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TEENAGE ~ぼくらの地球を救うまで  作者: DARVISH
season1【A面】
3/198

1-3 脱出

【1話】Cパート ※1話目のみ3部構成となります

誰よりも早く目が覚めた真也。


そこは病院の一室。


国境は…越えているのかどうかも分からない。


ただここがまだ日本じゃないのは確かだ。





---ここからは真也の記憶。




町の比較的大きな総合病院の施設内でしばらく滞在することになった僕ら…それは、僕「三杉 真也」と諭士さん。そしてシーナの3人。


ミシェルさんは僕らを逃がすために命がけで持ち場を引き受けてくれた。そのため生死が不明だ。


拳銃を所持した5~6名の相手をしていたのだ。


無事なのかどうか分からない。


戻って確認しに行くことなんてとても出来ない。


あの時、ミシェルさんが必死に時間を稼いでいる隙に、瀕死のシーナを諭士さんが担ぎ上げ、車に運び込み、わずかな荷物で僕らは国境を後にした。


車の後部座席にシーナを乗せ、意識の無い彼女に向かって僕はずっと叫び続けた。


シーナはその時から今に至るまでずっと昏睡状態だ。


僕は……僕は何もすることが出来なかった。


集中治療室で命を繋ぎ止めるべくお医者さん達が頑張ってくれている時も、僕は何もできずにただ待合室でシーナの無事を祈るしかできなかった。


大量に出血したシーナ、けど意識はかろうじてあった。


奇跡的に一命を取り留めた。


あんなに重傷を負ったのに生きているのは奇跡みたいなものだ。


でも彼女をこんな目に合わせたのは僕の責任だ。


僕が隠れやすい倉庫で遊ぼうなんて思いついたからミシェルさん達の助けも遅れてシーナがこんな目にあってしまった。


僕はなんてことをしてしまったんだ…




* * * * *




激しい後悔と悔しさで涙が止まらなかった真也。


ベットでずっと昏睡状態中のシーナを見つめる日々。


日が昇り…日が暮れるまで彼はずっとベットのそばを離れようとしなかった。



日が暮れた頃、諭士が部屋に入り真也を悟す。



「お腹も減っただろう。あの日の朝のクッキー以来何も食べてない。

真也君。食事をとるんだ。そのうち君の方が目を回して倒れてしまうぞ。

シーナちゃんはまだ生きてる。この管の所から栄養を取って命をつなぎとめている。だからこれ以上衰弱したりはしない。

だから真也君。食事にしよう。シーナちゃんは僕が見ておこう。」



シーナから視線を移すことなく、真也君は答える。



「でももし僕らが他の場所に行ったスキに、また奴らが…あいつらが追ってくるかもしれない。僕は怖いんだ。あれからずっと心の中であの怖い人たちに追いかけられているような感覚が抜けないんだ。

寝ててもすぐに目が覚めて……もし奴らが来て、シーナちゃんの身に何かあればと思うと……」



拳を震わせてつぶやく。



「僕は怖い……。奴らがまたすぐにやってくるかもしれないから。

日本に戻るまでは怖くて仕方ないんだ。僕は……弱いんだね…」


悔しさで打ち震えている。


彼はあの時の自分が許せなかったのだろう。


病院の窓をにらみつける真也の肩を後ろから撫でる諭士。



「そうだな…真也君はまだ弱い。でも今の年齢でそれを認められるだけでもすごいことなんだよ。

でも結果として、君があの時ありったけの声で叫んでくれたから無事逃げ延びる事ができた。

ミシェルさんが駆け付け…シーナちゃんも助かった。

そうだろう…

君がシーナちゃんを助けたんだ。」



「違う!僕がもっと強かったらこんなことにならなかったんだ。

僕…が…もっと…強かったら……強かったら……僕が弱かったからいけなかったんだ!」



溢れだす涙を拭いもせず少年は懺悔する。


どうしても自分が許せない…そこだけは譲れないようだ。


彼を暫く見つめた後、諭士は話し出す。



「分かったよ。シーナちゃんをよろしく頼んだ。不安だったら明かりはつけておいても良い。何かあったらこのコールボタンを押せばいいからね。言葉の方はこっちで対応するから。

…今の君にはもう何も言わないよ。シーナちゃんの意識が戻ったらできるだけ早く日本へ帰ろう。」



ミネラルウォーターが入った瓶を差し入れとして置き、部屋を後にした諭士。


その後も真也はずっと意識の戻らないシーナを見つめる。


ずっと…



体中グルグル巻きにされた包帯、右手肩口にはギプス。そして延々と点滴が続く状態。



近づいて彼女の手を握ってみる。


…温かい。


なんとか命をつなぎ留めているというのが分かる。


でもそれと同時に激しい後悔が襲い、涙が止まらなくなってくる。



「ごめん…ごめんね。僕が弱いばっかりに…ごめん…ごめん……ごめんなさい。ごめ……ごめん…ごめん。」


目を瞑るとあの時の悪夢が蘇る。



いつまたあいつらが自分たちを殺しにやってくるのか分からずに怖くてたまらなくなる。そして怖さのあまり目が覚める日々の繰り返しだ。



彼女を握っていたその手は……やがて震えているんだと気づく。


「(僕たち、これからどうなるんだろう…)」


不安に押し潰されそうになりながらも、その不安の狭間で一つの強烈な決意が燃え上がってくる。



「強く…なるんだ!」



怖くて何もできなかったあの時の弱い自分から決別するために。

ED曲:ふたり♪いきものがかり


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