表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今宵薬局  作者: 蟷螂
31/65

第6 眠らなくても良い薬 6−3

4


一ヶ月後。


真理の生活は、表面上はうまくいっていた。


3つの仕事を掛け持ちし、収入は増えた。家も綺麗に保たれている。悠太にも、欲しいものを買ってあげられる。


でも、真理は何かが変だと感じていた。


感情が、鈍くなっている気がする。


悠太の笑顔を見ても、以前ほど嬉しくない。美味しいものを食べても、感動しない。


全てが、機械的に感じられる。


ある朝、悠太が真理に抱きついてきた。


「ママ、大好き」


「うん、ママも」


真理は答えたが、心がこもっていなかった。自分でもわかった。


悠太は、不思議そうに真理を見上げた。


「ママ、最近冷たいよ」


「え?」


「前はもっと、優しかった」


悠太の言葉が、真理の胸に刺さった。


「ごめんね、ママ疲れてるのかも」


でも、疲れてはいなかった。体は元気だった。


問題は、心だった。


真理は、自分が変わってしまったことに気づいていた。でも、どうすればいいのかわからなかった。


ある夜、真理は仕事から帰って、悠太が一人で泣いているのを見つけた。


「悠太、どうしたの?」


「ママ……怖い夢見た」


悠太は涙を拭いた。


「ママが僕を置いて鶴さんと遠くへ飛んでいっちゃうんだ。」


真理は悠太を抱きしめた。でも、以前のように気持ちが動かない。


ただ、機械的に抱きしめているだけ。


真理は気づいた。


自分は、寝ていない。


寝ていないから、感情が鈍くなっているのだろうか。


人間は、寝ている時に記憶を整理している。感情も整理する。


でも、真理はもう一ヶ月、寝ていなかった。


だから、感情が鈍くなっているのかもしれない。


真理はここにきて眠らなくて良い薬の副作用を気づき、ゾッとした。


このままでは、自分は感情が欠けた何かになってしまうのではないか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