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【完結済】転生したら猫耳美少女メイドだった。悪役令嬢に攫われた。 ー 愛知らぬ光の悪役令嬢と気まぐれポンコツ猫娘。南国の楽園を目指す ー  作者: こみやし
05.再出発

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05-03.導く者


「なによこれ。まんまじゃない」



 真っ赤な魔改造軍服に仮面。完璧にゃ。


 これで誰がどう見てもビビアンだとは思わんにゃ。そもそも男装にゃ。女性だとすらバレないにゃ。



「話し方に気をつけるにゃ。そしたら側に置いてやるにゃ」


「ごほん。あ~あ~。テステス。あ~~~」


 凄いにゃ。低い声出すの上手いにゃ。器用なもんにゃ。



「おみゃあは今から『ビルフ・ストロガノフ』にゃ」


「食べたいの?」


「恋しいにゃ」


 お腹空いたにゃ。



「困った猫ちゃんだ♪」


「キザっぽいにゃ。そうじゃないにゃ。解釈違いにゃ」


 もっと深みのある感じにゃ。野心と野望が足りないにゃ。



「私はビルフ。ビルフ・ストロガノフ。……ぷっ」


「真面目にやれにゃ」


「う、うむ」


 本当に大丈夫かにゃ?



「暫くは私の側に居るだけでいいにゃ。追々仕事を任せていくにゃ」


「悠長なことを言っている場合ではなかろう」


 早速役に入りきっているにゃ。今のは良い感じにゃ。



「見せつけるのも大切にゃ。側を離れられるのは困るにゃ」


「よかろう。王の定めた方針に従おう」


「今から私たちは愛人にゃ。それとなく匂わせるにゃ」


「アズキ?」


「待てスフィア。誤解するにゃ」


「結局結婚するのですか?」


「布石にゃ。私が傲慢な王になると思わせるにゃ。王様の立場をいいことに、気に入った男を侍らせるにゃ。ゆくゆくは王位すら委ねてしまうにゃ」


「結局ヨモギの意見を採用するのですね」


「違うにゃ。ビルフにゃ。折衷案にゃ。いいところは採用していくにゃ」


「結局結婚するのですよね?」


「しないにゃ。愛人に国を奪われて追い出されるにゃ。おみゃあ話聞いてなかったにゃ?」


 一緒に作戦会議してたにゃろ。やけに口数少ないと思っていたにゃが、いったい何を考えていたにゃ。


 珍しくスフィアがポンコツにゃ。今日は何考えてんだか全然わからんにゃ。私もまだまだにゃ。



「悩みがあるなら聞いてやるにゃ」


「私は席を外すべきかな?」


「お願いします」


 おい待て何する気にゃ。



「後はごゆっくり」


 ビビアン……改めビルフは、わんわんを抱えあげて、堂々と軟禁部屋から出て行った。気が利くやつにゃ。バレバレにゃ。ちょっちハズいにゃ。



「アズキ」


 スフィアはそれを見届けるなり、すぐさま私をベッドに押し倒した。



「ちょっと久しぶりにゃ。緊張するにゃ」


「私もです」


「出来れば他の場所がいいにゃ。ここだとビルフの匂いが強くて落ち着かないにゃ」


「そんな時間はありません」


 焦りすぎにゃ。なんとなく気持ちはわかるにゃが。



「頑張って声を抑えてくださいね」


 無茶言うにゃ。




----------------------




「……満足したかにゃ?」


「まだまだ足りません♪」


 言うと思ったにゃ。



「けど時間切れにゃ。さっさと仕事に戻るにゃ。でないと台無しにゃ」


「口封じは任せておいてください」


「もしかして洗脳魔術も使えるにゃ?」


「いえ。それが出来るならとっくにやってます」


 だろうにゃ。物語が始まる前に終わってたにゃ。



「二人の計画の穴は私が埋めます。好きに動いてください」


 こっちもこっちで気が利くやつにゃ。いつも助かってるにゃ。私の計画は穴だらけにゃ。それにやっぱりさっきは正気じゃなかったにゃ。散々私を虐めて落ち着いたにゃ。



「スフィアは嫌じゃにゃいのか?」


「正直複雑です」


 だろうにゃ。



「ですが必要なことです。アズキの考えはいつだって正しかった。私を導き続けてくれました」


「スフィアが自分で歩いてきたにゃ。私はただ付いてきただけにゃ」


「見解の相違ですね」


「不思議にゃ。私たちはこんにゃにわかりあっているのに」


「だから嫉妬してしまったんです」


 にゃるほどにゃ。


 ビルフと私は話が合うにゃ。早くも阿吽の呼吸にゃ。スフィアの知り得ない知識なんかも、眼の前で共有してしまったにゃ。嫉妬して当然にゃ。



「どうやって彼女を救うつもりですか?」


「何の話にゃ」


「身代わりにするのでしょう?」


「もちろんそれで終わりじゃないにゃ」


「責任を取るのですか?」


「言い方に悪意を感じるにゃ」


「別にいいんですよ。アズキが欲しいと言うなら」


「言い出したのはスフィアにゃ。私じゃないにゃ」


「それで? どうするのですか?」


「そのための仮面にゃ」


「……なるほど。そういうことでしたか」


「残る問題は母ちゃんだけにゃ」


 想像以上の頑固者なのにゃ。私の王政を見届ける気満々なのにゃ。困ったものにゃ。



「いっそこの国で生き続けるという手もあるのでは?」


「南にも行ってみたいにゃ。どの道自由は必要にゃ」


「アズキたちの策では、どうあっても後ろ指を指される結果にしかなりませんよ」


「そんなことが気にならないくらい平和な世の中にしてみせるにゃ」


「ふふ♪ 良い考えです♪ 流石アズキですね♪ いつも私の想像を越えてくれるんですから♪」


「意外と簡単にゃ。ノルドが如何に滅びかけの国だったとはいえにゃ。それはノルドが一つきりだったからの話にゃ。新しきノルドに我らの国を守らせるにゃ。そしてこちらも向こうを守ってやるにゃ。たったそれだけのことで他国からは手が出せなくなるにゃ」


「言う程簡単な話ではありません。切り捨てられた我々が他国から認められるようになるまでには時間も掛かります。今はただ、得体の知れない何かに警戒心を抱いているだけです。尊重しているわけではありません」


「飛行船が出来ればあっという間にゃ。誰もが目で見て理解するにゃ」


「それが一番の難所ではありませんか」


「全部スフィアのお陰にゃ。スフィアが空を飛べたから、先の戦で制空権の重要性を知らしめてくれたからにゃ」


「空を飛べたのはアズキのお陰です。あなたが教えてくれたのです」


「教えたからって実現出来る筈がないにゃ。普通のやつは。それもこれもスフィアが頑張り続けたお陰なのにゃ。おみゃあの努力はようやっと実を結んだのにゃ。おみゃあの祖国はおみゃあが守ったのにゃ。胸を張るにゃ」


「……もう」


 ありゃま。泣かせちゃったにゃ。



「もうもうもうもうもう」


 足バタバタしてるにゃ。可愛いにゃ。やっぱりスフィアは普通の子供なのにゃ。もうそんな歳でもにゃいけれど。



「愛しています。アズキ」


「私もにゃ。スフィア」


「ちゃんと言ってください」


「これで少しは借りも返せたかにゃ?」


「むぅ~!」


「怒るにゃ怒るにゃ♪」


「アズキ!」


「愛してるにゃ。スフィア」


「~~~~~♪」

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