02-07.適材適所
小さな村へとやってきた。
スフィアは反対していたけれど、結局私の頼みを聞き入れてくれた。
ふふふ♪ スフィアはやっぱり優しいご主人様にゃ♪
「すげぇな! ねこねーちゃん!」
「にゃっふっふ♪ そうにゃろ♪ そうにゃろ♪」
「また仲良くなってる……」
チョロかったにゃ♪
「セル坊も偉いにゃ♪ 一人で水汲みにゃんて大変にゃ♪」
「へっへ♪ へっちゃらだぜ♪ オレもう、にーちゃんだかんな♪」
「そうかそうか♪ 弟か? 妹か? どっちにしたって可愛いもんにゃろ♪」
「まだだよ! うまれんのはこれからだぜ♪ もうすぐなんだ♪」
「にゃんと♪ それはめでたいにゃ♪ にゃら栄養たっぷり摂らないとにゃ♪ スフィア! 村に行く前に何か狩って行くにゃ♪ 手土産が必要にゃ♪」
「……こちらで如何ですか?」
「え!? でっかい姉ちゃん今どっから出したの!?」
「でっか……」
パイのことかにゃ? タッパかにゃ?
「流石スフィアにゃ♪ 完璧にゃ♪ ありがとにゃ♪」
「……いえ」
何を戸惑っているのにゃ?
「ぺろぺろ♪」
「ひゃっ!? なにを!?」
「元気出すにゃ♪ 子どもの前にゃ♪」
「あ、すみません」
今回は見逃してやるにゃ♪
「ねこねーちゃん、デカねーちゃんすきなの?」
「デカ!?」
「大好きにゃ♪」
「だい!?」
驚きすぎにゃ。
「けどセル坊。デカねーちゃんは無いにゃ。言う程スフィアはデカくないにゃ。お前がちっこすぎるだけにゃ」
「む~! ちっちゃくねえもん!」
「ならデカねーちゃんなんてやめるにゃ。でないとチビ坊ってよばなきゃいけなくなるにゃ」
「え~! じゃあなんてよべばいーのー?」
「スフィアにゃ♪ スフィアねーちゃんにゃ♪」
「いいずれー!」
「ならフィーでいいにゃ」
「ひーねぇ!」
「もうそれでいいにゃ♪」
妥協してやるにゃ。
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「あらあら♪ お客さんだなんて♪ いらっしゃい♪ 歓迎するわ♪」
「ありがとにゃ♪ こいつは手土産にゃ♪」
「あら♪ ありがと♪ 嬉しいねぇ♪ こりゃずいぶん食べ応えがありそうだよ♪」
「この子が獲ったにゃ♪ この子は凄腕にゃ♪」
「あら♪ そりゃ凄いね♪ うちの旦那より良い腕じゃないか♪」
「あ、ありがとうございます……」
照れるにゃ照れるにゃ♪
「なんなら料理も上手いにゃよ♪ 少しくらいならこき使っても構わんにゃ♪」
「あら♪ それなら遠慮なくお借りしちゃおうかねぇ♪」
「えぇ!?」
そんにゃ驚くことかにゃ? 相手は妊婦さんにゃ。手伝いくらいしたってバチはあたらんにゃ。
「セル坊。私は村の皆にも挨拶しておきたいにゃ。あんにゃいしてくれるかにゃ?」
「いいぜ♪ まかせとけ~♪」
「よしよし♪ 良い子にゃ良い子にゃ♪」
「えっへっへ~♪」
「じゃあ行ってくるにゃ。後は頼むにゃ。スフィア」
「えっと……はい……」
ふふ♪ 頑張れ♪ スフィア♪
それからセル坊の案内で村の人々に声を掛けて回った。村人たちは大半が快く迎えてくれた。
それでも猫獣人の姿に……或いは見慣れぬ者の姿に、警戒の眼差しを向けてくる者たちも皆無とまではいかなかった。彼らは町にも出入りしているのかもしれない。
少し話を聞いてみたいところだ。
「デンにぃ!」
「なんだセル坊。偉いべっぴんさん連れてるじゃねえか。デートか? 隅に置けねえなぁ♪ 羨ましいぜ♪」
「?」
ガキンチョに何言ってるにゃ。伝わってないにゃ。
まあ、でも。良い兄貴分にゃ。私に警戒心を抱いているくせして、近づいてきたセル坊の手前、言葉を繕ってくれたのだから。
「アズキにゃ♪ おみゃあもイイ男だにゃ♪ デンにぃ♪」
取り敢えず手を差し出してみる。
「ああ。そうだろ♪ そうだろ♪」
一瞬面くらいかけた様子だったが、さして躊躇うこともなく手を握ってきた。
そのまま引き寄せられて肩をパンパンと叩かれた。
馴れ馴れしい奴にゃ。けど許してやるにゃ♪
「後で来い」
デンにぃと呼ばれた青年は、私の耳元で小さく囁いた。




