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TEENAGE ~ぼくらの地球を救うまで  作者: DARVISH
MOVIEⅠ【A面】
61/229

弾圧からの解放 ~とある東洋人の軌跡⑨

Chapter9

「チリンチリン」


風を受けてママチャリをこぐ真也。サナギ状態の静那もいる。


アジトがいよいよ見えてきた。


「これまでの流れだとどうも悪いやつがいっぱい居るみたい…。だけどまぁ八薙君がいるからな。大丈夫だろう。」



ふと八薙の事を思い出した。


高知県という日本の中の一つの県ではあるが、彼の噂は評判だった。


彼は空手においては天才的な才能を秘めていた。


中2から空手道場に通い始め、事もあろうに周りの同学年の人間をゴボウ抜きにしてしまったのだ。


その分、道場内の一部からは疎まれる結果になってしまったのではあるが…


そんな彼…


きっと葉月先輩や仁科さんを守ってくれているだろう。


そんな思いが沸き上がった。





* * * * *





処刑台の広場。


『アイツは誰だ?アイツも“日本人”ってやつか?』


広場に残った衛兵の話し声に耳を傾ける事なく、呼吸を落ち着かせながらハイキック野郎に近づいていく男がいる。


八薙だ。



さらに歩を進める。


まず視線をハイキック野郎、そしてその周辺に倒れている人間を見る。





……



!……藤宮先輩。



小谷野先輩……兼元先輩、さっきの………村の男性らしき人も壁際で倒れている。


…なぜか股間の部分にだけ土が盛られている。



でもそんな事よりも今はっきりしているのは…


4人とも気を失って倒れているという事だ。


目の前のあいつがやったんだろう。




さらに近づいていく。


仰向けになって気絶している生一に目をやる。


顔面側頭部にくっきりと足の跡がついている。


よほど強烈な蹴りを受けたんだろう…



ハイキック野郎に再び視線を戻す。


仲間が無惨に倒された現実…。


静かな怒りがこみあげてくる。




「八薙…」「八薙君…」


仁科さんと葉月が心配そうに見つめる。


出来れば逃げてほしかった。


八薙君ならもしかして…という気持ちは心のどこかにあったかもしれない。


しかし先ほどの4人の立て続けの玉砕を目の当たりにしている彼女達には、八薙に対して「頑張って!人質の皆を助けて!」なんていう言葉はとても浴びせられない。


人質としてとらえられた女性達は、彼が最後の砦なのか…というような不安な表情をしている。



まず口を開いたのは髭を蓄えた小太りの男性“アジャパ”だった。



『そうだ!お前だ。確か負けてガラスを割って逃げていったヤツ。この負け犬風情がぁ。

お前が村々の連中ををそそのかしてここに乗り込んできた首謀者だろ。大人しく逃げておけばいいものを!まったくバカなやつだ!“日本人”というのは!』



吐き捨てるような言葉を八薙に浴びせかける。


するとハイキック野郎とアジャパ、そして村の女性達からしたら意外だったが、八薙は日本語でない“ここの言語”で話始めたのだ。



『この要塞の代表である人間…アジャパとかいったな。確かに自分はあの時、負けて逃げていった負け犬だ。言い訳するつもりもない。だが…』


倒された4人の方に目をやる八薙。


『村々を巧妙に追い詰めていき、略奪をし、迫害した罪を問わんと傷だらけになりながらも必死で立ち向かっていった人間がいる。そんな同志を見捨ててまで負け犬に成り下がるつもりはない。』


