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TEENAGE ~ぼくらの地球を救うまで  作者: DARVISH
season1【B面】
75/228

6-1 NGワード?

【6話/B面】Aパート

ここは校舎の東側2階


放課後になるとこの奥の部屋が部室となり、集う面々がいる。


誰かが部室にやってきて、それが複数名になったあたりから『日本文化交流研究部』の部活動が始まるのだが…この日は特進クラスだけが放課後に模擬テストを行っていたため“日本人のみ”の集合となった。



部長の勇一と仁科さん、生一の3名が教室の机を囲む。



暫くして特進クラスではあるものの、早々とテストをクリアした椎原さんが程なくして部室に合流し、4人になったところから話が始まる。




* * * * *



「今のうちに話しておきたい事があるんだけど…」


勇一がまず提案する。



“今のうち”というのが“静那が居ないうち”というので暗に理解している。



「静那と話してみてどう感じる?なんか言いにくいことがあれば俺の方から話してみるけど?」



静那が来ていない今、部活動が始まって半月も経っていないが、これまでの感触を分かち合ってみようと提案する勇一。


「静ちゃんいるといいよね。はじめはただの外国人さんを交えたお話会みたいなイメージあったけど、意外と私自身、自分の思い込み…先入観で相手にしゃべってるような事が多いなって気づくきっかけになってるかな。」



「私はね…自分ってこんなにしゃべる人間なんだ~って驚いてる。

普段はこんなにしゃべらないのにさ…。

昨日なんて静那ちゃんがあまりにも間近で熱心に話を聞いてくれるから、つい海外に居た頃の暮らしの話とかしちゃったけど、あんなプライベートな話を長々としても良かったのかなとか、逆に退屈じゃなかったのかなとか考えてしまうな。」



「椎原さん、別にそんなの気にしなくても良いよ。俺も海外での暮らしってよく分からなかったし。“お金さえあればどこでも暮らせる”みたいな考えは何となくあったから、新鮮な話だって感じたし、リアルで面白かったよ。」


「“面白い”って感じなのかな?」


「少し違うけど、日本に住んでたら分らんよな。海外での感覚。」


「うん、おかげで色々想像力が膨らんだよ。」


「改めて、そういう日本の暮らしや文化を知りたいって静ちゃん思ってるんじゃないかな?私たちが海外の暮らしに興味持ったみたいに。」


「なんでも話してほしいみたいな顔してるしな。」



「なんだろうね…静ちゃんってとても話しやすいよね。兎に角…」


「うんそれ私も感じる。話してる時ずっと私の顔見てくれて、悲しい時は一緒に悲しんでくれるし、嬉しい時…そう!嬉しい時は素直にすごく嬉しがるの。あれ気持ちいいよね。話してる側からしたら。

