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今宵薬局  作者: 蟷螂
54/65

第10話 休息の湿布薬 10-3

8


翌朝。


美樹は目を覚ました。


泣き疲れて眠ってしまっていた。


美樹は窓の外を見た。


朝日が昇っている。


美樹は深く息を吐いた。


(……もう、いいか)


美樹は起き上がった。


(魔法の湿布に頼って推薦をもらうなんて、そんなの私がやりたかった陸上じゃない)


美樹は鏡の前に立った。


(元の遅い自分に戻ってもいい)


(最後は、ズルなしの自分の脚だけで走ろう)


美樹は自分に言い聞かせた。


「私は、私の脚で走る」


9


大会当日。


スタジアムには、たくさんの選手と観客が集まっていた。


美樹は緊張していた。


でも、覚悟は決まっていた。


(脚が重くても、最後まで走り抜く)


美樹はスタートラインに並んだ。


周囲の選手たちは、みんな強そうに見える。


美樹は深く息を吐いた。


(大丈夫。私は、私の脚で走る)


スターターが笛を吹いた。


「位置について」


美樹は構えた。


「用意」


美樹は息を止めた。


――パン!


スタート。


走り出した瞬間、美樹は驚いた。


脚が、軽い。


いや、軽いどころではない。


これまでにないほど力強く、前へ前へと自然に進んでいく。


(え……?)


美樹は混乱した。


(湿布がないのに……)


(なんで、こんなに軽いの?)


でも、考えている暇はない。


美樹は前だけを見て、走り続けた。


風が、心地よい。


呼吸が、楽。


脚が、羽ばたくように前へ進む。


ゴールが、見える。


美樹は全力で駆け抜けた。


ゴール!



タイムボードに、美樹の記録が表示された。


自己ベストを、さらに更新している。


顧問の先生が駆け寄ってきた。


「田中! すごいぞ! 自己ベスト更新だ!」


美樹は息を切らしながら、タイムボードを見つめた。


(なんで……)


(湿布がないのに……)


(なんで、こんなに速く走れたんだろう)

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