「(あの子…いつの間に言葉を…)」


葉月は驚く。


自分達も牢獄に入れられていた時、やれることをやろうと少しでもこの国の言葉を覚えようとした。


でも八薙もここから脱出後、同じくらいの努力をしていたのだ。



ハイキック野郎がようやく口を開く。


『つまり…お前がその同志の思いを補うって事か?いいぜ。こいつらの中じゃあお前が一番骨がありそうだ。』


『ハンッ、バカかこの日本人は。一番後から出てきて大層な事を言いおって。おそらくこいつが今回の反逆の主犯じゃろう。殺してしまえ!』



『…だそうだ。ただ俺は10秒やる。またあの時みたいに逃げるんなら、待ってやるけど…どうする?』



八薙が睨み返す。


『日本人を……舐めるなよ!』



『やる…ってことだな。』



ハイキック野郎の目つきが変わった。



お互い円を描くように左右に静かに動きだした。


アジャパが吐き捨てるように、ネイシャさん、そして人質となった村の女性達に言う。


『ようく見ておけ!我々に逆らった首謀者の末路を。お前らを死刑にまで追い詰めた首謀者の哀れな姿をな!』



そんなアジャパの声などまるで聞こえていないような感じで、八薙は左右に歩きつつも視線は相手…ハイキック野郎を見ている。


まだ間合い外だが、既に自分と相手の間合いを模索し始めていた。


八薙にもあのハイキックの軌道が記憶に叩き込まれている。


間合いが重要なのは対峙した時から分かっていた。




円の動きをしながら距離を伺う八薙に対し、ハイキック野郎はニヤリと笑う。


『へぇ…分かってるじゃねえかよ。』


「………」


八薙は返答をしない。




ちょっと自分から攻めてやらないと“動かない”と判断したハイキック野郎は、足を止めた。


「?」


一瞬何だという表情を浮かべる八薙。


とたんに彼が一気に向かってきた。


そしてフックから入る。


早い。


しかし八薙はフックから始まるコンビネーションをかわす。


ギリギリだが交わしたのだ。


見ていた衛兵から『あいつ、寸でで交わしやがった!』という歓声が入る。


葉月も驚く。


「あの子…あんなに早いのが、まさか見えてるの?」


しかし休む間もなくパンチが左右にどんどん撃ち込まれていく。


それも全てかわしていく八薙。


だが避けてはいるが、内心避けるので精いっぱいであった。




大振りのフック!…でもそれはフェイントだった。


フェイントを交え右からの細かい突き。


そう。“細かい突き”だった。要するに致命傷になるような打撃ではない。


だがフェイントに惑わされた後、続けて無理に避けようとしたため、八薙はここで態勢を崩す。


そうである。


ハイキック野郎は、初めから致命傷となる打撃を入れるのが目的ではなかったのだ。


今までの4人のように一発で決めてやろうとは思っていなかった。


態勢を崩したのをチャンスとばかりに“魔の左ハイキック”が飛んできた。



軌道は見えていた…というより覚えていた。



とっさに右手で頭部をガードする。



そこで仕切り直し。2人に距離が出来た。




「!?」



…しかし八薙の様子がここでおかしくなる。



ハイキック野郎はニヤつく。



ガードして頭部への直撃は回避できたが、右腕に強烈な痛みが走ったのだ。


…骨折…しているようだ。粉砕とまではいかなくとも。



「あの蹴り、ガードすることも出来ないのか…まるで日本刀みたいな切れ味だな…」



ハイキック野郎の狙いはまさしくそこだった。



ガードが出来ない…となると、蹴りを恐れるあまり彼の間合い内から極端に逃げようという思考になる。


ディフェンスに意識を取られ、オフェンス(攻撃)に気持ちが進まなくなる。


なぜなら攻撃するなら嫌でも彼の間合いに入っていかないといけないからだ。