勇一がああいう所に惚れたのも分かるよ。」



「ち…ちょっと話がおかしくなってきてる!話を戻そう!」


「なんか話脱線した?」


「いや、してないな~。勇一は気まずくなってきたら“その言い方”使うよね~。」


「もう!いいだろ。その話は。」


「その話って?」


「いや、だから生一まで言うなよ。」


「でも好きなんでしょ?」


「だから純粋にあの子の力になりたいってことでいいだろ…今は?」


「なんであの子の力になりたいって思うの?」


「そりゃあ…大切な後輩だし。」


「それだけ?」


「それだけじゃないけど…」


「ないけど?」


「その…何て言えば良いですかね?仁科さん。」


「別に何も言わなくていいんじゃない。ただ、他にも抑えてて言えてない感情があるみたいだから問うてみただけだし。」


「それは…」


「まぁそれは本人に伝えないとね。本人に言ってないでしょ。まだ。」


「何を言うんだよ。」


「あれ?また何か話がループしてるみたいだけど続ける?この話。」


「いやそれは…」


「それは?」



「お前ら結構意地悪やな。」


「だって勇一ヘタレだもん。妙に先輩ぶってるくせにさ。」


「別に先輩ぶってないし!」


「じゃあ続けようか。この話。」


「いや、先輩…ぶってました。ごめんなさい。」


「お前傍から見てて弱すぎるわ!お前も全部マジメに答えようとすんなよ!」


呆れたように生一が嘆く。


「まぁ…さ。」


勇一も次の話題に入りたいようなので観念する。


「その……好きだよ。…でも今はそれ以外は考えてない。まずは部活を全うする。三枝先生との約束だからじゃなくて、静那に対して自分自身で約束した事だから。」


「そう…な~んか真面目だねぇ。」


つまらなそうな顔をする仁科さん。


「お前最初はアウトコースからいくんが普通やろうがい。まぁチョロいとも言えるな。」


「まぁ先生もそういう所を鑑みて白都君を部長にしたんだと思うよ。」


「皆言いたい放題だな。」


「一応褒めてるのにね~。」


「そうには思えないんですけど!でも次の議題行かせてもらうよ。」


「あ、あるんだ、次。」


「あるよ!」


勇一はノートを見せる。




そこには項目がいくつか書かれてあった。


『▼NGワード候補

・ゲームセンター

・賭け事

・嗜好品(特にお酒)

