第7話 恋の解熱剤 7−3
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それから、小和は何度か恋の解熱薬を使った。
店に来る客、街で出会った男性。
惚れるたびに、薬を飲む。
すると、冷静になって、相手の本質が見えてくる。
どの男も、クズ、ダメ、ヒモばかりだった。
小和は、だんだん自分が嫌になってきた。
なんで、こんな男ばかり好きになるんだろう。
自分の恋愛センサーは、完全に壊れている。
小和は、恋愛に疲れていた。
ある夜、店に太い客が取引先の男性を連れてきた。
「小和ちゃん、紹介するね。彼は斉藤くん」
太い客が言った。
男性——佐藤桐人は、三十歳くらい。さっぱりした外見だが、少し地味。
今まで小和が惚れてきた男性とは、真逆のタイプだった。
「はじめまして、佐藤です」
斉藤は、丁寧にお辞儀をした。
小和は、特に惚れる感じはなかった。でも、悪い印象もなかった。
話をしてみると、斉藤は博識だった。
考古学、科学、経済。幅広い知識を、面白おかしく話してくれる。
小和は、「この人、面白いな」と思った。
惚れたわけではない。でも、好感を持った。
この人とコーヒーを飲みながら、雑談してたら楽しいだろう。
「斉藤さん、すごく物知りですね」
「いえ、ただの趣味です」
斉藤は照れくさそうに笑った。
その後、斉藤は連絡先を交換して帰った。
その後も何度か太い客とともに斉藤がやって来ることになった。
その時斉藤の相手はもっぱら小話が相手をしていた。
いつしか小和は斉藤が次いつ来てくれるだろうか、と思うようになった。




