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今宵薬局  作者: 蟷螂
36/63

第7話 恋の解熱剤 7−3

3


それから、小和は何度か恋の解熱薬を使った。


店に来る客、街で出会った男性。


惚れるたびに、薬を飲む。


すると、冷静になって、相手の本質が見えてくる。


どの男も、クズ、ダメ、ヒモばかりだった。


小和は、だんだん自分が嫌になってきた。


なんで、こんな男ばかり好きになるんだろう。


自分の恋愛センサーは、完全に壊れている。


小和は、恋愛に疲れていた。


ある夜、店に太い客が取引先の男性を連れてきた。


「小和ちゃん、紹介するね。彼は斉藤くん」


太い客が言った。


男性——佐藤桐人は、三十歳くらい。さっぱりした外見だが、少し地味。


今まで小和が惚れてきた男性とは、真逆のタイプだった。


「はじめまして、佐藤です」


斉藤は、丁寧にお辞儀をした。


小和は、特に惚れる感じはなかった。でも、悪い印象もなかった。


話をしてみると、斉藤は博識だった。


考古学、科学、経済。幅広い知識を、面白おかしく話してくれる。


小和は、「この人、面白いな」と思った。


惚れたわけではない。でも、好感を持った。


この人とコーヒーを飲みながら、雑談してたら楽しいだろう。


「斉藤さん、すごく物知りですね」


「いえ、ただの趣味です」


斉藤は照れくさそうに笑った。


その後、斉藤は連絡先を交換して帰った。


その後も何度か太い客とともに斉藤がやって来ることになった。


その時斉藤の相手はもっぱら小話が相手をしていた。


いつしか小和は斉藤が次いつ来てくれるだろうか、と思うようになった。


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