表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法を願った少年  作者: 彩音りあ
第五章 魔法傀儡の少女
52/88

その後、ネモとカトレアが帰ってきた。


「ただいまー……って誰だっ!」

「えっ!?なんで魔法傀儡がここに!?」


二人は違う方向性で驚いた。


「行き倒れになってたから連れ帰ってきた」


魔法傀儡を拾った旨を簡潔に伝える。


「えー可愛いな、人間にしか見えないな」


ネモは魔法傀儡自体にあまり馴染みが無かったらしく、興味津々で見ている。


「二人の名前を教えてクダサイ」


アーティが二人の元に近づいてくる。


それを見てカトレアは目を丸くした。


「魔力の糸が無い!?どうして動いてるの!?」


カトレアも傀儡自体は知っているため、この異様さに気付いていた。


「その辺もふまえて直接聞こうと思ってた」


この原理は個人的にも興味がある。


「えーと、あたしはアネモネって言うんだ」

「私はカトレアです」

「アネモネサマと、カトレアサマデスネ。記憶シマシタ」


一通り自己紹介を済ませた後、本題に入る。


「なあアーティ。君は魔力の糸が無いのに、どうして動いているんだ?」

「ワタシは体内に魔力の(コア)が埋め込まれてマス。

 この(コア)に魔力を蓄えておくことで動けマス」


仕組み自体は単純だが、その実現には高度な技術が必要だと分かる。


「じゃあ君が記憶をしたり、命令を出したりはどうやって行っている?」

(コア)が記憶の蓄積と命令の発信を行いマス。

 どういう仕組みで動いているかはワカリマセン」

「すごい仕組みだな……」


俺は震え上がった。


(コア)が心臓と脳の両方の働きをしている。


魔力を蓄積する技術については、魔石があるので珍しくはない。


ただ、(コア)が魔力を制御して、思考し、身体を動かす。


その技術は並大抵のものではない。


「君のような自分で動ける魔法傀儡は他にいる?」

「動くだけならたくさんイマス。

 記憶して思考できるのは記憶上、ワタシだけデス」


つまり、(コア)に魔力を蓄積して動く魔法傀儡自体は存在している。


ただ、命令自体は術者が埋め込まないといけない。


アーティだけが唯一の成功作なのかもしれない。


「君の作者は?どうして一人彷徨っていた?」

「エラー!エラー!回答デキマセン」


想定通り引き出すことはできなさそうだ。


黒幕に繋がる情報は消されているのかもしれない。


「ありがとう、一旦俺からは終わりだけど、みんなは何かあるか?」


「はい!」

「ああ、いっぱいある」

「気になることはいっぱいだね」

「そうだな、私もいくつか」


全員食い気味だった。


「アーティちゃんは、心はあるの?」

「アタシは傀儡なのでアリマセン。記憶して学んでいくことで理解することはデキマス」

「すごい、本当に生きているみたい!」


ルナからは哲学的な疑問が出てきた。


おそらく、泣いている人を見れば悲しい、笑っている人を見れば嬉しいといったように、

紐づけて理解することはできると言いたいのだろう。


「お前は戦えるのか?」

「アタシは戦うことはデキマス。

 魔法は使えませんが、(コア)に蓄積された魔力を放てマス。

 魔力の消耗が激しいので、武器を使う戦い方が主デス」


ネモからは戦闘面の質問が飛んだ。


蓄積した魔力を撃つ攻撃は行えるが、もちろん動力を使うことになる。


身体の収納スペースに武器を仕込み、それで戦うのがメインになる。


念のため収納スペースを見せてもらったが、空だったのでひとまずは安心した。


「アーティちゃんにとっては私たちってどう思う?」

「マスターの仲間ということで味方と判断シマス。

 データが不足しているのでそれ以上はワカリマセン」


レウィシアさんは俺たちの印象について聞いた。


敵意は向けられていないようで良かった。


「私からは一つ。君は人のような生活を送るのか?」

「ワタシは人に限りなく近くなるよう設計されてマス。

 動力にはならないデスガ、食事は行えマス。

 魔力を抑えるため睡眠モードにもなりマス。

 汚れを落とすためお風呂にも入れマス」


カトレアからは人間との類似性の質問が出た。


何も知らなければ人間と勘違いする程だった。


「質問はまだあるかもだけど、そろそろ日も沈んできたし、食事にするか」

「わーい、ごはんごはん」

「そういやお腹空いたな」

「今日は私が作ったんだよ」

「私は家にご飯があるからお暇させて頂こう」


家族と暮らすカトレアを家まで送り届けた後、食事となった。


「アーティちゃん、おいしい?」


ルナが尋ねた。


「美味しいデス。甘さを感じマス」

「えっ!?味がわかるの?」


レウィシアさんが驚く。


「食材の情報と調理方法からおおよその味を判別してマス」

「あーなるほどね」


実際に感じているわけじゃないのかーと、レウィシアさんは少し残念そうにしていた。


こうしてみると普通の女の子にしか見えない。


謎は深まるばかりだが、少なくとも敵意は無い。


もう少し様子を見ることにしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