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【完結済】転生したら猫耳美少女メイドだった。悪役令嬢に攫われた。 ー 愛知らぬ光の悪役令嬢と気まぐれポンコツ猫娘。南国の楽園を目指す ー  作者: こみやし
02.寄り道

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02-03.悪魔の涙


「なんにゃ。なんにゃ。そんな事で泣くんじゃないにゃ」



「けど……けどよぉ……」


 おっさん共の啜り泣く声が洞窟内に反響する。



「心配要らんにゃ。スフィアは話せばわかる子にゃ」


「おれぁ知らなかったんだぁ。あの悪魔がまさかそんなぁ」


 時間稼ぎにちょっとゲロったらこのざまにゃ。


 むしろそっちの話の方が気になるにゃ。盗賊共に悪魔呼ばわりされるスフィアは何やらかしたんだにゃ。



「苦労してやがったんだなぁ……おれぁ誤解してよぉ……」


「お互い様にゃ」


「お~ぅおぅおぅ~……」


 変な泣き方にゃ。ちょっとキショいにゃ。



「悪いことは言わんにゃ。おみゃらもさっさとこんな国捨てちまえにゃ」


「俺たちゃ逆だぜ……何度も逃げてここに辿り着いたんだ」


 そうにゃ。私らの楽園が南国なら、こいつらにとっての楽園が今のこの国なんにゃ。治安の悪さ極まれりにゃ。



「なら尚の事にゃ。どっかで良い主でも見つけて抜け出すにゃ。私なんて記憶も身分も金も無いにゃ。それでもやり直せるにゃ。主を持つというのは素晴らしいことにゃ」


「……主かぁ」


「わかるにゃよ。男なら自分の城を持ってこそ。その心意気も立派なものにゃ。しかしにゃ。盗賊家業じゃ城は建たんのにゃ。どころか家を持つ権利すら与えられんのにゃ。いくら金を貯めたって同じにゃ。金に物を言わせて買い取ったってどうせ国や貴族に取られるのがオチなのにゃ」


「そうだなぁ……そうだよなぁ……」


「だからもう諦めるにゃ。悪魔に怯えるおみゃらには最初から向いてなかったにゃ。きっとまだやり直せるにゃ」


「そうかぁ……そうかもなぁ……」


 よしよし。チョロいにゃ。



「もう行くにゃよ。私がここに居れば正真正銘の悪魔が来るにゃ。おみゃらの命なんてあっという間に狩り尽くされるにゃ。私はそんな光景を見たくないにゃ」


「あぁ……ありがとよ。猫の嬢ちゃん。俺たちやり直すよ。あんたに救われた命、決してケチな事に使ったりしねえからよ。約束するからよ。どうか信じておくれ」


「楽しみにしてるにゃ。また南で会える時を」


「おう! 約束だぜ!」


 しめしめ。


 まあ、精々頑張るにゃ。




----------------------




「アズキ!? まさか自力で脱出を!?」


 あれ。スフィア。


 どうして洞窟の入口まで来ちゃってるにゃ?



「ちょっち散歩してただけにゃ。この中にゃぁ誰も居ないにゃ。さっさと晩飯にするにゃ。お腹と背中がくっつくにゃ」


「……」


「待て待て待て待て! スルーするにゃ!」


「放してください」


「何をそんなに怒っているにゃ? 見ろ、私は無事にゃ」


「関係ありません」


「スフィア。こっちを向けにゃ。話をしている時に目も合わせないのは失礼にゃ」


「……」


 ……にゃぁ。



「……なんでそんな顔をするんにゃ」


「……放してください」


「ダメにゃ。行っても一銭にもなりはしないにゃ」


「人々が苦しみます」


「よく考えてみるにゃ。私らは町には近づけないにゃ。奴らを捕まえても突き出せないにゃ。となれば出来ることは一つにゃ。全員殺すしかないにゃ」


「私には出来ないとでも?」


「するなと言ってるにゃ」


「……アズキは余程平和な世界からいらしたようですね」


「否定はしないにゃ。けどそういう問題じゃないにゃ。私が嫌だから止めているにゃ。そんな顔をしたお前を放っておける筈がないにゃ」


 私だってちゃんとわかってるにゃ。あいつらが本当に反省なんてする筈がないことは。いずれまた人を襲うにゃ。それ以前に反省したからって許されるような奴らじゃないにゃ。


 けどそれでもにゃ。スフィアが全てを背負う必要はもうないのにゃ。この国はスフィアを捨てたんだから。誰一人としてスフィアに手を差し伸べなかったのだから。そんな連中に救われる資格なんてありはしないんだ。



「スフィア。もう行くにゃ」


「……」


 スフィアは私の手を振り払った。そのまま一人で洞窟の奥へと進んでいった。


 すぐに男共の悲鳴が聞こえてきた。しかし誰一人として逃げては来なかった。


 程なくして悲鳴が鳴り止み、スフィアが戻ってきた。



「ありがとにゃ。スフィア」


「……行きましょう」


 血の匂いはしない。脅かしたのか武器を破壊しただけなのか。彼らの命だけは見逃してくれたらしい。


 スフィアは私の手を握らずに歩き出した。


 私は急いで追いつき、スフィアの手を握った。



「私はスフィアの綺麗な手が好きにゃ。けれどどんな手だって握ってやるにゃ。遠慮なんてすることないにゃ」


「……」


 スフィアは何も答えなかった。


 代わりに繋いだ手を強く握り返してくれた。

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