05-02.エネルギー問題
「王子は……いえ、先王はまだ生きているのよね?」
「はい。まだ生きてはいます。辛うじて」
使い所が難しいにゃ。本当はさっさと処分したいにゃ。けどそういうわけにもいかんのにゃ。
「飛行船はどれくらいで出来上がりそう?」
「まだ目星もついておらんにゃ。エネルギー源が問題にゃ」
「魔石は?」
「この世界には存在せんにゃ」
「何か代わりになる物はないの? 魔鉱石とか」
「探させてはいるにゃ」
「鉱山もあるのね」
「うんにゃ」
今のところ見つかる気配もにゃいけれど。
そもそもスフィアが知らんにゃ。つまり存在せんと考えるのが無難にゃ。
「惜しいわね。そういうのがあれば杖なんかも作れたのに」
「もしかしてあれかにゃ? 雷の杖とか氷の杖とか」
「ええ。全ての兵に一定の攻撃力を持たせることは重要よ」
銃の代わりにゃ。
「飛行船にも攻撃手段を積んでおかないとね。大砲や火薬はどうかしら?」
「どちらも無いにゃ。ここはわかりやすい魔法文明にゃ。けど基本は皆大雑把にゃ。地水火風の四つが精々にゃ。収納とか浄化とか治癒だとかは、この世界最高の魔術師であるスフィアでもなんとなくで扱っている程度にゃ。本には乗ってるから昔は存在した筈にゃ」
「あらま。スフィアって凄いのね」
「ふふ♪ 大げさですよ♪」
そうでもないにゃ。やっぱスフィアも規格外にゃ。その弟子であるポルカも既に別格にゃ。一般人とは比べ物にならんにゃ。王様やってみて初めてわかったにゃ。その辺のズレには苦労させられたにゃ。誰一人スフィアみたいにできないにゃ。どこか一つの分野に限ってもにゃ。びっくり仰天にゃ。
「魔術研究は? チームを組んでやっているのかしら?」
「もちろんにゃ。とはいえまだ少数にゃ」
「まあそうよね。そこまでの余力は無いわよね」
「そういうことにゃ。最優先は飛行船の建造にゃ」
「食料の確保ではなくて? ああ。キナコちゃんが飛び回ればどうとでもなるのね。最悪の場合は」
「スフィアならドラゴンでも敵じゃないにゃ」
「え? ドラゴンがいるの?」
「うんにゃ。なんならフェンリルもいるにゃ。ほれ。こいつにゃ」
「……その子は魔術を扱えるの?」
『造作もない』
「あら。話せるのね。お名前は?」
『わんわんだ』
「……ワンワンダ?」
「わんわんにゃ」
「……えぇ」
ドン引きされたにゃ。けどいいにゃ。こいつが気に入ってるにゃ。
「この子の魔力量って、やっぱり並の人間より遥かに多いのかしら?」
『無論だ』
「なら話は簡単じゃない。魔物たちの力を借りましょう」
「にゃるほど。ドラゴンに引かせるにゃ」
「浮かせる力はまた別に必要でしょうけれどね。なんならドラゴンライダーを育てる方が早いかもしれないわよ」
「色々試してみるにゃ」
「そうね。けれど見極めは早めにね。今は分散させるより集中させるべきよ。飛行船技術さえ生み出せれば、金も人も食料も全ての問題が解決するわ。とにかく一台作りましょう。どれだけコストが掛かっても構わないわ。見せればどんな国だって欲しがるもの」
「飛行船そのものの販売は反対にゃ。戦争が加速するにゃ」
「見せびらかすだけよ。それだけでも金は集まってくるわ」
何かあくどいこと考えてにゃいか?
「その辺は後にしましょう。話の通じそうな魔物たちを集めなさい。二人が留守の間は私が国を守るわ」
そのまま乗っ取る気かにゃ? それはそれで別に構わんにゃけど。
「先ずはおみゃあの立場をどうにかするにゃ。ビビアンのまんまじゃ動きようが無いにゃ」
「だからあなたの伴侶に」
「ふざけんにゃ」
「もう。いけずね」
「真面目にやれにゃ。おみゃあには期待してるにゃ」
「ふふ♪ 嬉しいわ♪」
実際早くも新しい視点を与えてくれたにゃ。異世界人知識侮れんにゃ。私もにゃけど。一人より二人にゃ。
「けれど、アズキは王様なんだから、私の立場くらいどうとでもなるでしょう?」
「顔を隠すにゃ。仮面でも用意してやるにゃ。暫く私の側近として働くにゃ。私たちの出張はその後にゃ」
「結構よ。もう休息は要らないからすぐ準備を進めて頂戴」
「助かるにゃ」
かっちょいい仮面作ってやるにゃ♪ 赤い服も用意させるにゃ♪ 三倍早く働いてもらうにゃ♪