・戦争(特に日露戦争)』



「この項目の話はしない方が良いと思うんだけどどうかな?」


「え~白都君変にマジメね。でも確かに大事なのもあると…思う。コレなんか。」


椎原さんが“お酒”を指さす。


「私たちまだ未成年だしね。それにロシアというか北欧の人ってお酒を飲む量が半端ないって言うしね。」


「え?そうなの?」


「お酒でのトラブル。飲酒運転や飲酒による問題は聞いたことあるよ。白都君それ知ってて書いてるのかなって思ったけど。」


「そこまでは知らなかったよ。アルコール依存症患者の人多いの?」


「ええ。しかもかなり度の強いお酒を飲む傾向があるし。ウォッカとか。」


「あぁ、その名前は聞いたことある。アルコール度数が40度とかするんでしょ。」


「巷だともっと度の強いのあるみたいよ。そんなの呑んだらどうなってしまうのか怖いよね。暴力や治安悪化にも一役買ってる報告が実際にあるみたいだから。」


「知らなかった…とはいえこの話は静那にはしない方がいいな。」


「ええ。そうかもね。」


「他のこの“嗜好品”って書いてんの、タバコとかも同じか。」


「そうだな。タバコは勧めない方がいいな。」


「ていうかまさかうちの部員で吸う人いないよね。」


「ああ。俺は乳しか吸わんって決めてるから。」


「どさくさに紛れて何言ってんのよ。気色悪い。」


「おまえそれサラッと言う言葉じゃないからな!」



「はいはい次いこ次。この“ゲーセン”に関しては話してもええやん。別に。」


「だめ!あんなうるさくてガラの悪いところ。」


「なんで頭ごなしに悪いように決めつけるねん!この前もゲーセン行けば“ふりょう”になるとか言うてさ。」


「でもあんまりいい場所じゃないよ。静那にとって。」


「それってあなたの感想ですよね。」


「なんかその言い方すごく不快だからやめてくんない!」



「私はこの前も思ったけど、肯定でも否定でもない派。一度くらい嗜む感覚でいくのはいいと思う。どうかな?」


「椎原さんも一緒なら、まあ1度くらい。」


「まぁ偏見は辞めてほしいよな。ええとこもいっぱいあるし。」


「そうとは思えないんだけどな。お金もかかるし…」


「じゃあお前、静かで変な人がおらんだけでええ所って言えるか?」


「そんな事は言ってないって。」


「そんなもんやん。

俺いつか静那に格闘技の良さを教えたい思てるけど、お前やったらどう思う?」



「…分かんないよ。でも私はあんまりいい気持ちはしない。あれ暴力だし…」


「食わず嫌いやな~。暴力っていう認識も間違うてるし。」


「藤宮君。私たちもその話してる時同席してさ、良いって思ったら話していくので良いんじゃない。私はお相撲とか好きだし。ってあれは格闘技…じゃなかったか。」


「そうだよ。忘れてた。相撲だよ相撲。

日本の国技を教えるのはいいよな。仁科さんから見たらあれも格闘技に見える?」


「そうじゃないけど…なんだろ。話してて私の基準が分からなくなってきてる。」


「じゃあ話する時はまず聞いといてや。それで自分の中で判断してくれたらええよ。」


「う……うん。」


「なんかまだ不満あるか?」


「ええと…なんかあんたに言い負かされたみたいで釈然としないだけ。」


「コイツ…。」




「戦争は論外として、賭け事って?」


「競馬とか競輪、雀卓(マージャンの事)とかか?」


「それもいいんじゃない。さっき生一と言い合いしてる中で少し考えたけど、嗜む程度なら、1回くらいは。

そりゃあ…ハマるとダメだけどさ。

東京の私の友人が“競馬”すごい好きだった。だから一概にダメって思えなくて。」


「その友人がハンサムだったとか?」


「うっさいな。そんなんじゃないの。

その人とにかく楽しそうに競馬の事話してたからさ。私は馬の事なんて分かんなかったけど、楽しそうな表情見てて…きっと楽しいんだろうなって思うじゃない。」


「じゃあゲーセンの事を楽しそうに話するハンサム君がいてたらどう思うよ。」


「も~その話蒸し返さないでよ。それはもう椎原さんも一緒に行くならOKって言ってるでしょ。」


「まぁまぁ、競馬のような賭け事も、偏見無く見れば楽しいものかもしれないよな。」


「やり過ぎてしまわない程度がいいんだけどね。」


「じゃあマージャンもOKってことで?」


「う~ん。やっぱり賭け事で使われるからやめとこうよ。」


「賭けんかったらええやん。ドンジャラとかは?」


「そういう問題じゃないでしょ。身近で手軽に出来るものほどさ。

でも実際にやるんじゃなくてこういう遊びがあるよっていう紹介くらいなら良いかな…って思う。」


「仁科さんちょっと丸くなったね。」


「どうだろ…。でも私、都会の危なっかしい所も見てきたから、ちょっとお金とか暴力が絡みだしたら偏見の目で見てた部分はあるかも。お金がかかってたら人格が変わる人って…いるし。」


「じゃあ紹介するにしても皆の立ち合いの下、判断を得ながらってことで話していこうか。」


「まぁいいんじゃない。椎原さんもいいよね。」


「ええ。静ちゃん、何でも興味持つから知りたいって思ってくれたらあまり押さえつけないようにしたいよね。」



「押さえつけないようにで思い出したわ。

そう言えば…お前先日静那に言うてたよな“静ちゃんは知らなくても良いからッ!”っていう言い方。あの言い方じゃ静那納得せえへんで。

急に話シャットアウトしたみたいで。もうちょっと言い方考えようや。」



「あれはそもそも元ネタが駄目よ。何言ってんの!」



「でもどんな事に対してでも興味持ちかけてる相手に対してやっぱり“言い方”ってあるやん。頭ごなしに“あなたは知らなくてもいい!”って言うんじゃなくてさ。」



「あんたが変な話するからでしょうが。まぁそこは考えてみるけど…。

私も昔親から“子どもは知らなくていいの!”って一方的に言われた事あって…あれってやっぱり釈然としなかったし。」


「じゃあまた変な話するからその時はよろしく。」


「ぐっ……。そっちが学べよコラ…。そもそも危ないネタを静ちゃんにさぁ!」




「はい!今呼びました?」


ガラガラッと勢いよく部室の扉が空き、静那が入ってきた。テストがようやく終わったようだ。

『B面』では、勇一達が立ち上げた部活「日本文化交流研究部」での日常トークを描いています。時々課外活動で外出もします。各話完結型ですので、お気軽にお楽しみください。


【読者の皆様へお願いがございます】

ブックマーク、評価は大いに勇気になります。


現時点でも構いませんので、ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂ければ非常に嬉しいです。


頑張って執筆致します。よろしくお願いします。

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