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TEENAGE ~ぼくらの地球を救うまで  作者: DARVISH
season1【B面】
72/228

4-2 趣味

【4話/B面】Bパート

「そういえば、静那はクラスメイトの中ではうまくやってる?困った事ないか?」


「なんだか静ちゃんの親みたいねぇ…」


「いいだろ、それくらい!で、どうなの静那。」



「うん、クラスに入った初日。初めに自己紹介しあったかな…英語で。」


「1年のしょっぱなから英語でか…さすが特進クラス。」


「でもその後できちんと日本語でも話したよ。クラスメイトのみんなと。」


「どんな事聞かれたの?」


「あ。それ質問しようと思ってた。みんなしてなぜか趣味を聞いてくるんですよ。あれ何ででしょうかね?」


「そういえばそうよね。私も初めての人にはなぜか趣味聞く。椎原さんどう?」


「私…私も趣味は…聞くな~。あれなんでだろうね。」


「社交辞令なのかな。」


「もし社交辞令なら変だよね。日本のドラマとかでもお見合いのシーンは趣味は必ずと言っていいほど聞くしね~。台本から定着してるよね。」



「あれは趣味を通して相手を調べてんだよ。」


生一が横から話しだした。


「初対面は相手の情報が少ないだろ。だからどう接して良いかなかなか分からない。


そこで趣味を聞くことで共通認識があればそこから話を広げていけるし、どういう人間かっていうのがある程度分かる。


もし相手が“スポーツが趣味です”とか言ったらどう思うよ。」


「それなら…アウトドアな方だって思う。あと元気な人だなって思います。あと、なんのスポーツしてるか気になります。多分その後聞くと思います。」


「そんな感じで趣味答えてもらったらドンドンクエスチョンも広がっていくやろ?


趣味を聞くことで相手の人間性を知ろうとしてるわけよ。趣味を知る事でその人がどんな人かの目星をつけるためにな。」


「へぇ~あんんたにしては言葉の裏をきちんと考えてるんだ。」


「“あんたにしては”って何だよ!


じゃあ道歩いていた時に、例えばにいちゃんが“お姉さん、ちょっとお茶行かない?”って聞いてきたケースがあるとするで。あれはホンマにお茶が飲みたくて聞いてきたと思うか?」


「それはなんだか違う意味よね。なんだか不純な…」


「そやろ。そのにいちゃんは、ただその子とお茶が飲みたかったんやなくて、その後姉ちゃんと一緒にガッー」



『ゴッ!』

生一の顔面に蹴りが飛んできた。




「あんたまた前回みたいにエロい方向に持っていこうとしてるでしょ。言わせないからね!」


「うう…でも言わんとしてることは同じと…違う…か…」


「そうだけど!言い方!…もう。静ちゃんが真剣に聞いている中、油断も隙もない!知らないのを良いことに変な事教えないでよ。」


そんな仁科“言論警備員”の姿に苦笑いしながらも勇一は聞いてみる。



「だいぶ話が飛んだけど、静那は趣味を聞かれたとき何て答えたの?」


「私は…魚をさばくこと、って答えた…んだけど話が続かなかったよ。」



静那は、“どういえばよかったんだろう”という表情で頬を掻いた。



「それじゃ話が広がりづらいね~。魚好きな人はそこから“どんな魚さばくの?”って聞いてくると思うけど、なかなか魚をさばくっていう趣味持ってる人は高校1年生では出てこないかな~」


