05-05.追跡
「上にゃ!」
今居たにゃ! 絶対居たにゃ! ラピ◯タは本当にあったんにゃ!
「……驚きました。流石です。アズキ」
偶然にゃ♪
「ですが残念です。今の魔力残量では追いつけません」
「マジか!?」
そんにゃぁ!? 折角お目当ての魔物がいるにゃよ!? 雲の上を沢山飛んでたにゃ! あれはきっとワイバーンの群れにゃ! ストームロードだって夢じゃないにゃ!
「グライダー貸すにゃ! 私はそれで降りるにゃ! スフィアだけなら魔力を節約出来るにゃ!」
「それでも足りません。ですがやれるだけのことはやってみましょう」
スフィアはグライダーを取り出し、高速飛行モードから滑空モードに切り替えた。
「それじゃあ遅くなるにゃよ!?」
「問題ありません。ここは気流が上を向いていますから。少し出遅れてしまいますが、ここで高度を稼ぎましょう。魔力回復も済ませておきます」
そうにゃ! ここはもう南国の空にゃ! スフィアはやってくれたにゃ!
スフィアはいくつもの魔力ポーションを飲み干し、魔力を使わないグライダーの操作だけで旋回を始めた。
不思議なことに、それだけで段々と高度が上がっていく。このまま高度を確保すれば、余計な魔力を使わずに飛行を続けられる筈だ。
「いつの間にこんなの習得したのにゃ」
「……」
凄い集中力にゃ。もしかしてぶっつけ本番かにゃ?
暫くは順調に上昇を続けた。しかしそれも長くは続かなかった。
「……これ以上は」
上昇が止まってしまった。雲の上には行けないようにゃ。
けど、ワイバーンの群れは雲の上にゃ。このままじゃ結局魔力を使うしかないにゃ。
「仕方ありません。やりましょう」
再び高速飛行モードに切り替えたスフィアは雲を突っ切って空高く上昇し、再度滑空モードに切り替えて、魔力で推力を追加しながら後を追い始めた。
「むっちゃ速いにゃ! 全然追いつけないにゃ!」
やっぱ完全な高速飛行モードじゃなきゃダメみたいにゃ。
「いいんです。このまま距離を維持しましょう。見失わない限りチャンスはありますから」
そうにゃ♪ きっと夜はどっか降りて眠る筈にゃ♪
「寒くはないですか?」
「大丈夫にゃ♪ スフィアがポカポカにゃ♪」
「ふふ♪ そうでしたね♪」
「スフィアこそ大丈夫にゃ?」
「はい♪ 絶好調です♪」
不思議にゃ。本当に無理をしている様子が無いにゃ。こんなに長い間紋様の力を使い続けているのに。何か改良でも加えたんにゃろうか。スフィアならあり得るにゃ。
「アズキが居れば百人力です♪」
それじゃあ私が凄いみたいにゃ。
「何か術式に組み込んだにゃ?」
「ふふふ♪ 本当に賢いですね♪」
「なんなら私にも刻んでくれにゃ。私から魔力を吸い出せるような術式とかどうかにゃ?」
才能が無くても魔力が皆無ってわけでもあるまいにゃ。わんわんと契約した今らな尚のことにゃ。
「良いんですか!?」
「もちろんにゃ」
けどちょっと驚きにゃ。スフィアは嫌がるかと思っていたにゃ。
「しかし今はどうにもならんにゃ」
次はバッチシ準備してくるにゃ。
「ならキスしてください!」
なんでそうなるにゃ。するけど。ちゅっ。
「あっ! 違うんです! ずっとしててください! 私は手が離せないのでアズキからし続けてください!」
そういうプレイにゃ?
「これが魔力譲渡の方法です! 粘膜接触は効率が良いんです!」
本当かにゃ?
「体液を! 唾液をくださればより効率的に!」
それは嫌にゃ。普通に。
仕方ないにゃ。スフィアを信じるにゃ。
これ以上変なことを言われるのも困るにゃ。こんな空の上で剥かれたらくっそ寒いにゃ。これはリスクヘッジってやつなのにゃ。
「♪♪♪」
スフィアの頭を抱え込むようにして唇を合わせると、段々とスフィアの熱が身体の芯にまで伝わってきた。もしかしたらこれが魔力の流れなのかもしれんにゃ。スフィアのぐつぐつ煮えたぎる魔力が私の中に流れ込み、私の凍りついた魔力を巻取りながらスフィアの方に帰っていくようにゃ。
初めての感覚にゃ。とっても気分が良いにゃ。けどこれ、スフィアは前が見えているんだろうか。疑問にゃ。




