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TEENAGE ~ぼくらの地球を救うまで  作者: DARVISH
season1【B面】
70/229

3-2 接続詞

【3話/B面】Bパート

生一は短期間とはいえ作った文章問題を見せる。


分かりやすく簡単なイラストまで描いている。



「まずこの文章に入る接続詞。分かるか?言うてみ。」



静那はイラストと文章に目を通す。


イラストでは赤ずきんみたいな少女が果物を入れたバスケットを持っている。


目の前のおじさんに一個果物の中からイチゴを渡すようなイラストだ。


その下に問題文。


『女の子:“おじさん。イチゴ □ どうですか?”

おじさん:“うん。ありがとう。お礼におみやげをあげるよ”』


「ここの“□”に入る接続詞って何や思うよ?」


簡単だとばかりに静那が応える。


「…これは、“は”じゃないですか?」


他のメンバーもうんうんという感じで頷く。


「まぁそやねん。でも俺が言いたかったのは日本語の接続詞は間違えたらとんでもないことになったりする事があるって事や。」


「とんでもないこと?」


「そやで。この文章の接続詞を他の言葉に変えてみるで。

“は”を“で”にする。



『おじさん。イチゴ で どうですか?』


『うん。ありがとう。お礼におみやげをあげるよ。』



どうよ。


これで一気に印象が違ってヤバいやりとりになるんや。」


「なるほど…この文章の意味はまだよく分かりませんが、接続詞は1つでも間違えたら大変な事になると…」


「そうやで。このイチゴってのは隠語でー」



途端に仁科さんが割って入る。そして生一の胸ぐらを掴む。



「あんた!大人しく教材作ってると思ってたら何とんでもない事教えてんのよ!しかも今は1995年なんだからそんな隠語とか無いからね!」


「ヘイ!奥さん。なんでそんなに詳しいんですかねぇ?まぁ深くは聞かんが…」


「バカ!幸い周りはよく分かってないから良いけどやめてよね!コンプライアンスって言葉知らないの!“おみやげ”とか言葉にするのもダメなレベルなんだからね!自嘲しなさいよ!まったく、ビックリするわ!」



「あの、仁科先輩。イチゴっていうのは“苺”のことじゃないんですか?」


「静ちゃんは知らなくていいのよ。とにかく接続詞は注意しながら話さないと放送できなくなるレベルになるってことなの。」


「接続詞一つで放送できない…ですか。…それは怖いですね」


「文章の意味は今一つ分からなかったけど、俺達は接続詞一つでとんでもない方向に行きかねないっていうような言語(日本語)を日常何気なく使っていたということなのか?」


「白都君!そんな大層な話じゃないから。全部このバカの大げさな話なだけ!」


「バカ言うなよ。接続詞間違えたら大炎上するかもしれんって知るのも大事やぞ。」


「そうだけど例えが酷いって言うの!

バカ!もっと慣用句とかことわざみたいなものを絡めるとかマシな出題方法は考えられなかったの?

あと“大炎上”なんて言葉スラング、今の時代はまだ使われてないからね!」




あと、静那は今絶賛“慣用句”を勉強中だったのだ。



「そう考えて作ってるよ!っつたく人のコトバカバカ言いやがって。静那!じゃあこれは?」



生一が二枚目の紙を見せる。


そこにはサルのイラストと慣用句の接続詞が虫食いで書かれていた。



『サル □ 木から落ちる』



静那は今度は少し迷いながら答える。


「これも“は”ですかね。」


「違う。それやと普通の事情になるやん。サルが木から落ちるのが普通みたいになるやん。サルは普通木から落ちへんの!

でもたまーに落ちる時もある…“その道にすぐれた者でも、時には失敗することがある”っていう意味や。」


「だったら…『サル ほどのすぐれた者が 木から落ちる』って言い方でもいいのでは?」


「長いねん。接続詞やから短い言葉にしよう。」


「じゃあ、“≠”?」


「何で記号になるねん。」


この斜め上の回答には一同も笑ってしまった。


「これは“も”や。“サルも木から落ちる”な。

これよく使うから覚えといたほうがええで。まぁこういう言い方は今勉強中やったな。」



「はい!ありがとうございます、ボス。」



「じゃあ流れってのもあるからもう2~3問いこうか。これは?」


生一はページをめくり文章を見せる。



「驚きや感心で言葉を失ういう意味やけど分かるか?」


『舌 □ 巻く』



静那はどうも知らないらしい。恐る恐る言う。


「これは…“で”?」


「何を舌で巻くねん。“転がす”とかなら分かるけど。


これは“を”やで。」


「舌を巻く…ですか。なるほど!すごく驚いた時に使う言葉ですね。」





生一はページをめくり次の文章を見せる。


『頭 □ 抱える』と書かれている。


「これは悩みとかでどうしようもなくなった時に使う言葉や。分かるか?」



これには静那はすぐに答えた。


「これは“で”でしょう。」


「違う違う。これは“を”になる。ていうかなんで“で”って思うたん? 」


「そりゃあボス…頭を抱えることは物理的に無理でしょう。頭を切り離して抱えたりするってなったら、またさっきみたいに“放送できない怖い意味”になるかもって思ったから。」


「なるほど…そういう発想できたか。そう考えたら外国人からしたら難しいな…慣用句って。

夏に“○〇に春が来た”とか言うても理解できんやろうしな。

やっぱり普通の会話の接続詞をチェックした方がええんと違うか?こういうの続けてたら逆に静那の方がこんがらがるで。

まぁあと1問あるけど。」




そう言って生一はページをめくる。


最後の問題は…


『三本の指 □ 入る』と書かれていた。



「これは“全体の中のベスト3に入るとか、優れた人が少ししかいない”という意味や?習ったことあるか?まあ答えてみろ。」


静那にとってこれも初めての言葉のようで、少し悩んだ末恐る恐る答えを言う。



「これは…“が”ですか?」


「はいアウト!…ってかこれ接続詞を“が”にしたらとんでもない事になるぞ。三本も指が入っッッー」




ゴッ!

顎に凄い蹴りが入った。




仁科さんが必死に止めに来た。


「まったくとんでもない事教えないでよね。

ああぁ、静ちゃん気にしなくていいからね。この答えはねー“三本の指に入る”だよ。

例えば、“椎原さんはこの学校の中で成績が優秀。三本の指に入ります”なんて使い方をするの。どう、分かった?」



「はい。…でも“が”じゃ駄目なんですか?さっきボスが言ってた“とんでもない事”って何でしょうかね?」


「さあー何でしょうかね。まぁ静ちゃん。接続詞は知らなくていい接続詞もあるから大丈夫よ。気にしなくても。」



「そんな接続詞聞いたことねぇぞ…」言い終わるとガクッと崩れ落ちていく生一。



「一体、三本の指が入ると何がとんでもないんだろう…椎原先輩は優秀で三本の指が入る……」


「静ちゃん!!その話はもう終わりましょうッ!」

『B面』では、勇一達が立ち上げた部活「日本文化交流研究部」での日常トークを描いています。時々課外活動で外出もします。

各話完結型ですので、お気軽にお楽しみください。

※文章中、誤字がありますが、これは意図的に入れております。


【読者の皆様へお願いがございます】

ブックマーク、評価は大いに勇気になります。


現時点でも構いませんので、ページ下部↓の【☆☆☆☆☆】から評価して頂ければ非常に嬉しいです。


頑張って執筆致します。よろしくお願いします。

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