傍から見れば、やや密度の濃い打撃のやりとりをしてからお互い距離を取っただけに見えただろう。


しかしこのほんの数秒のやりとりで、八薙は心理面で圧倒的に土俵際まで追い詰められてしまった。



その心情は葉月さんだけは理解していた。


「あの子……やられる。」


「え!なんでよ。ちゃんと防いだじゃない。見えてたし。」


仁科さんが反射的に聞き返す。


「さっきの蹴り…防いだけど、手を骨折してる…そんな音がした。」


「骨折って、そんな…八薙君…。」


緊張して見ていた2人だが震え出した。



ハイキック野郎は八薙の顔色を伺う。


あきらかに間合いを嫌っている顔だ。


狙い通りと見たのか、すり足ではなく普通に歩き出す感じで八薙に向かっていった。


スタスタと普通に歩く感じだ。



「くっ!」


近づいてきた彼に反応して大きく後ろに下がる八薙。


致命的なダメージは与えられていない…しかし心理面で大きな差が出た瞬間だ。


『来てみろよ。ホラ。』


男の挑発に対して八薙は睨みつけるだけしか出来ない。


見下ろすように目の前の男は話しかける。



『言葉…分かるんだったよな?なら謝るよォ。さっきは突然近づいていって蹴り浴びせたりなんかしてさ。だから今度はお前が攻めてくるまで待ってやるよ。

ホラ。どうした?待ってやってるんだ。来いよ。それとも逃げるかい?』


睨みつける八薙。



…でも踏み込む手立てが…ない。


『ホラ…時間稼ぎでもやるのか?稼ぎたきゃ稼いでみろよ。』


尚も挑発してくる。



虐げられている村人…城門から強行突破してきたが、城門の方は圧倒的に衛兵が押している。村人達は致命傷を恐れて逃げるばかりだ。


状況は好転しないだろう…


そしてこの広場もすでに衛兵に囲まれ、自分以外の戦えるものは全て戦闘不能になっている…


「(このまま右腕が粉砕しても構わん。勝つためなら右腕の一本くらいくれてやる!)」


目を大きく見開いて態勢をハイキック野郎に向ける。



覚悟を決めた。


『ようやくやる気になったか』と受けて立つ構えを見せる。


これまでの思い…、そして恐怖感全てを断ち切って突撃した。



「うわぁぁぁあ!」


八薙決死の覚悟だ。


腰は入っていなかったがハイキック野郎は見せかけの右ストレートで出方を見る。


サッと交わし、カウンター気味に右ストレートをぶち込む。


入った!


しかし自分の右手首にも痛みが走った。


それでも関係ない!


間髪入れず左のフックを入れる。そして右のパンチ…ではなく肘鉄でのフック。


ブーメランフックのような形で頭を左右に揺らす。


そして右のミドルキックを腹部にヒットさせた。


『おぉ!』


髭の小太りは驚きの声を挙げる。彼相手にここまで正確に打撃を叩き込んだ人間は久々だったのだろうか。


さらに右ひじを上から振り上げた。


上背があるので、高さ的に当たるとすれば顔面だ。


顔面に肘を打ち込むような感じになる。


しかし打ち込もうとしたその時にハイキック野郎の反撃の蹴りが先に入った。


左わき腹だ。


今度の蹴りは、一発で戦闘不能にする蹴りではない。


吹っ飛ばす系の蹴りだ。


体重を乗せている。



肘鉄が顔面にヒットすることなく、八薙は蹴りを受けて右側に吹っ飛ばされた。


途端に女性の悲鳴が起こる広場。


もんどり打って倒れ込む八薙だが、まだ致命的なダメージを受けたわけじゃない。


すぐに右手をついて立ち上がる。


その時に右手首に激痛が走る。やっぱり骨折しているようだ。


しかし、立ち上がった時には既に間合いを詰められていた。…“蹴り”の…


ここで八薙は青ざめる。


右手の痛みにわずかに反応が遅れた。


ハイキックが飛んでくる。


その蹴りは…右だ!


