望むこと
ここは……どこだ?
見渡す限り、真っ白な空間。
さっきまで感じていた痛みがない。
確か俺は、戦場で流れ弾に撃ち抜かれて――。
「いやあ、すまんかったのう」
不意に声をかけられた。
振り向くと、そこには老人が立っていた。
昔、拾った本で見た“神様”によく似た姿。
「……誰だ、じいさん」
「神じゃよ」
あまりにもあっさりした返答だった。
「お前さん、ずいぶん辛い人生を送ったじゃろ?」
「……なんで知ってる」
老人――神は、申し訳なさそうに答えた。
「実はのう。わしら神の間で“人生ゲーム”という遊びが流行っておってな」
意味がわからないが、ただ嫌な予感がした。
「世界を選び、人を選び、あとはルーレット任せ。止まったマスに応じて人生が決まるんじゃ」
「……は?」
「おぬしは、わしのコマじゃった。ところが運が悪すぎてのう。見事にバッドイベントばかり引いてしまってな」
頭が真っ白になった。
つまり俺の人生は――。
「ふざけるな」
声が勝手に漏れていた。
「どれだけ苦しんだと思ってる。親に愛されず、人として扱われず、孤独に死んだ俺の人生……! それがお前らのゲームのせいだったってか!?」
怒りで身体が震える。
だが神は、ただ静かに頭を下げた。
「本当にすまんかった。じゃから償いとして、おぬしには新しい人生を与えよう」
「……新しい人生?」
「次は、おぬしの望む力を持たせてやる」
怒りは消えない。
それでも――。
あの地獄のような人生のまま終わるよりは、もう一度やり直せるなら。
「おぬしは、何を望む?」
神に問われる。
答えは、最初から決まっていた。
「――魔法が使いたい」




