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魔法を願った少年  作者: 彩音りあ
第十二章 宗教戦争
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二つの刺客

 罠に嵌められたと思った矢先、阿修羅像が襲い掛かってきた。


「なんで石像が攻撃してくるのよ!」

「当たったらひとたまりもない!」


 俺たちは攻撃を回避しながら距離を取る。

 だが、阿修羅像もこちらが見えているかのように距離を詰めてくる。


「もしかして、これはゴーレムか?」

「ゴーレム?」

「なんだそれは」


 シアとカトレアが首を傾げた。

 ゴーレムのことを知らないようだった。

 無理もない。

 ゴーレムなんて代物は大昔の産物だ。


「魔法傀儡の元祖といってもよいものだ。

 魔法で動く泥人形と表現すればよいかな」


 本で見ただけの知識ではある。

 実物を見るのは初めてだった。


「魔法傀儡か、わかりやすい例えだ」

「アーティちゃん基準で考えちゃうから違和感があるね」


 アーティは例外中の例外だ。

 本来は自律して動くことはない。

 魔力によって動く操り人形だ。


「まあ倒さないことにはどうしようもないかな?

 《炎の刃》!」


 カトレアが短剣に炎を纏わせて阿修羅像を斬り裂く。

 ダンジョンのレアドロップで手に入れた短剣を完璧に使いこなしている。


「やったのか……?」


 阿修羅像が真っ二つに切断された。

 制御を失い、倒れる。


「そんなことあるのか……」


 カトレアが青ざめる。

 阿修羅像の身体が魔力で修復される。

 傷一つない状態に戻った。


「そんな……」

「復活するのか、厄介だな」


 この魔力そのものは初めてだが、性質には見覚えがある

 それも禍々しく嫌な感じ。

 似たようなものは見たことがある。

 穢の魔力に近いもののようだ。


「魔法ならどうだ!《豪炎球》」


 俺が豪炎を阿修羅像へと撃ち込む。

 像は手で受け止めようとするが耐えきれずに粉々に粉砕される。

 だが、欠片が魔力によってくっつき、元の姿へと戻ってしまう。


「魔法攻撃でも倒せないの!?」

「どうすればいいんだ……」


 シアとカトレアが頭を抱える。

 正攻法ではどうしようもなかった。


「しかも倒されるたびに魔力が増えているのか」


 先ほどより阿修羅像が纏っている魔力の量が増えたように感じた。

 不用意な攻撃は控えた方が良さそうだ。


「じゃあどうすればいいのだろうか……」

「魔力が切れるのを待つしかない」

「攻撃を回避し続けなきゃなの……」


 ゴーレムの操作には多大な魔力を消費するはず。

 それに魔力を供給し続けているわけではなさそうだった。

 突破口が見つかるまでは耐えるしかなさそうだった。


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 走るプリムちゃんを追いかけて裏庭へやってくる。

 確かに隠し扉があった。

 地下へと降りる階段もある。


「ここに盲巫女様が……」


 プリムちゃんが階段を降りていく。

 もはや盲巫女様のことしか見えていない状況だった。

 この先は危険かもしれない。

 放ってはおけない。

 だが。


「アーティちゃんどうしよう……」


 プリムちゃんのことも気になるが、リンちゃんを危険な場所に連れていくわけにはいかない。

 それに自分の元から離してしまうこともできない。


「地下にはロイサマたちもいるはずデス。

 それにルナサマとリンサマはワタシが守りマス。

 行くべきデス」


 おそらく表情に出ていたのだろう。

 行かない後悔をしないようアーティちゃんが気遣ってくれたのだ。

 それにどちらを選んでもリンちゃんのことは、ルナたちで守ることができる。

 だが、プリムちゃんは行かなければ守ることはできない。


「ありがとう!アーティちゃん。

 リンちゃん、危ないから手を繋いで」

「うん、手つなぐ!」


 ルナたち三人も階段を降りるのだった。


 地下へ降りる。

 指で小さな火球を作って灯りにする。

 過去にダンジョンへ行った際にお兄ちゃんが教えてくれたことだった。


「プリムちゃんー!どこにいるのー?」

「プリムサマ!どこデス?」


 声を上げて探す。

 でも反応はない。

 相当奥まで進んでいってしまったのだろうか。


「プリムちゃん大丈夫かな?」


 少しずつ不安になってきた。

 明らかに今プリムちゃんは冷静さを欠いている。

 心配で仕方がなかった。

 少し急ぐべきかと思った、次の瞬間。


「きゃあああああああああ」


 プリムちゃんの悲鳴が聞こえた。


「プリムちゃんっ!」

「プリムサマ!」


 声のした方へと急ぐ。

 すると、二手に分かれた道が現れた。


「どっちにいけばいいの!」

「足跡も残ってないデス」


 あれから声は聞こえない。

 どちらに行くべきか判断できなかった。


「ママ!声は右側からしたよ」


 その時、リンちゃんが右を指差した。


「リンちゃん、どうしてわかるの?」

「さっきの声が聞こえたのが右からだったからだよ」


 竜人だから耳が良いのか、リンちゃんには悲鳴のした先がわかるようだった。

 ここはリンちゃんを信じるべきだろう。


「ルナサマ!右デス」

「そうだね!リンちゃんありがとう」

「えへへ、どういたしましてー」


 右側の道を全力で駆け抜けた。

 しばらく行くと広い空間にたどり着く。

 そこにはプリムちゃんがいた。


「プリムちゃん!」


 だが、様子がおかしい。

 何かと戦っているようだった。

 プリムちゃんが首にかけたロザリオのような魔道具で攻撃を防いでいる。


「どういうことデス……」

「すごい!石像が動いてる!」


 攻撃が飛んできた方を見ると、エルフの像があった。

 その像は生き物のように動き回り、プリムちゃんへ魔法を撃ちこんでいた。


「これはゴーレム!

 どうしてこんなところに……」


 ルナはゴーレムを見たことがあった。

 エルフの国が現存していた頃に戦力として保持していた兵器の一つ。

 魔法で動く泥人形や石像などを指す。

 もう廃れて無くなったものだとばかり思っていた。


「プリムちゃん!ゴーレムはルナたちが引き受けるから先へ行って!」


 プリムちゃんに声をかける。

 ルナはゴーレムの弱点を知っている。

 ルナとアーティちゃんとリンちゃんの三人で対処できる。


「で、でも……」


 おそらく戦闘をしている間に冷静さを取り戻したのだろう。

 申し訳なさそうな表情を見せる。


「大切な家族なんでしょ。

 早く行ってあげなきゃ」


 プリムちゃんの背中を押してあげる。

 それでも躊躇うプリムちゃんに、アーティちゃんもサムズアップする。


「ありがとう!ルナちゃん、アーティちゃん、リンちゃん」


 プリムちゃんは先へ続く道へと進もうとする。

 もちろんエルフの像がそれを許すはずもなく、攻撃をしようとする。


「ゴーレムさん!こっちだよ!

 《豪炎球》!」


 ルナは豪炎をエルフの像に向かって放つ。

 だが、エルフの像を直接狙ったわけではない。

 エルフの像の足元へ攻撃する。

 足がもつれ、エルフの像は転倒する。

 起き上がろうとするが、うまく起き上がれない。


「アーティちゃん、リンちゃん。

 お願いがあるんだけど、聞いてくれるかな?」

「うん!いいよママ!」

「もちろんデス。ルナサマ」


 ひとまずプリムちゃんを先へ行かせることができた。

 後はこのエルフの像を倒すだけだ。

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