第4話 出来すぎるノート 4-2
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家に帰った翔太は、すぐに小瓶を開けて中身を確認する。
小瓶の中に入っていたのは、糖衣錠剤。特に変わったところはない。
普通の錠剤っぽい。
次にノートを開いた。
普通の大学ノート。罫線が引かれた白いページ。特に変わったところはない。
こんなもので自分の成績は上がるのだろうか。
翌日、翔太は授業前に錠剤を水で飲み込み、それからノートを使うことにした。
書いた内容は数学の授業内容、二次方程式の解の公式。
「x = (-b ± √(b² - 4ac)) / 2a」
書き終わった瞬間、不思議な感覚が頭を駆け抜けた。
スッと、公式が頭に入ってきた。まるで、最初から知っていたかのように。
「すごい……」
翔太は驚いた。本当に、魔法のノートだ。
翔太はさらに書き続けた。英単語、歴史の年号、理科の公式。書けば書くほど、頭に入っていく。
今まで何時間かけても覚えられなかったことが、書くだけで覚えられる。
翔太は興奮した。これがあれば、次のテストで良い点が取れる!
翌日、学校で小テストがあった。英単語のテストだ。
翔太は昨夜、ノートに50個の英単語を書いていた。全て、頭にスッと入っている。
テストが始まった。翔太はスラスラと答えを書いていく。迷いがない。全て、すぐに思い出せる。
テストが終わり、答案用紙を提出した。
数日後、返却された答案用紙を見て、翔太は飛び上がりそうになった。
満点。15問中、15問正解。
「すげえな、翔太! お前、英語満点じゃん!」
健が驚いた顔で言った。
「まあな」
翔太は得意げに笑った。
「どうしたんだよ、急に」
「ちょっと、勉強法を変えたんだ」
翔太は錠剤とノートのことは言わなかった。秘密にしておきたかった。
それから、翔太は毎日のように「錠剤+ノート」を使った。
授業で習ったこと、教科書の内容、問題集の解き方。全てノートに書き写す。すると、全て頭に入る。
次の定期テストで、翔太の成績は急上昇した。
数学、68点。英語、82点。日本史、89点。
計算や理論もの少し点数は落ちるが、暗記ものは高得点となった。
今までの翔太からは考えられない点数である。
担任の佐藤先生も驚いていた。
「森田、すごいじゃないか! やればできるんだな」
「はい!」
翔太は誇らしげに答えた。
クラスメイトも、翔太を見る目が変わった。
「森田、すごいね」
「どうやって勉強したの?」
翔太は注目の的になった。
でも、翔太は錠剤とノートのことは誰にも言わなかった。




