05-09.エピローグ
「完成にゃ!!」
遂に最初の飛行船が出来上がった。
バッテリー役には私とスフィアも参加することにした。
それに伴い、王位はヨモギ扮するビルフに引き継ぐことにした。色々あったけれど、とっくにビルフの奮闘は認められていたのもあり、大きな反対も無く王位の継承は完了した。
ビルフは秘密裏に新ノルド王国とコンタクトを取り、自らの正体も伝えて、現王である元ローゼンバーグ伯爵と互いに利用し合う関係を構築した。
飛行船はワイバーンの群れを率い、周辺諸国の上空を見せつけるように飛び回った後、比較的に友好的な国々から食料を買い付けて帰国した。
すぐに飛行船の話題は広まった。
本来北国に生息しないワイバーンの群れは、視覚的にも十分な脅威として伝わった。
ついでに私たちを背後に抱える新生ノルド王国も、間接的に一目置かれることになった。
かの国には結果的にノルドの全てを奪ったという実績もある。いざとなった時には先頭に立ってもらわねばならない。だから周辺の国家は新生ノルド王国を攻め滅ぼすことが出来ない。同時に彼らは私たちにとっての防波堤にもなる。
そんなわけで戦争は完全に終息した。
「めでたしめでたしにゃ」
「まだまだやれることはいっぱいありますよ♪」
「全部任せてまた旅に出るにゃ」
区切りはついたにゃ。母ちゃんも止めんと思うにゃ。
「ならば最後に一つだけ」
「一つでいいにゃ?」
「はい。これだけは私の手で決着を」
……すっかり忘れてたにゃ。
「もういいんじゃにゃいか? あんなやつは奴隷紋でも刻んで野に放つにゃ。この国から決して出られない呪いを刻んでやるにゃ。奴が欲しかったものを見せびらかすにゃ」
「十分恨んでいるじゃないですか。何されっとえげつないこと言ってるんですか」
「温情にゃ。本当なら公開処刑でも生温いにゃ」
「公開はともかく、処刑の方が優しいと思いますが」
「にゃら学院の用務員にしてやるにゃ」
「えげつない……でも名案です♪」
「そうにゃろ♪ 思い出の学院で死すらも許されぬ労働に従事してもらうにゃ♪ 国全土なんてあいつにはもったいないにゃ♪ 学院の敷地に一生縛り付けてやるにゃ♪」
「もう。アズキったら」
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「セル坊たちとはもう会ったかにゃ?」
「そうですよ! 驚いたんですからね! なんで言ってくれなかったんですか!?」
「サプライズにゃ♪ 赤ちゃん可愛かったにゃろ♪」
「元気に育っているようで何よりです♪」
ふふ♪ また今度会いに行くにゃ♪
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「これで忘れ物はないかにゃ?」
「はい♪ グライダーの改修もばっちりです♪」
「新型の飛行船も絶好調にゃ」
「驚くべき速度で発展しましたね♪」
空を見上げると、行き交う飛行船が視界に映った。
今やすっかりこの国の名物だ。なんなら南大陸への直通便だって出ているくらいだ。わざわざ個人用のグライダーで飛んでいく必要もない。けどいいのだ。楽しいから。
「もうこの国に私たちは必要無いにゃ」
「そんな寂しいこと言わないでください♪ 家族の待つ国ですよ♪ またいつでも帰ってきましょう♪」
「そうだったにゃ。母ちゃんと父ちゃんも娘いっぱい増えて喜んでくれたにゃ。王位は退いても居場所はあるにゃ」
「はい♪ 全てアズキのお陰です♪」
「私は借りを返せたかにゃ?」
「返しすぎです♪ 今度は私が返す番です♪」
「愛し合う二人に貸し借りは無粋だと言わないんにゃな」
「あなたが教えてくれたことではありませんか」
「スフィアの心にも根付いたのならなによりにゃ」
「あなたが無償の愛を示してくれたからです」
「ふふ♪ 頑固者にゃ♪」
「あなたは沢山の愛をくださいました。自分一人の愛だけでは足りないからと、もっといっぱいの愛を与えてくださいました。ポルカたちだけではありません。私を愛してくださるお父様とお母様とも引き合わせてくださいました」
「スフィアの努力の賜物にゃ。あの照れ屋な父ちゃんと母ちゃんが自分から娘だなんて言い出した筈がないにゃ。スフィアの愛が届いたからにゃ。スフィアが本当の両親にするように接したからにゃ。スフィアはちゃんとわかってるにゃ。最初に会った時のスフィアとはもう違うのにゃ」
「それもこれもアズキのお陰だと言ってるんです♪」
「私たちが出会ったのだってそもそもスフィアのお陰にゃ」
「もう♪ 頑固ですね♪」
「そろそろ行くにゃ。ポルカたちに見つかったら面倒にゃ」
「だから相談してから行きましょうって言ったのに」
「ハネムーンにゃ。どうしても二人で行きたかったにゃ」
「尊重してくれますよ。アズキが相談すれば。必ず」
「やっぱハーレムを許したのは早まったかもしれないにゃ」
「今の流れでそういうこと言います?」
「可愛い嫉妬にゃ。受け止めるにゃ」
「ふふ♪ 存分に独り占めしてくださいね♪」
「言われるまでもないにゃ♪」
さて。そろそろ本当に出発するにゃ。いつまでも名残惜しんでいる場合じゃないにゃ。何か見覚えのある人影も近づいてきたことにゃし。
「お姉様~~~~~!!!」
「お姉ちゃぁ~~ん!!!」
あかん。妹ちゃんズに見つかった。誰にゃ告げ口したの。どうせメガネ君にゃ。帰ったらお仕置きにゃ。
「マズイにゃ。早く行くにゃ」
「どこへ行こうと言うのかね」
「なっ!? にゃっ!?」
しまった!? 回り込まれていたにゃ!?
「国王がこんなところで何やってるにゃ!? 今どっから現れたにゃ!?」
「上だ」
なにゃっ!? なんにゃあの赤いの!? 専用機!?
「ふっざけんにゃ! 国家予算使って何やってるにゃ!?」
「カッコいいでしょ~♪」
「「つっかまえた!!」」
しまった!? 時間稼ぎだったにゃ!?
「もう♪ 仕方ありませんね♪」
「「「あっ!?」」」
器用に私だけを引っ張り上げたスフィアが、あっという間に空高く飛び上がった。
「一年くらいで帰って来るにゃ~♪」
「「「待て~~!!」」」
三人も慌ててヨモギの専用機で追いかけてきた。
「父ちゃんと母ちゃんと後ついでに国も頼むにゃ~♪」
「「「こ~ら~!」」」
けどまだまだにゃ♪ スフィアに追いつくには速さが足りないにゃ♪
「じゃ~にゃ~~~♪」
「「「いってらっしゃ~い!!」」」
「「あはは♪ いってきま~~す♪」」
これにて完結です!
本作を最後まで見守ってくださり、ありがとうございました。皆様の日常のなかで、一時の楽しみとなれていれば幸いです。
まだまだ書き足りないところではございますが、今回のお話はこれにて区切らせて頂きたく思います。
次回作のご案内です。引き続きお楽しみ頂けましたら幸いです。
【追放された黒魔術師は神に拾われ復讐を果たす 〜 私の無自覚な一目惚れ、同化した元ボスが叶えてくれるそうです 〜】
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