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第7話 恋の解熱剤 7−8
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それから、小和と桐人は幸せな日々を過ごした。
小和は、もう恋の解熱薬を使うことはなかった。
というより、使う必要がなかった。
桐人以外の男性に、惚れることがなくなったから。
ある日、小和は鞄の中から瓶を取り出した。
まだ、半分ほど残っている。
「これ、もう必要ないかな」
小和は微笑んだ。
でも、捨てずに取っておくことにした。
この薬のおかげで、本物の恋に気づけたから。
小和は、桐人と一緒に未来を歩き始めた。
もう、クズ男に惚れることはない。
本当に大切な人が、誰なのかわかったから。
エピローグ
今宵薬局。
店の奥で、「 」は水晶球を眺めていた。
球の中には、小和と桐人の姿が映っている。二人とも、幸せそうに笑っている。
「 」は微笑んだ。
水晶球の中で、小和が桐人の腕に抱きついている。桐人も、優しく小和を抱きしめている。
「恋の熱と、本当の好きは違います」
今宵は静かに言った。
「桐人さんへの気持ちは、恋の熱ではなく、本当の好き。だから、解熱薬を飲んでも冷めなかった」
「 」は水晶球を布で覆った。
「小和さん、どうか桐人さんと幸せに」
「 」は、次の客をここで待ち続ける。
困っている人だけが見つけられる、この不思議な薬局で。
第8話 恋の解熱剤 −了−