右足での蹴りが八薙の左側頭部を捕えようとした。



八薙は必死の反射神経でとっさに左手を頭部に構え、ガードする。


そして後転のような形で今度こそ相手と距離を離した。



ハイキック野郎の位置を確認して起き上がる。


しかし今度は左手の自由が利かなくなった…ようだ。


状況が状況だけに今骨折しているかどうかは確認できなかった。


しかし蹴りをガードした反動で左腕がイカれてしまったようである。


状況はさらに追い詰められたのだ。



『情けないなぁ。さっきはあんなにも大口叩いていたのによォ。本当に時間稼ぎくらいしか出来ないなんてなぁ。おい、どうした“日本人”さっきの威勢はよォ。』


ハイキック野郎を見た。


打撃は何発か入った。


でも涼しい顔をしている。


右手首を骨折していたとはいえ、空手仕込みの拳や蹴りが入ったはずだ。


しかし…殆どダメージになっていない…効いていない。


どんどん心理面で追い詰められていく八薙。



小太りの男・アジャパはニヤニヤしながらつぶやく。


『アイツも残酷じゃなぁ。嫌な性格をしとるよ。』







その後の八薙は防戦一方だった。


間合いを取って致命傷の一撃を避けることしかできなかった。



圧倒的な力の差を感じる。そして打開策が見えてこない。


高知という小さな町ではあったが、自分は今までここまで完膚なきまでに押さえつけられたことは無かった。


大人達と試合をしたときでさえ、ここまで圧倒的な力の差を感じる事は無かった。


打撃がまともに通らない…受け止める事も出来ない…


じわじわと体力を削られ、防戦することしかできない現状が八薙自身には半ば信じられなかった。



後ろに下がった時、倒れて動かなくなっている3人の先輩の姿が視界に入った。


圧倒的強者…それでも彼らは最後まで引かなかったのだろう…


戦闘不能になるその一瞬まで立ち向かい続けたのだ…


自分が敗れて、死ぬ事になれば…彼らの運命も潰える…




両腕がろくに動かない中、もう一度反撃に出る。


逃げ回っていた中での攻勢だ。


左右の腕が粉砕してもいいから蹴りをぶち込むつもりでいた。



しかし、蹴りのリーチも相手の方が上だった。


カウンターのような形で逆に蹴りを腹部に入れられる。


めり込んだ分力が抜けた。


そのまま吹っ飛ばされたのだ。



まだ致命傷は入っていない…が、もう勝負の行方は明らかに分かる内容だった。


さっきから防戦一方だったし、やっと攻勢に入ったと思ったら蹴り飛ばされる始末。



人質となっていた村の女性達からはすすり泣く声が聞こえる。



蹴り飛ばされても尚も立ち上がろうとする八薙。


しかし左右の腕に力が入らず再び倒れ込む。


八薙と対峙していたハイキック野郎も気が済んだのか、腕を下げて攻めの姿勢を一旦辞める。


『まぁいい暇つぶしにはなったぜ。せっかく言葉を覚えてくれたのに死なないといけないのは少し不憫だけどな。そろそろ終わらせてやるよ。』


大きく深呼吸してからハイキック野郎は立ち上がれなくなった八薙に歩いて近づいていく。


「もうやめて!十分でしょ」


仁科さんが叫ぶ。


日本語だからなのかは分からないが、気にせずお構いなしに八薙の前まで進む。


体は完全に起き上がれてないが、片膝をつき…八薙が話しだした。



「何だ?」とばかりにハイキック野郎は歩を止める。



『俺がお前に現段階で勝てないのは認める。でもな…俺“達”ならば…負けるとは思えん!』



『何を言っているんだ?』という表情で八薙を見る。



その少し後方である。


なんと気絶した生一が立ち上がっていた。



アジャパが叫ぶ

『何だぁ?あいつは?ああ…あれは恐らく気絶してるだけだ。トドメを!』


「あぁぁ?!」


目を見開き、その小太りの男性を睨みつけた生一。



生一が蘇生した!



