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TEENAGE ~ぼくらの地球を救うまで  作者: DARVISH
season1【A面】
20/231

10-1 イタ過ぎた漢達

【10話】Aパート

なんで自分も行かないといけないんだ…というやや気乗りしない表情でバスに乗り込む先輩の生一。



静那はその様子を横目で見ながら、以前真也と愉士の3人で新幹線で東京へ行った事を思い出す。



「……(あのときの真也も同じように行くの乗り気じゃなかったな。同じ光景みたいで変な感じ)」


苦笑いする静那に気づく生一。


「おい!何がおかしいねん。」


「いえいえボス。元気そうで何よりだと。そうそう!“元気があれば何でもできる”って教えてくれましたよね。」


「まぁそうやな。今回は日本の文化やけど、いつか日本のプロレス界についてしっかり伝授するから楽しみにしとけよ。」


「はいボス。楽しみにしております。」



生一は格闘技やプロレスが大好きである。


プロレスラーこそ至高の存在だとよく語っている。なのでプロレスに関する話をすれば彼はご機嫌になる事を静那はこの2週間ほどで理解していた。


勇一はそんな静那を見て、彼女の対応能力の高さに驚く。



誰からも謙虚に吸収しようとする姿勢…という言い方の方が良いか。



GWゴールデンウィーク期間、顧問の三枝先生の発案で 熊本県阿蘇市で行われる全国の教師間での研修に参加することになった。


参加メンバーは、部長の勇一(白都 勇一)に静那(武藤 静那)。


そして赤点回避のために強制的に参加をさせられている生一(藤宮 生一)の3名である。


静那にとっては熊本はあまり良い思い出が無い。


おまけに恥ずかしい思い出も加わり行きづらいのが本心であった。


でも癖のある先輩2人が居てくれるのが頼もしかった。



一人は自分の事を親身になって助けてくれる優しい人。


もう一人はマイペースだけどなかなかマニアックな情報や悪知恵を授けてくれる変な人…自称“ボス”。


思い出深い熊本市に入り、バスは阿蘇方面へ入っていく。



「………」



道路をじっと眺めている静那。


車酔いしやすいタチでもないのに大人しいな…と勇一は感じていた。


なんとなくだが熊本で静那は誰かと一緒に暮らしていたんだなと感じる。


なんとなくだが、静那は以前この道を通っていた誰かを思い出しているのだろう。


少し寂しそうな横顔だったからだ。



深くは聞かないようにしようと思ったものの、複雑な表情をしていた勇一を見透かすように静那が顔を覗き込んだ。


「なにか質問したい雰囲気出してるけど…当たり?」


「え、ああ。…そのプライベートな事だから聞くのどうしようかなって。」


「静那気ィ使われてるな~」


後ろから生一がつっこむ。途中まで漫画を読んでいたが、車に酔ってきたのかギブアップして窓から風景を見ている。



「勇一、気をつかわないでいいよ。私も勇一の事呼び捨てにしてるんだから何も気にすることないよ。」


「え…うーん…う…。」


「聞きづらい?じゃあ何聞きたがってるか当てようか?…ズバリ私の事?」


「お~自意識過剰やな。」


「ちがうってボス!あくまで初めは冗談から入るのがいいって…さお先輩からのアドバイスで。」



“さお先輩”とは椎原さんの事だ。下の名前が砂緒里さおりなもので。


同じ海外からやってきたもの同士という事で、椎原さんと静那は国籍も違うし年齢も1コ違うけどすぐに打ち解け、仲良くなった。


静那からしたら、頭が良くて日本の作法も色々知ってる“優秀で癒し要素も兼ね備えた万能お姉さん”というところか。


人徳なのか、本当に静那の周りに素敵な人が集まったもんだ。



勇一は少し躊躇したが、静那に問う。


「いや、冗談じゃなくてさ。静那って以前ここで暮らしてたのかな~ってふと感じて…。いやいやただのカンだよ。カン。」


その問いに驚く静那。


「すごい!勇一。そうだよ、私。ここで暮らしてたんだ。

学校は…その、行けてなかったけど。」


「行けてなかったって、不登校だったとか…」


「おぉ~勇一さっきまでと違って大胆に踏み込むね~」


「茶化すなよ!でも静那…ごめん。不快に感じたら謝る。」



…少し間が空く…



「大丈夫だよ。不登校だったの事実だし。でもその後、介護施設のおばさんたちにすごく良くしてもらえたから…」


「なら良かったやん。でも静那なんで赤くなってんの?」


当時を思い出したのか、静那は急にモゴモゴしだした。


「それは……あたしが…その、バカな事して皆に思いっきり迷惑かけちゃって…」


うつむいて真っ赤になって震えている。



勇一は静那にも黒歴史があったんだなぁと悟る。


「ごめんなさい、勇一、ボス。この話はここで打ち切り!いいよね!」


「ああ、話してくれてありがとう。外国から高知に来る前に熊本で住んでたってことが知れて良かったよ。もう何も追及したりしないから。」



「お前どうせなんか日本語的な間違いで混乱させたんちゃうん?」


生一の問いかけに黙り込む静那。


…どうも図星のようだ。


まぁこれ以上追求しないと言ったんだし話題を変えようか…先輩として。




* * * * *




坂道というか登りの時間が長かったが、車はやっと熊本『国立阿蘇青少年交流の家』に到着した。


広場に6本のポールが立っていて、日本の国旗が掲げられている。


その下に“日本の心を学ぶ”とかいう横断幕が掲げられていて会場がこちらだというのが分かる。


今回学ぶジャンルがジャンルなだけあって、男性の方が多い。メガネの…



参加者は高校生から20代前半の大学生くらいの層で固められている。三枝先生が選考したように推薦で連れてこられるのだろうか?