「そうなんですね。どんな趣味って答えたら良かったのかな~」


「そうだね。音楽聞くこととかドラマを見る事とかそういうのがメジャーかな。

音楽だったらたいていの学生は今流行のを聞いてるから、お互いの趣味の共有になる可能性高いよね。

最近だと女子高生の間だったらビジュアル系のバンドが滅茶苦茶人気あるから知っておいた方が良いと思う。」



「私はスピッツ…が好きかな。あと“マイリトルラバー”っていう女性シンガー」



「そうですか…私も音楽を趣味にした方がいいのかな…。今出てきたの知らないワードばかりだったし。だから聞いてみたいって思ったし。

曲は…ラジオで時々流れるくらいで…」


「いやいや静ちゃん。無理に音楽じゃなくても良いのよ。自分が興味持っている事を答えればいいだけなのよ。


でも“魚をさばく”っていう趣味はちょっとやってる人が少なかったってだけでね。私は静ちゃんが皆に喜んでもらいたいっていう意図が感じられて素敵だと思うんだけど。」


「そうですか…」


「まぁ静ちゃん。これからいろんな事にチャレンジして、面白そうなことがあったらそれを趣味にしていけばいいんじゃないかな?それに趣味は一つじゃなくて良いんだし。」


「そうですね。私、まだ色々チャレンジしてないだけで、これから見つかるかも。」



「よっしゃ。じゃあ静那の見分を広げるために今日辺りは帰りにゲーセン寄るか!」


「だめよ、静ちゃんお金無いんだし、それにあんな場所行かしたら不良になっちゃうじゃない。」


「あぁ?へェー、ゲーセン行けば“ふりょう”になるんだぁ。」


「そ…それは。」


「おまえソレ偏見やぞ。なんでゲーセン行くだけでそんな言うねん!」


「で、でもゲーセンって不良のたまり場じゃない?」


「そもそも“不良”って何やねん。ゲーセン行くやつはみな不良かよ?」


「そうは言ってないけどさ。あんまりいい空間じゃないじゃない。…その…うるさいし。」


「じゃあ静那はどう思う?」


「私は…行ったことないから一度は行ってみたい…かな。」


「ホラ見てみろよ。ゲーセンが悪いところみたいに一方的に言うなよな。」


「…でもあんまり静ちゃんにはゲーセン行ってほしくないなぁ。」


「私は良いかもって思うんだけど。」


「椎原さん本気でそう思うの?」


「うん。あのね、最近ゲームセンターにUFOキャッチャーっていうクレーンゲームの特設コーナーが出来たらしいんだ。

仁科さんは知ってるよね。都会じゃ普通にあると思うし。」


「あ!そう言えばあったわ。」


「あったでしょ。東京でも。非売品のかわいいぬいぐるみもあって。すごく楽しいよ。」


「あれなら私も静ちゃん一緒に頑張ってとりたいな。戦利品みたいに持ち帰りたいし。」


「俺はやらないな~。存在も知らなかった。」


「そりゃそうでしょ。大体ゲーセンに来てる数少ない女子生徒がやるもんだし。彼氏と一緒とかじゃない限りはやったりしないよ。」



「クレーンゲームかぁ。いいですね。」


「よしキマリッ!クレーンゲーム行こう。」


「見事に意見覆ったな。ゲーセンに対する偏見…」


「まああんたの言う事も一理あったわよ。あんた以前、ゲーセンの2Ⅾ格闘ゲームの話してたから、静ちゃんをアッチの世界に引き込もうとしてるんじゃないかって感じてたの。

あれって暴力だよね。」


「まーた偏見入れて来たな。あれも結構奥が深いんやで。巷のゲーセンじゃ滅茶苦茶ヒットしてるし。…対戦が。」


「まぁ知ってるよ。」


「わたしその2Ⅾのやつもやってみたいです。」


「ようし。じゃあそれもやってみるのキマリな。“ストⅡ”って言うねん。行った時説明する!」


「なんか心配だけど、じゃあ5月になったら行くってことで。」


「はいっ。楽しみです。」


「静那本気でゲーセン行くのか…」


「静ちゃんがゲームセンター行くのは違和感あるなぁ」





そこへ顧問の三枝先生が入ってきた。部室の様子を見に来たのだ。


「どうしたの?何の話をしてるの?」


「三枝先生?!」


「私たち、今は趣味の話で…っていつの間にかゲームセンターの話になってるじゃん。」




* * * * *




「なるほどね。先生はあまり放課後ゲームセンター行くのはお勧めしないかな。何事も経験が大事だけどね。

まぁそれよりももっと色々な趣味になる候補があるんだから、今は何に対しても偏見持たずにやってみるといいよ。例えばお茶。」



「先生、さりげなく茶道部に連れて行こうとしていますよね。」



「静那さんはここの看板娘なんだからさすがに引っこ抜いたりしないよ。でも静那さんにもお茶のすばらしさを知ってもらいたいかな…なんて。この部活立ち上げる前にもそんな話したでしょ。」



