表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法を願った少年  作者: 彩音りあ
第六章 人間国王位継承戦
70/87

反撃の狼煙

アネモネさんから作戦を聞く。


相手の誘いに乗る。


ただし、本気では攻めない。


隙を狙うふりをして、こちらも隙を作る。


反撃を誘い、もう一人が仕留める。


相手の想定内に、想定外を仕込む作戦だった。


「アネモネさん、私に仕掛ける側をやらせてください」


常に前線に立ち、背中を預ける相手を信じて戦う。


それが私の一番輝く戦い方だと思う。


アネモネさんは実力者で、場数も能力も申し分ない。


安心して背中を預けることができる。


「危険な立ち回りだが、本当に良いのか?」

「もちろん、私の一番得意な立ち回りだからね」

「わかった、任せるよ」


アネモネさんは私を信じて任せてくれた。


「行こう、アネモネさん!」

「アネモネでいいよ、カトレア!」

「わかった、行こう、アネモネ!」


私は敵に向かい、攻め込む。


アネモネは、敵の背後に回り込むように動く。


「さて、お手並み拝見といきますかね」


敵は背後も警戒しつつ、私の方に斬りかかる。


相変わらず隙だらけに見える。


「行くぞ!」


その隙を狙って短剣を振るう。


「見え透いた作戦だな」


敵は迷いなく斬撃を放ってきた。


背後への隙はなくなり、アネモネは斬り込むことができない。


私は斬撃を回避すると、距離を取る。


「バレバレなんだよ、アホが!」

「失敗か」

「まあそう簡単に決まるわけがないか」


作戦は失敗に終わった。


だが、それは想定内だった。


それ相応の実力を持っている相手には、

フェイントはおそらく見破られるだろう。


つまりこれは第一の矢だ。


「誰しも考える作戦だからな、その対策をしているに決まっているだろう」


相手は調子付いたように見える。


「まだまだ行くぞ」


私は再び敵に向けて距離を詰める。


まだ敵は隙を見せた間合いを取っている。


「くらえ、秘技――三日月舞踊!」


舞い踊るように斬り込む攻撃。


敵の隙を狙う。


「これも陽動だな」


敵に見破られている。


相手は反撃を狙ってきた。


ただし本来の大技ではなく、一般的な反撃。


背後の隙を最小限にしつつ、反撃を仕掛けてくる。


一般的といえど、食らえばひとたまりもない。


アネモネも斬り込めない。


「《身体強化》!」


私は身体強化のギアを上げて、加速する。


間一髪のところで回避し、距離を取ることができた。


「これも失敗か……」


秘技まで使った。

本気の攻撃に見せたはずが、いとも簡単に見破られた。


「ヒャッヒャッヒャ、甘いんだよ、足りてないね、中途半端」


敵は嘲り笑う。


何が足りない?


焦るな。


まだ第二の矢だ。


ただ、そこを解決しなければ、第三の矢も失敗する。


心の中に焦りが生まれた。




俺は妨害魔術を展開することに成功した。


「ほう、外側の魔力を感じられない」


父は状況把握に努めているようだ。


「《火球》!」


父が火球を外に向けて放つ。

火球は靄のような壁に当たり爆発する。


「外と中で完全に魔法が遮断されている、言うなれば妨害魔術か」


父は結界の特性に瞬時に気付き、妨害魔術であることを察した。


「こんな魔法があるとは、魔術師にとっては天敵だな」


魔法創造によって生み出された魔法は、この世には存在しない。

もしくは、大賢者クラスが一生をかけて使えるようになるかどうかの代物。


「それにこの結界は壁になっている。

 この狭い結界の中で強大な魔法を放てば、私も危険ということか」


狙いはそこだった。


ルナの魔法が土円蓋で爆発したところに着想を得た。


狭い空間に閉じ込めれば強力な魔法を封じ込めることができる。


「だが、初級魔法といえど、当たれば命に関わる。

 それにこの狭さだ、回避は困難だろう」


問題はそこである。


父の初級魔法は、一般兵の中級魔法に相当する威力を持っている。


それに狭い分、回避は難しい場所になる。


最大の賭けには勝った。


それでもなお、俺が不利な状況である。


だが、せっかくみんなが与えてくれたチャンス。


これを逃すわけにはいかなかった。




妨害魔術の結界の外。


「してやられたわね。

 まああの人なら問題ないと思うけど」


一瞬僅かに動揺した表情を見せたが、すぐに無表情に戻った。


ロイが妨害魔術を成功させた。


これであの魔術師の男からの強力な魔法は飛んでこない。


魔術師の男はロイに任せて、私たちは目の前の魔術師の女を相手にする。


「シアちゃん、お兄ちゃんなら勝てるよね?」

「もちろん、そうじゃなきゃ許さないから」


ルナちゃんが心配そうに私を見てきた。


気持ちはわかる。


でも信じて送り出した以上、私たちは私たちの役目を果たさなければならない。


アーティちゃんは魔力切れで戦線離脱している。


ルナちゃんと私の二人で宮廷魔術師を相手取らなければならない。


かなり重要な役目を任された。


「ルナちゃんは私が守るよ」


私はルナちゃんの前に立つ。


本来遊撃か後衛に立つことが多かった分、前衛は新鮮に映る。


「シアちゃん、ありがとう!」


不安そうだったルナちゃんも、安心してくれた。


「こう見えても私、前衛の適性あるみたいでしてね」


元々は前に立って私を守ってくれるお姉ちゃんを支えたくて、

ヒーラーの道に進んだ。


ところが実際は私の方が前衛の適性が高く、

お姉ちゃんの方がヒーラーの適性が高かったのは皮肉な話である。


「お姉ちゃんがそうであるように、私だってどこでも戦えるところを見せるよ」

「シアちゃん、頑張ろうね」


魔力のメスを顕現させ、戦闘態勢に入る。


不思議と負ける気がしなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