簡単なRecreation(レクリエーション)を終えた3人は、講義が主に行われる“武道館”の方へ案内された。


畳の上にはすでにびっしり机を並べてくれている。


静那にとってはそれほどでもないだろうが、野郎2人にとっては何とも退屈な授業が始まる。




窓の外。


本館の向こう側にキャンプを張れるスペースが見える。


ああいう解放感あるところで寛ぎたかったよな~というのは勇一と生一、共通の認識のようだ。


「静那!講義が始まるまでにちょっとキャンプ場のあたり見に行かん?」


まだ参加者が全員受付会場に到着していないこともあり、講義開始までは時間がある。


タイムスケジュールを確認した静那は快諾してくれた。



「まず部屋に荷物置いてくる!先に行ってて!すぐ行くから。

場所はあそこでしょ?」



静那のような女性の参加者は少ない。


宿泊部屋は、食堂のある方…武道館からやや遠い位置にあるのだ。


足早にリュックを持って奥の方に消えていった静那。



「まぁあとで行く言うてるからええんとちがう?先行っても。」


「まぁそうだな。とにかく講義という名の監禁前に外の空気でも吸っとこう。」


「確かにな…ホラ、同じような考えの奴、いてはるで。」



武道館の横で煙草をふかしている大学生が見えた。


「タバコなんて体に悪そうなのによく吸うよな…生一は、まぁ…吸わないか。まだ未成年だしな。」


「ああ…俺が吸うのは…ちちだけや!」



片足上げてカッコつけてキメセリフを言ったみたいだが、全然キマッてない…


そんな返答はスルーするとして………そういえば“すぐ行く”と言ってた静那が全然やってこないのだ。




* * * * *




合宿は1泊2日のスケジュール。



勇一達が来たお昼過ぎから明日のお昼過ぎまでみっちり講義がある。


「美しき日本」という横断幕の元、気難しい先生方の講義がリレー形式で続いていく。



一番苦手な古典漢文の講義も…なんとか乗り切ったのだが、聞いているだけでグッタリしてくる。




休み時間に入った。


学生みたいなノリで、前の席にいる静那の元に行って「古典どうだった?やっぱ難しいよな~」みたいな会話をいっちょしに行こうかなと静那の机に向かおうとした。


すると、そこへズイッと2人の男子高校生らしき人間が静那の横に張り付いてきたのだ。



「なっ!…(誰だあいつ!ナンパか?静那とえらく距離が近いし…)」


何だか不穏な空気…静那は後ろからなので表情がいまいち分からない。


でも2人からの熱心なトークに対応しているのは確かだ。



そのうち男子生徒の一人が恵比寿顔になり、さらに静那の顔ににじり寄る。近い!



生一の席は勇一の隣だったのだが、この只ならぬ様子を見て生一に話しかける。


生一は授業を終え、ぐったりはしていたが耳は傾けてくれた。


「おい、静那がなんか変な男2人にナンパされてる!先輩としてここは助けに行かないとダメなんじゃないか?」


うつぶせのまま生一は答える。


「じゃあ先輩面して助けに行けよ。なるようにしかならんし、静那もそんなアホちがうやろ。」



そのやる気ない返答に、小声だけどムキになって言い返す。


「でも静那のやつ表情はここからは見えないけど、きっと絡まれて困ってるよ。多分。あの子断ったりするのは得意な方じゃないし。」


「じゃあお前が声かけに行けよ。迷惑じゃないって思うんなら。」


本当は生一にも一緒に来て欲しかったというズルさもあるが、ここは自分がヘルプに行くしかないと思った。


勇一は、意を決して静那に群がる獣のような2人の元へと歩を進めた。


これだけの事なのにもうドキドキしている。


本当に自分は小心者だと感じた。



「静那っ…その…消しゴムある~かな?俺忘れたみたいで」


勇一の言葉に3人が振り向く。


静那にちょっかい出していた2人は、見た感じ高校生のようだ。


一人はガリヒョロという感じで、もう一人は太めのゴツイ顔をしていた。


見た感じサルとゴリラみたいだ。


そしてこちらに向ける視線は、間違いなく「お宅誰ですか?」という感じの表情だ。



意を決してという程でもないが恐る恐る問う。


「その…貴方はだれ…ですか?」


「はあぁ?俺はこの子、うちの嫁の“旦那”なんですけど。」


先ずゴリラが答える。



“嫁”って何?いやいや確かに言った。“嫁”って!



すかさず細いほう、サルが反応する。


「おい、俺の嫁やぞ!何勝手に決めてんだ!」


そのセリフで2人がいがみ合い出した。


「おぉええやん。このまま2人ともバトらせといたら。」


後ろから生一。


ギャラリーになっている。



「そういうワケには、…その…静那。」


困った顔で静那の方を見る。


静那は両手を肩の位置まであげて“まぁまあ”と争う2人をなだめながら、


「その…後で話すよ。もう次の授業だから。さ。」と3人に告げる。



ハッとした。そうだ。もうすぐ授業再開だ。


静那が時計を見せると、そのサルとゴリラの争いは休戦となった。


そして席へ戻る…いや席はというと…


静那の机の左右を陣取っていた。


この2人…授業そっちのけで静那に対してアピール合戦しているようだ。


「(俺や生一ですら一応学校からの義務講習できちんと授業受けてんのに、何をやってるんだコイツらは!)」

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頑張って執筆致します。よろしくお願いします!

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