことができないこと、ご承知いただけますかな」

「もちろんでございます」

「結構。さて---」

トール父が相手をぐっと睨む。

「どのような落とし前をつけていただけるのか」

「---できましたらば、ご要望をお聞かせ願いたく。できることであれば対応させていただきますので」

「---まあ、いいでしょう。それでは我が家の財産を知ったことについて、その情報源をお教え下さい」

「旦那、勘弁して下さい」

「社長の名は出しませんよ。どこにもね。こっちは複数ルートで調べる用意がある」

「---承知しました」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数週間後。

某証券会社が、社員にコンプライアンス違反があったとして、当該社員を懲戒解雇するとともに警察へ被害届を提出したことをプレスリリースした。

なお、コンプライアンス違反の内容は、顧客情報の流出であるとのこと。




参考

1.アルプスの少女 ハイジ

2.平井和正さん ウルフガイシリーズ(と、としがバレる!)

本作品はフィクションであり、町田市議会にこのような不逞な議員はいません。多分、いないだろう。いないんじゃないかなあ。


「名刺を差し出したらば、片手でヒョイとつままれた」

これ、私の実体験に基づいています。

おい!中部経産局の●●(昔の話なので名前は忘れた)!おまえのことだよ!!


なお、トールパパの正体は最後まで明かされることはないと思います。

「灼●のシャ●」でも、ユージパパの正体は明かされなかったので、それでいいかと。どーしても知りたい人は感想欄でお問い合わせください。


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