12-2 全日か新日か!?
【12話/B面】Bパート
※今回は1995年に展開された会話。完全な『趣味回』です。このエピソードは飛ばしていただいても全く問題ありません。
プロレスは全日本か新日本か!?トークライブ’95
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「ではお前ら、そろそろこの話題に戻ろうか…
話は逸れたけど、三沢さんを侮辱してくれやがった件…」
男子と女子とで一旦話のグループが分かれた後、生一が小谷野と兼元につっかかる。
「で、何の話しだすんだよ。生一。」
「まあお前は今回は聞いとけ。知識の一つとして!」
勇一を制して話の本題に入ろうとする。
「全日(全日本プロレス)の三沢さんより強い奴って誰やねん。三沢さん侮辱してからに!
お前言葉には責任持てよな。」
「あぁ何度でも言うよ。お前は本当に強いってことの何たるかを分かってないってなぁ。」
「その根拠わい?」
「フン、お前は高知で暫く暮らしてたんやろ。高知県は全日本プロレスの中継はあるけど、新日本プロレスの中継は無いよな。
これ、事実やろ。」
「まあそうやけど。それが何の関係あるねん。」
「プロレス界の潮流をまだ分かってないいうことや。全体を見ずに判断してるいう事。」
「全体?」
「まぁええ。具体的に踏み込んでいくわ。
まずは…おまえこの前猛プッシュしてた選手。全日の川田の蹴りがしきりにエグイとか言うてたよな。
“デンジャラスK”言うて。」
「ああ言うてたで。」
「その川田よりも蹴りがエグイ奴がおるねん……新日には。」
「はぁ?んなやつおるわけないやろ。100歩譲って世界中にはおるかもしれんけど、今のプロレス界にそんな逸材おるかよ!」
「それがいてるんよな~。おまえ見てないから知らんだけやろうけど。」
「マジなんか…おまえ全日も見てるんよな。」
「あぁどっちも見てる。その上で感じた。あきらかに威力は川田より上やって。」
「あの川田より…誰やねんソイツ?」
「橋本って奴やねん。“破壊王”言われててな。まぁとにかく蹴りがえげつないで。」
「橋本…誰やソイツ。」
「まあビデオ持ってきてやるけど、体格とか見たら分かるわ。あの体格で体重乗せた蹴り入れられたらたまらんで。外国人レスラーとか試合中、彼の蹴りを嫌がってるのがテレビごしでも分かるねん。」
「でも蹴りだけで勝てるほど低いレベルちゃうぞ。全日は!」
「だからおまえは分かってないな…橋本にもちゃんとエグイ投げ技があるんやで。」
「川田にも垂直落下式のブレーンバスターいうエグイ技あるんやで。あれよりエグイんあるか?ホンマにお前ちゃんと見てるんか?全日も?」
「もちろん見てる。そのうえで断言するわ。川田のアレよりもエグイ投げ技やねん。」
「……マジ…か?何やねんその垂直落下式のブレーンバスターよりもヤバいやつ。」
「垂直落下式DDTいう技やねん。これもう絶対返せんやつやで。」
「受け身の天才・三沢さんでもか?」
「おそらくな…三沢さんでも返せんやろう。あれはもう返せとか言うレベル違うねん。」
「DDTの状態で垂直落下……そんなエグイ技あるんか…」
「俺は全日も新日も分け隔てなく見てるけど、近年の橋本はマジでエグイ。蹴りも投げも川田上回ってるで。」
「じゃあそいつが新日のエースってわけか?でも三沢さんに勝てるかは分らんやろ。三沢さんもエグイバージョンのタイガードライバーあるねんぞ。
あれ絶対返せん。アレ返した奴がおったら俺全裸で登校したるわ。」
「確かにあれはやばい。けどな、そこに持ち込ませんようにグランド技で往なす見た目とは裏腹に頭脳派の天才もおるねん。」
「三沢さんをグランドで封じ込めるようなやつなんか居てるかよ。」
「それがおるんよ。新日には。
蝶野言うんやけどな。STFっていうのがもう喰いついたら離さんようにねちっこいねん。あれ極められたらロープまでエスケープできたとしても相当体力持っていかれるねん。」
「なんやねんそのSTFって技?初めて聞く名前やんな。“ST(勃たたせて)F(〇ェラしまくる)”みたいな感じか?」
「そんなアホな技あってたまるか!“ステップオーバー・トーホールド・ウィズ・フェイスロック”いう名前の略や!」
「ただのフェイスロックゥ?
