転生
俺は転生した。
目を覚ますと、そこは死に場所となった魔物の森だった。
最初は異世界に転生したのかと思った。
だが違う。
ここは前世と同じ世界だ。
赤子として生まれ変わったわけでもない。
姿形もそのまま。
まるで死ぬ直前の俺が、そのまま蘇ったようだった。
――ただ一つを除いて。
「……魔法が、使える」
震える声で呟く。
そして、すぐに試した。
「分析魔法、《ステータス開示》!」
目の前に半透明の画面が現れる。
そこには、俺の能力が表示されていた。
スキルは二つ。
一つ目は《魔法創造》。
自分だけの魔法を生み出せるスキルだ。
ただし制約もある。
死者を蘇らせたり、神を殺すといったような、世界の理を超える魔法は作れない。
さらに、強力な魔法ほど厳しい制限が課されるらしい。
例えば、“世界中の生物を支配する”なんて規模の魔法は、おそらく実現不可能だろう。
そして最大の制約。
魔法を創造できるのは、ひと月に一つだけ。
今使った《ステータス開示》も、《魔法創造》によって生み出した魔法らしく、次に創造できるまでの残り時間が表示されていた。
前世にも分析魔法自体は存在した。
だが見られるのは能力値や属性程度。
スキルの詳細まで確認できる魔法ではなかったはずだ。
そして二つ目のスキル。
《魔力無限》。
魔法を使うために必要な魔力。
言葉通りそれが無限に使える。
――つまり、魔法が撃ち放題ということだ。
試しに俺は、近くにいたゴブリンへ《火球》を放った。
爆ぜる炎。
ゴブリンが悲鳴を上げて吹き飛ぶ。
「はは……」
自分が魔法を使えている。
それだけで、笑いが込み上げてきた。
もっと使いたい。
もっと、もっと。
だが使えたのは《火球》だけだった。
前世で独学していた初級魔法が、それしかなかったからだ。
どうやら、知識のない魔法は使えないらしい。
他の魔法を覚えるには、使い方を学ぶ必要がある。
本来なら魔法学校へ通うのが一番早い。
だが今の俺は既に通える年齢ではなく、そもそも素性の知れない人間を学校が受け入れるとも思えない。
となれば方法は二つ。
魔導書を買うか、誰かに教わるか。
幸い、火球だけでも簡単な依頼ならこなせるはずだ。
まずはギルドに登録し、金を稼ぐ。
そう決めた。
……もっとも、以前いた町へ戻るつもりはない。
あの場所には、仕事を求めた俺を嘲笑い、虐げた連中しかいない。
俺は森を抜け、新しい町を目指して歩き出した。




