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【完結済】転生したら猫耳美少女メイドだった。悪役令嬢に攫われた。 ー 愛知らぬ光の悪役令嬢と気まぐれポンコツ猫娘。南国の楽園を目指す ー  作者: こみやし
03.回り道

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03-01.港町と引き籠もり


 国境に辿り着いた……日から早半年。



「にゃあ、スフィア」


「なんですか~♪」


「いつまでこうしているつもりにゃ?」


「も~ちょっとですぅ~♪」


 スフィアが壊れたにゃ。


 国境はあっさりと突破出来てしまった。流石スフィア。いつも想像を越えてくる。この子に出来ないことなんて、本当に何一つ無いのだろう。


 隣国に渡った私たち……というかスフィアは、冒険者活動でさくっと大金を稼ぎ出し、私の奴隷紋が本当に刻まれていなかったことを確認し、余った大金を持って高級宿に乗り込んだ。


 以来スフィアは、一歩も部屋の外に出ていない。日がな一日私を撫で回すだけなのだ。


 私が何を言っても動こうとしてくれない。あんなに拘っていた南への旅はどうでもよくなってしまったのだろうか。



「焦ったってしかたないじゃないですか~」


「スフィアが良いにゃら良いにゃが……」


 いや、良くないにゃ。



「良いんですってば~も~。アズキは心配性ですね~」


「何か待っているのかにゃ?」


「……あれ~? 話してませんでしたっけ~?」


「なんも聞いて無いにゃ」


「……あは♪」


 こんにゃろ。


 寝転がっていたスフィアが起き上がり、ベッドの上で座った。



「もう直この国に船が戻ってくるんです」


「船? 乗るのかにゃ?」


「はい。海を越える必要がありますので」


「そんなこといつ確認したにゃ」


「この町に来てすぐですよ。冒険者ギルドで確認しました。アズキも隣に居たじゃないですか」


「たぶん聞いて無かったにゃ」


「そう言えば掲示板に夢中になっていましたね」


 まるで昨日のことのように言う。既に半年も前なのに。



「金は足りるのにゃ? 随分浪費してしまった筈にゃが」


 この高級宿、バカ高かった筈なのにゃ。



「船が戻ってからでも十分間に合いますよ。出航にも時間がかかりますから。一月か二月か。状況次第ですね」


「にゃるほどにゃぁ」


「ということで~♪ 脱いでください♪」


「もう嫌にゃ」


「何故ですか!?」


「飽きたにゃ」


「なっ!? ななっ!?」


「それより外でデートしたいにゃ」


「行きましょう!!」


 やったにゃ。ようやく出られるにゃ。



「と言いたいところですが……」


「もう半年にゃ。まだこんなとこに居るとは思われんにゃ」


 ただでさえノルド王国を出るまでにも時間が掛かってるんだし。学園を出てからとなると、それこそ一年近く経つのではなかろうか。さすがにそこまででもにゃいかにゃ?



「いえ。そうではなく」


 何が気になるにゃ?



「最近この町もきな臭いのです」


「最近ってずっと部屋に籠もりっぱなしだったにゃろうが」


「情報収集は得意ですから」


 にゃにか魔術でも使っていたのかにゃ?



「いずれノルドの動乱が届くでしょう」


 この国も戦争に一枚噛むつもりなのかにゃ?



「だから一人でも目撃者は減らしたいにゃ?」


「そういうことです。我々が動けば目立ちますから」


 美少女過ぎるのも罪なものにゃ。



「折角ここまで我慢したのです。あともう少しだけ待ちましょう。動き出すのは船が到着してからでも遅くはありませんから」


「本当に船は出るのかにゃ?」


「正直そこは疑っています。或いは乗れない可能性もありますね」


 金持ちが優先的に逃げるかもしれないにゃ。



「まあ、おそらく心配は要らないでしょうけれど。護衛依頼が出れば船代だって必要ありませんし」


 にゃるほど。それであまり心配してにゃかったのか。



「それなら一石二鳥にゃ」


 船が金持ちたちに占拠されても乗れるだろうし。



「はい。ですから服を」


「脱がんにゃ」


「え~」


「それより魔術でも教えるにゃ」


「才能ありませんよ」


「にゃにっ!?」


「これだけ魔力を流していて感じ取れもしないのですから」


 そんなことしてたのにゃ?



「いいじゃないですか♪ 私がいつだって守ってあげますから♪」


「私だってスフィアを守りたいにゃ」


「ふふ♪ アズキはアズキに出来ることをしてくれたらいいんです♪」


 何も無いにゃろが。



「というわけで~♪」


「嫌にゃ。しつこいにゃ」


「そんなこと言って~♪ アズキだって悦んでるじゃないですかぁ~♪」


「とんだ誤算だったにゃ。まさかスフィアがそんな奴だとは思わなかったにゃ」


「ふふ♪ わかってます♪ わかってます♪」


 全然わかってないにゃ。私たちはわかりあえないにゃ。



「にゃら一人で出かけてくるにゃ」


「約束を破るのですか?」


「散々付き合ったにゃ。休みが必要にゃ」


「い~や~で~す~!」


 駄々っ子にゃ。困ったもんにゃ。



「スフィアはよく飽きんもんにゃ」


「飽きるわけないじゃないですかぁ~♪」


「私は飽きたにゃ」


「またまた~♪」


 いかんにゃ。会話がループしてるにゃ。



「新鮮な魚が食べたいにゃ」


「注文しておきますね♪」


「生で食べたいにゃ」


「え? 本気ですか?」


「しらにゃいか? 刺身っていうにゃ」


 この世界では異世界人が度々現れるそうだし、そういう文化も知られていそうにゃものにゃ。



「う~ん……この辺りではあまり一般的ではありませんね」


「そういえば気になっていたんにゃが」


「はいはい♪」


「スフィアはなんでこの辺りの土地勘まであるのにゃ? まさか出歩けたわけでもないにゃろ?」


 思えば冒険者ギルドに向かう時にも迷う素振りが無かったにゃ。



「探知の応用です。便利ですよ。これ」


 にゃるほどにゃぁ~。



「転移とか飛行魔術は使えんのかにゃ?」


「研究はしてるんですけどね~」


 手は出してたにゃ。流石にゃ。



「一緒に考えてみるのはどうかにゃ?」


「え~」


 頭真っピンクにゃ。もうずっとそれしか頭に無いにゃ。



「気分転換に付き合うにゃ。満足させたらまた付き合ってやるにゃ」


「約束ですよ♪」


 やっぱり現金なやつにゃ。リアリスト根性が染み付いてるにゃ。だから転移だとかは習得できてにゃいんじゃにゃいかにゃ? きっと想像力が足りないにゃ。


 けど安心するにゃ♪ 私が補ってやるにゃ♪


 勝ったにゃ♪ にゃはは♪

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