「先生は、たとえば“お茶が趣味です”って言われたら、どんな風に思いますか?どんな返答をしますか?」


「静那さん。相手がどう思うかよりも自分がどうありたいかが大切よ。」


「そうですよね…

ただ、私が“魚をさばくのが趣味です”って言っても話が広がらなかったんです。だから参考までにどんなに会話が広がるか聞きたくて。」


三枝先生は少し考えてから返答を返した。


「そうねぇ…お茶が趣味だって言われたら”それは表ですか?裏ですか?”って聞いてみたりするわね。

ちなみに、お茶を泡立てないのが“表”。深い味わいになるのよ。

“裏”は、泡立ててまろやかな味わいになるのが特徴かな。立て方の作法によって違った楽しみが出来るのよ。そういうのを聞いてあげれば、この人は良く知ってるな…って感じるんじゃない?


それに外国の人がそういう返答をしたら“この人は海外の人なのに茶道についてよく学んでいるな”って良い印象を持ってくれるかもしれないわね。

詳しく知りたいなら茶道の流派をまた教えてあげるね。」



「はいっ。先生ありがとうございます。」


「確かに知的で日本の茶道をよく知ってるような感じに聞こえたよな。」


「そう思うならあなたも静那さんと一緒にお茶に来なさいな。そんなに拘束させないから。ホラ、藤宮君も。」


「う……」


「日本人として知っておいて損はない作法よ。静那さん、行く時は彼らも引っ張ってきなさいね。」


「そういうことですので、ボス。観念してください。」


「誰が行くっつったよ。」


「お茶出すの、毎週金曜日ね。待ってるからね、静那さん。」


「ありがとうございます。三枝先生。」


チラッと仁科さんを見る。


「仁科先輩は?」


「あたしはー…まぁクレープ食べたりクレーンゲームしたりする方がいいかな~なんて。

いやいやいやいや!ゴメン今の無し!静ちゃん行く時は私も茶道室行くね。」


「ありがとうございます。心強いです。」


「私もその時は一緒するから。それに茶道教室ってそんな堅苦しいところじゃないよ。」


椎原さんは経験者である。



「私、長時間の正座が苦手でさ…それがなんか恥ずかしいな…。」


「え~私もですよ。日本の人みたいに長いこと正座するの、苦手です。一緒ですね。」


「そういえば静ちゃんとこは椅子文化だもんね。それなら私も気分が楽になった感じ。」


「なんだ、行きづらい理由ってそんな事だったんだ。白都君は?もうこの際だから、部活前に全員でお茶行かない?」


「俺も正座は苦手なんだけど、他にも同志がいるならまぁー」


「ホント?行きましょう。私、近いうちに行こうって思ってたんですよ。一人よりもずっといい!」


「分かったよ。」



「じゃあ私は職員室に戻るから。金曜日ね。」


「はい。」




* * * * *




「これで静那がお茶の世界に目覚めたりして。」


「いや、ゲーセンの方が楽しいで。」


「女の子なんだからゲーセン以外にしようよ。“嗜む”っていう意味で一度くらい行ってみるのは良いけどさ。」



ガラガラガラ…



そこへ先ほど生徒会の所用の為、生徒会室へ行っていた西山が戻ってきた。


丁度自己紹介の話をする前くらいに一旦部室を出ていたのだ。



静那が笑顔で出迎え、西山に話しかける。


「西山先輩。先輩にも聞いてみたい事があります。いいですか?」



「どうしたの静那さん。 いいよ。何でも聞いてくれて。」



「あの、西山先輩の趣味は何ですか?」


西山は少し考えた後、答えた。


「うん、そうだなぁ…“ビデオ鑑賞”かな?」


その返答に対し、静那が自信満々に返す。


「それは“表”ですか?それとも“裏”ですか?」

『B面』では、勇一達が立ち上げた部活「日本文化交流研究部」での日常トークを描いています。時々課外活動で外出もします。

各話完結型ですので、お気軽にお楽しみください。


【読者の皆様へお願いがございます】

ブックマーク、評価は大いに勇気になります。


現時点でも構いませんので、ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂ければ非常に嬉しいです。


頑張って執筆致します。よろしくお願いします。

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