04-03.職人の技
「ありゃ? 戻って来ちまったんか?」
「久しいにゃ。店主。おみゃあ、よく残ってたにゃ」
懐かしの装備屋は未だ変わらず営業中だった。この町からも近い王都でドンパチやってる最中なのに剛毅なもんにゃ。
「嬢ちゃんら、こんな国に何しに戻って来やがったんだ?」
「取り戻しに来たにゃ」
「そうかい。なんだかわかんねえが頑張んな」
「おうにゃ♪ それで店主。急ぎの仕事を頼みたいにゃ」
「なんだ? あのメイド服はもう着てねえみてえだが」
凄いにゃ。一発で見抜いたにゃ。今の私はマントで全身隠してるのに。
「あれのお陰で助かったにゃ。感謝するにゃ」
「そうかい。そりゃ何より♪」
「本当はまた作ってほしいとこにゃが今は時間が無いにゃ」
「それで?」
「こいつを見てくれにゃ」
「……なんだこれ? ……変わった形だが……帆か?」
「惜しいにゃ。風を受けて進むのは同じにゃ。これは風魔術を使って空飛ぶ乗り物にゃ。こいつを大至急改良してほしいのにゃ」
「……ふむ。奥へ来な」
店主は早速作業を始めた。
スフィアお手製のグライダーを一瞬でバラシ、パーツ一つ一つを丁寧に、かつ尋常ならざる速度で磨き直していく。
「これ作ったんはそっちの嬢ちゃんかい?」
「はい。私です」
「良い腕だ。俺の弟子にならねえか?」
「すみません」
「ふっ。フラレちまったぜ。……よし。こんなもんか?」
「凄いにゃ! 見違えたにゃ!」
ピカピカにゃ! まるで別物にゃ!
「本当ですね。驚きました」
これできっと飛行効率も上がるにゃ! 王都まで一直線にゃ!
「あとあれだな。これじゃあ素材が重すぎるぜ。竜の翼膜に目をつけたのは悪かねえが、あいつらは力任せに風を叩き伏せて飛ぶもんだ。あんたらがやりてえのはそうじゃねえだろ? 風に乗るなら相応の素材があるぜ」
「モルファライナの翅膜!」
「そうだ。よく知ってんじゃねえか。流石だな。嬢ちゃん」
「なんにゃそれ?」
「アズキが着ているものです!」
ああ。ちょー高い防具にゃ。
入江に流れ着いた時も、腿はグッサリいっちまったが、上半身は無傷だったにゃ。これ着てなかったら私はあの時死んでいたかもしれんのにゃ。
「ギリギリ足りっか」
「まだあるのですか!?」
「嬢ちゃんならわかってんだろうが、あれの加工は一筋縄じゃいかねえ。何せ生半可な刃物も通さねえからな。どんなに急いだって一晩は掛かるぞ」
難しいにゃ。一刻も早く母ちゃんを救いに行きたいにゃ。
「やりましょう! 私も手伝います!」
「大丈夫かにゃ?」
「どのみちこのまま急いでも王都に着くのは真夜中です。計画を実行するには日中の方が都合も良いでしょう。結局時間を潰すことになるのであれば、先に改良を済ませても問題は無いはずです」
その時間は向こうで下調べする手筈にゃろが。スフィアがそういったんにゃけどな。
「にゃらすぐ始めるにゃ! 私も手伝うにゃ!」
「アズキは寝ててください!」
なんでにゃ!?
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「にゃむにゃむ……」
結局ぐっすり眠っちまったにゃ。もう朝にゃ。グライダーは完成したのかにゃ?
「起きてきましたね! アズキ!」
「おはようにゃ」
「おはようございます♪」
なんだかごきげんにゃ。決戦前夜を徹夜で過ごした朝とは思えないにゃ。
「完成したのかにゃ?」
「バッチリです♪ テスト飛行も済ませてきました♪」
それでテンション上がってるにゃ。よっぽど満足のいく出来だったにゃ。
「お~い! 飯! 出来てんぞ~!」
店主の呼ぶ声がするにゃ。良い匂いにゃ♪
「ほれ。食ってくだろ」
「もちろんにゃ♪ 美味そうにゃ♪」
「ありがとうございます♪ 是非頂きます♪」
ホカホカにゃ♪
「「いっただっきま~~~す!!」」
ガツガツガツガツガツ!!!
ガツガツガツガツガツ!!!
ガツガツガツガツガツ!!!
「はは♪ すげぇ食いっぷりだな♪」
めっちゃ美味いにゃ!
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「何から何までありがとにゃ」
わざわざ町外れにまで見送りに来てくれたにゃ。
「いいってことよ。十分な報酬を貰った上で在庫まで全部買い上げてくれたんだ。これで俺も心置きなく旅立てるぜ」
どこにそんな金あったにゃ? 船舶護衛の報酬は途中離脱でパアにゃろ?
「また南大陸で会おうにゃ」
「俺はそこまで行かねえよ。まだこっちは荒れっからな。ノルド以外でまた店を開くさ」
「どうかご無事で」
「おう。さあほれ早く行け。急いでんだろ」
「「また! どこかで!」」
「嬢ちゃんたちも頑張れよ~!」
新型グライダーが飛び立った。
速度と高度がぐんぐん上がっていく。
あっという間に店主が、町が見えなくなっていった。
「凄いにゃ! 全然違うにゃ!」
「そうでしょう♪ そうでしょう♪ さあ♪ まだまだ飛ばして行きますよ! しっかり掴まっていてください!」
「出発シンコーにゃ! にゃっふ~~~~~♪」