それやったら三沢さんの方がえげつないで。あの人のフェイスロックは頬骨絞り上げるえげつないやつやで。鶴田がギブアップしたくらいやし。」
「だからこっちも足極めて体重乗っけてるねん。言うたやろ“エスケープしたとしても相当体力持っていかれる”って。とにかくペースの掴み方とか試合運びが上手いねん。タッグやとそれが如実に分かる。
まぁええ。こっからが大事やで。
全日の四天王は何だかんだいうてみんなパワータイプやねんな。でも新日はヘビー級の癖にパワーだけやなくて、グラウンドで活路を見出したりテクニックで魅せたりとタイプが多彩やねん。だからパワー一辺倒の試合にはならん。
結果対応する選手の引き出しが多くなる。
そこが必然的にレベルが高くなる理由やねん。」
「…そんなバケモンが2人もおるんか…新日には。」
「いや、まだおるよ。真打が…とっておきの天才レスラーが。とにかく動きが華やかで申し分ないというか…頭髪以外はもう非の打ち所がないねん。オレンジのパンツのやつやけどな。」
「その人が三沢さんに対抗できる本命っていうワケか。」
「まあな。正直言うけどな…膝に爆弾抱えてる三沢には勝つん無理やと思うで。膝にモロにダメージいくドラゴンスクリューのかけ方がまぁ危ないねん。滅茶苦茶説得力がある。」
「でもその選手は60分フルタイムで戦えるだけのスタミナあるんか?」
「勿論ある。苦しくなったら足四の字とかでペース配分調整しながら戦うねん。実に周りが良く見えてるというか、リングの使い方を熟知してるねん。
華やかさは表向きなだけで、基本的な攻めもソツがのうて試合の組み立てのプロやねん。まるで試合を一つの芸術作品を描くかのように戦うんよ。その様に観客は見入ってまう。
これが全日本プロレスとの差…かな。」
「お前の意見ももっともなところはある。確かに俺まだ新日の選手知らんからな。
でも三沢さんは受け身の天才や。
相手がどんなに凄かろうが3カウント入るのはとてもやないけど想像できん。
というか2.9で返す姿しか想像出来ん。」
「でもそこが命取りになると思うわけよ。俺も全日の選手、受け身が上手いのは見てて感じるよ。
でも受けきろうとするやろ。そこが落とし穴やねん。
橋本の蹴りとか受けきろうとすること自体が無理あるねん。ディフェンス面の強さは認めるけど、親日はオフェンス力がとにかくクソ強いねん。あれ全部受けきれるとは思えんな。」
「分かった!じゃあビデオ持ってこい。どうせ4倍速でまとめてんやろ。きっちり見たろやんけ。そんで反論あったら言わせてもらうからな。」
「お前三沢さんばっかり言うてるけど、他にも全日四天王いてるやろ。小橋と田上はどやねん。」
「あいつらパワーはあるけどちょっとどんくさいねんな。
なんか丸め込みとかがうまい奴にコロッとやられそうな雰囲気出してるんよ。
小橋は体大きいし一番若いからまだ何とかなりそうやけどな…もうちょっとかかるんちゃう。俺は新人でええ奴がおったからそいつの方が伸びそうやと思うてる。」
「秋山やろ?」
「せやねん。あいつ多分5~6年後は全日のエースやで。スープレックス系が奇麗やねん。瞬発力もあるし。」
「でも新日にもええ新人いるんよな~“天山”言うんやけど。とにかくレスラーとしての体が既に出来上がってる。今、さっき言うた蝶野と組ませてもろうて“プロレス脳”鍛え中いうところや。」
「そいつウリナリの番組に出とったやつやろ。知ってる…けどあいつレスラーなん?」
「それ違うから!とにかく今のお前には新日本プロレスのビデオも見せなあかんことがよう分かった。」
「おう!徹夜で見たるわ。そんでこのトークは第2弾いつかやるで!全日の方が絶対強いいう証明したるよ。」
「ええやろう。そこを論破するために俺らが立ちはだかったるさかい。」
『B面』では、主人公達が立ち上げた部活「日本文化交流研究部」の様子を描いています。
各話完結型ですので、お気軽にお楽しみください。
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