03-11.緊急事態
「お姉様。グラシアの心残りを教えてくださいませ」
……誤魔化されてくれなかったにゃ。
「お二人とも。お話の前に朝食にしましょう」
「……はい。お姉様」
助かったにゃ。すまんにゃ。スフィア。
「ギル様をお呼びして参りますわ」
「それにゃら私が行くにゃ」
「いえ。アズキお姉様は安静になさってください」
「そ、そうかにゃ……にゃら任せるにゃ」
有無を言わさぬ声音だったにゃ……。
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「それでは調査に行って参ります」
「もう一日くらい休んでいくにゃ」
「いいえ。食料も有限ですから」
スフィアは聞く耳を持たずに飛び去っていった。
「俺は二度寝するぜ」
「待つにゃ。行き先は決まったのかにゃ?」
置いてくにゃ。頼むにゃ。うるうる。
「……わりぃ。もう少し考えさせてくれ」
……気付かずに行ってしまったにゃ。がっくし。
「お姉様。調子がよろしいのでしたら少し歩きませんか?」
「私も二度寝を……」
「なら枕になりますわ♪ どうぞ♪」
「……やっぱり少し歩きたくなったにゃ」
「はい♪ お手をどうぞ♪」
過保護にゃ~……。
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「お姉様。どうか一つだけお答えくださいませ」
……やっぱりきたにゃ。
「グラシアは……あの子はもう……」
「わからんにゃ」
「……本当ですの?」
「私はグラシアの記憶を見たにゃ。だから私の中に残っているのかもしれないにゃ」
「ならば何故……いえ。一つだけと言いましたものね」
……律儀にゃ。……すまんにゃ。
「お姉様」
「……なんにゃ」
「わたくしは帰るべきなのでしょうか」
「必要無いにゃ」
「ですが。我が家は」
「誰も望んでないにゃ。グラシアも。私も。ポルカの父も」
「……」
困ったにゃ。
「お姉様♪ あれを見てくださいまし♪」
ポルカは突然明るい声を張り上げた。
気を遣わせてしまったにゃ。
「船ですわ♪ 助けを寄越してくださったのですわ♪」
……は?
「マズいにゃ!!」
「え!? どうしたんですの!?」
「あれは海賊にゃ! ここは捨てられた入江なんかじゃなかったのにゃ!!」
「そんな!?」
「ギルと合流するにゃ! 走るにゃ!!」
「はい! お姉様!!」
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「なんで居ないにゃ!? 二度寝は嘘だったにゃ!?」
「っ! こちらです!!」
ポルカは何か痕跡に気付いたようだ。もしかしたらスフィアに探知魔術を教わっていたのかもしれない。
「見つけましたわ!!」
「おい! お前ら!! こっちだ!」
なんにゃ。ギルも気付いて私たちを探してたにゃ。
「ここだ! こいつに隠れろ!」
酒樽!? くっ! それしか無いにゃ! この入江は完全な袋小路にゃ!
「おみゃあはどうするにゃ!?」
「心配すんな! 俺も隠れる! 早くしろ!」
ええい! グズグズしてる場合じゃないにゃ!!
ポルカと二人で一つの樽に潜り込んだ。かなり窮屈だけど、どうにか収まった。ギルが蓋を閉めてくれた。これでどうにか時間を稼げるだろうか。スフィアが異変に気付いて戻って来てくれれば問題解決だ。
暫くするとゲラゲラ笑う声が聞こえてきた。まっすぐここに向かっている。酒を回収しに来たようだ。
「これとこれ。あとこれと。いいか。全部持ってちまえ」
にゃに!?
「どうせもうここには戻って来ねえしな」
そんにゃぁ!?
「……マズいですわ……お姉様と逸れてしまいますわ」
そうにゃ! にゃにかメモでも残さんとにゃ!
「こうなったら致し方ありませんわ!!」
「「「「なんだっ!?」」」」
「バっカ! にゃにしてるにゃ!?」
「クソッ! なんだって出てっちまうんだ!」
ギルまで何してるにゃ!?
「ファイヤーボール!!」
「「「「ぎゃぁ!?」」」」
ポルカぁ!?




