プロローグ完
ペンダントにはメッセージを残す魔法が込められていた。
死を悟ったアンジェさんが遺したものだった。
『ロイくんへ。
もしこれを聞いているなら、私はもう生きてはいないんだと思います。
初めて会った時、あなたは亡くなった弟によく似ていました。
泣き虫で、不器用で、でも優しくて。
だから勝手に存在を重ねてしまったんです。
ごめんなさい。
でもね。
あなたが“ロイ”という名前を大切にしてくれて、本当に嬉しかった。
冒険者になって、仲間ができて、少しずつ笑うようになっていくあなたを見るのが、私は大好きでした。
いつの間にか、本当の弟みたいに思っていました。
ううん。
家族でした。
だから、お願いがあります。
私に縛られず、自由に生きてください。
復讐なんて考えないで下さい。
あなたの力は、誰かを傷つけるためじゃなくて、誰かを守るためにあると、私は思っています。
昔のあなたみたいに、泣いている誰かを助けてあげてください。
それがきっと、あなたにしかできないことだから。
……それでも、もし苦しくなった時は、このペンダントを見てください。
あなたは一人じゃない。
私はずっと、あなたの家族です。
最後に。
ロイくんに出会えて、本当に幸せでした。
愛しています。』
ロイは静かに目を閉じた。
胸の奥で、何かが燃えていた。
喪失。
怒り。
そして、もう二度と同じ悲劇を繰り返したくないという願い。
「……絶対に許さない」
国も。
王も。
この世界の理不尽も。
失った居場所を胸に、ロイは歩き出した。