『ひいぃぃぃ!』


睨まれたアジャパはしりもちをつく。




八薙はもう一度目の前の難敵に言う。


『俺“達”は絶対諦めない。 俺“達”は…負けんぞ!』


その後、小谷野も兼元も意識を取り戻す。



『もう一回仕切り直し…ってワケか。』


ニヤリと笑うハイキック野郎。




ゆっくり立ち上がり、目に精気を取り戻した生一が大きな声で叫ぶ。


「おおおおおおおおおおおおおおおおお!」


凄い気迫だ。


本人に意識があるのだろうか。



その声にハイキック野郎が応じる。


『雑魚なりになんかしでかしてくれるのかよ。叫んだって何もさせてやらねえよ。』


そんな彼に照準を合わせる生一。


「い…く…ぞ…」


静かに…芯の通った声を発した後、生一は猛然と飛び掛かっていった。



その姿を見つめる小谷野と兼元。


意識は取り戻したが、体はもうとうに限界を超えている。腹部や腕に力が入らない。


その様子を見守るしかできなかった。


「なんだ、立ち上がれてるじゃんかよ…あいつ…でももう…これにかけるしかないか…」


うつろな目で見ていた。



仁科さんと葉月は、もうワケがわからない生一の蘇生に困惑していた。


「あいつ…意識あるの?」




「うがああああああう!」


生一はうわ言のようなガラガラ声でハイキック野郎に立ち向かう。


全員が無謀だと思った瞬間、生一はなんと彼に抱きついた。



これをどう見るかは分からない。


ただ、抱きついた状態だと当然ハイキックも膝蹴りも打てない。


勿論生一だって何も出来ないのだが。


「ぐあああう、うあああう!」


ガラガラ声で叫びながら抱きついて離れない。


『ウゼぇな、この害虫がぁ!』


上背がある為、ハイキック野郎は生一の顔面や腕に向かって拳を落とす形で振りほどこうとする。


肘を顔面に叩き込み、振りほどこうと揺さぶる。


顔面に肘が入るたびに鮮血が飛ぶ。


目も腫れて半開きになっているのが振りほどこうと揺らした時に分かる。


しかし生一は何かにとりつかれたように彼から離れない。


『くッ、しつこいな。このザコ!』


肘をガンガン生一の腕に落とす。


腕の力がガクッと落ちる。


しかし生一は意地でも離さない。ずっと抱きついたままだ。


更に生一の腕目掛けて上から肘が何発も振り下ろされる。


何度も腕が離れかけそうになったが、意地でも腕を離さない。



この時、小谷野と兼元は修道院の近くで3人でやっていたトレーニングの内容を思い出した。


大きな岩を脇に抱えて崖を登っていく生一のあの姿。


もうその記憶を頼りに生一は無意識に彼を掴んでいるのだろう。



『離せこのザコォォ!』


肘や拳が生一の腕や顔面にガンガン入る。


しかし尚、生一は意地でも離さない。


記憶が飛びそうになる…そんな時、頭の中で昔見たプロレス中継での実況がふと蘇る…




福澤ジャストミート郎 『形はどうであれ、勝ちたくって勝ちたくって仕方がなーーーーいッ。』



福澤さんのあの実況が脳内を駆け巡る。



福澤ジャストミート郎 『三沢はいつも言っていた。辛い時、苦しい時、いつもレスラーは自分自身と戦っているのだ。敵は、ライバル…敵は2人いる。対戦相手と…そして、自分自身であります!』



生一「あき…らめ…ない。」


うわ言の様につぶやく。


まだ意識はしっかりしている。



振りほどく方法を変えたのか、顎にピンポイントで拳を入れた。


生一の体にどんどん力が入らなくなる。


腕がほどけかける!


それでもなんとかもう一度抱きつこうとしたところを避けられバックを取られる。正式には側面に近い後ろだ。


『これで終わりだ!』


横から腕を回し首を絞めつけ、力で生一の体ごと吊るしあげた。



「アイツ…首を!窒息死させる気だ!」


「そんな生易しいモンじゃねえ。首の骨をへし折るつもりだ!」



“ミシミシ”という声が聞こえる。


首を極められ徐々に吊り上げられられていく。


次第に生一の力が抜けてきたように見える。



『無駄だ!悪あがきはよせ!』


ハイキック野郎は吊り上げた生一を見て言葉を吐きかけた。


意識を飛ばしつつ、そんな彼に向かって生一は視線を向ける。


そして何かを叫ぶつもりなのか、口を大きく開けた。


「?」


次の瞬間。


口を、歯を思いっきり「ガチッ」という音をさせて閉じる。


すると喉の奥に入っていた導火線のようなものに火が付いた。


そのまま生一が息を吹きかけると、なんと口から炎が勢いよく発射され、ハイキック野郎の顔面にモロ浴びせかけられたのだ。



生一の意識の中で再び、福澤ジャストミート郎の実況が入る!


『1997年!弾圧からの解放を目指し長く続いた戦いもッ、ついに雌雄を決する時がきたッッ!!』

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