表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今宵薬局  作者: 蟷螂
20/65

第4話 出来すぎるノート 4-4

5


次の日、翔太は健を避けた。


昼休みも、放課後も、健と目を合わせないようにした。


でも、健は翔太を探していた。


「翔太、昨日はどうしたんだよ」


放課後、健が翔太を捕まえた。


「ごめん、急用があって」


「そうじゃなくて……なんか、様子おかしかったけど」


健は心配そうな顔をしていた。


「大丈夫だよ」


翔太は曖昧に笑った。


「でも、数学教えてくれるって約束……」


「ごめん、やっぱり無理だ」


翔太は逃げるように去っていった。


健は、困った顔で翔太の背中を見送った。


家に帰った翔太は、部屋で「ノート」を開いた。


残り9ページ。


このまま使い続ければ、あと一週間ほどで終わる。


それから、どうすればいいんだろう。


翔太は考えた。もう一度、今宵薬局に行けば、新しいノートをもらえるだろうか。


でも、あの薬局、どこにあったっけ。


翔太は次の日、あの路地を探した。でも、見つからなかった。


商店街を何度も歩き回ったが、あの薬局はどこにもなかった。


翔太は焦った。ノートがなくなったら、自分はまた赤点に戻ってしまう。


その週末、翔太は一人で図書館に行った。


数学の問題集を開く。二次関数の問題。


答えは、ノートに書いてあるから知っている。でも、解き方がわからない。


翔太は教科書を読んだ。でも、理解できない。


いや、理解しようとしていなかった。今まで、ノートに書けば済んでいたから。


翔太は頭を抱えた。


自分は、何をやっているんだろう。


テストで良い点を取ることが目的だったはずなのに、本当に勉強することを忘れていた。


ノートに頼りきりになって、自分の頭で考えることをやめていた。


その時、図書館の入口から、健が入ってきた。


健は翔太を見つけて、近づいてきた。


「翔太、いたのか」


「健……」


「なあ、最近のお前、なんか変だぞ。何かあったのか?」


健は真剣な顔で翔太を見つめた。


翔太は、全てを話したくなった。魔法のノートのこと。でも、言えなかった。


「ごめん、健。俺、実は……」


翔太は言葉に詰まった。


「実は?」


「俺、ちゃんと勉強してなかったんだ」


翔太は俯いた。


「え? でも、テストの点良かったじゃん」


「暗記しただけなんだ。理解してない。だから、お前に教えられなかった」


健は少し驚いた顔をした。


「そうだったのか。でも、暗記も大事だろ」


「俺は、ただ暗記していただけ、でも一切理解できていなかった。だから健に解き方を教えてくれって言われた時、全然教えられなかった。それで自分は、何ひとつわかっていないって気づいたんだ。」



「なあ、森田」


健が言った。


「俺が、お前に教えようか?」


「え?」


「お前、暗記は得意になったんだろ? だったら、理解する部分を俺が教えるよ。一緒に勉強しよう」


健は笑顔で言った。


翔太の目に、うっすら涙が滲んだ。


「ありがとう、健」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