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魔法を願った少年  作者: 彩音りあ
第四章 再会
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再会

 人間国軍側。

 村の襲撃を指示して半刻過ぎ。

 次々と兵が帰ってきた。


「こっちの村は無人だったけど、家畜は全滅だった」

「俺たちんところはゲリラ兵がいて仲間が数人やられちまった」

「こっちにもいたけど代わりに家畜はあったぜ」


 仲間が数人やられてしまったが、食料の調達はうまくいってそうだ。

 五つの班が帰ってきて、残り一つの班というところで。


「隊長!はぁはぁ……こっちは全滅です」


 息を切らして走ってきた兵からの報告は、耳を疑うものだった。


「どういうことだ、兵士がいたのか」

「いえ、村民だと思います。ですが、手練れの集まりでした」


 報告によると兵にも引けを取らない少女を筆頭に、

 強化魔法使い、身体強化の使い手。

 決して負けるような相手ではないが、消耗によるハンデで覆されたようだ。


「本日は食事を取ったら休め。明日、その村を全軍で叩く」

「はっ!」


 仲間の仇討ちと資源の強奪のため、体調を整え臨むべく、今日は休む。

 このまま舐められたままでは終われない。


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 ヴァント側の戦いは終結した。

 獣人国王及び近衛兵の増援により形勢逆転。

 獣人側の被害も大きかったが、ヴァント側の人間国軍は殲滅することができた。

 奴隷獣人を解放し、深淵の森へ連れ帰って治療を行う。


「なんとか勝てたようだ」

「はぁ……疲れたよー、こんなに戦うの初めてだったし」


 アネモネとレウィシアもようやく腰を下ろした。


「アネモネ殿、レウィシア殿。

 お二方の助力無くしては、この窮地をしのぎ切れなかったであろう。

 深く感謝申し上げる」


 王が馬を降り、二人に対して深く頭を下げる。


「いや、当然のことをしたまでだ」

「そうそう、そんな畏まられると恐れ多いよ」

「謙虚な方々だ」


 王は頭を上げると、他の獣人兵にも労いの言葉をかけに行った。

 これで残る人間国軍は、魔人国国境側とソルヌ側の部隊だけとなった。


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 人間国軍司令部。


 司令官は深く息を吐いた。

 人間国側の敗北を悟った。


「何故だ、作戦はうまくいったはずなのに

 計算が狂うことが立て続けに起こるんだ」


 魔人国国境側は制圧できた。

 そこまでは作戦通りだった。

 魔人国国境側に援軍に向かわせて、手薄になったところを攻め込む。

 ヴァント側も制圧。

 その後、両側から挟撃することで獣人国を殲滅する。

 そんな作戦だった。

 だが、ヴァント側に想定外の手練れが二人、人数不利を覆す活躍。

 持ちこたえたところに、王まで参戦してくるなんて。


「更に兵を出せば王の首も取ることはできそうだが」


 まだ人間国軍の人員は残されている。

 だがそれは人間国の警備として残している分だ。

 ここを戦力に回してしまえば、国の防衛が手薄になる。

 魔人国や竜人国、人魚の国までもが攻め込んでくる可能性がある。

 先に仕掛けたのが人間国である以上、大義名分がある。


「最後の秘策を残すだけか……」


 その秘策は正直使いたくはなかった。

 敵国とは言え、獣人に恨みがあるわけではない。

 作戦の成否にはもう興味は無い。

 責任を取らされてよくて投獄。

 王の機嫌の悪さを考えれば粛清までありえる。


 他国への亡命を視野に動き始めた。

 これで人間国側は完全に瓦解した。


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 翌日。


 国軍が村へ向かっている。

 コンディションは上々。

 遅れを取るようなことにはならないだろう。

 村には考えなしに入って奇襲をかけられていた。

 ならば、次はこちらから奇襲を仕掛けるべきだ。


「魔法兵、魔法用意!」


 魔法兵に魔法を詠唱させる。


「撃て!」


 号令で魔法が村へ降り注ぐ。


「突撃!」


 その隙を見せ兵を村に出撃させる。

 村の中は大混乱だった。


「敵襲だ!」

「村を守れ!」


 強化魔法をしようにも先回りされ切り倒される。

 躱しきれないほどの魔法が降り注ぎ被弾する。

 万全な国軍に対し、奇襲をかけられた村人。

 戦力の差は歴然だった。


「くっ、この人数は……」


 カトレアも善戦するが、人数差にどんどん窮地に追いやられていく。

 二人、三人と倒すがキリがない。

 体力を消耗し動きも鈍くなり始める。

 気付けばカトレアを除く村人が全滅していた。


「残るはお嬢ちゃん一人だけみたいだな」

「仲間の仇取らせてもらう」

「いやいやお楽しみでしょ」


 国軍がカトレアにゆっくり近づいてくる。


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「ここまでか……」


 カトレアは死を覚悟した。

 覚悟するのはヴァントでの司令官との戦闘以来だ。

 あの時はロイがいた。

 でも今は一人。

 こんなにも心細いのか。

 あと一人だけでも倒して相討ちに。

 そう考えるが身体が動かない。


「仇を取るのが優先だ」


 兵士が剣をこちらに振り上げる。

 この剣が下ろされた時、私は死ぬ。

 せめて最期にロイに会いたかった。


「ロイ……助けて……」


 思わず口から漏らした言葉。

 カトレアは目を閉じた。

 だが、いつまで経っても、剣がカトレアに届くことは無かった。


「え……?」


 恐る恐る目を開く。

 そこには、目の前で兵士の剣先を受け止めるロイの姿があった。

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