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食い違う記憶 1
食い違う記憶
二人は夕暮れの校門を踏み越えて学校の敷地内に入っていた。博が両手で構えたourPadの画面からは、緑色の矢印が消えた。
「なんだ、やっぱり何もないや」
博が呟くのを聞いて、海人が驚いた。
「何言ってんの、ハカセ。今行ってきたばっかりじゃんか」
「え?」
博がourPadを動かした。ourPadの画面が赤くなり、再び断続的な電子音を鳴らした。
「今行ってきたって?どこに」
博が海人の顔を見ると半泣きの顔をしている。博が吹き出した。
「どうしたの、泣いてるよ」
「ハカセ、今僕たちがどこに行っていたのか、覚えてないの?」
海人の表情は、冗談を言っているのではなさそうだった。
「どういうこと?」
博が真面目な顔になった。
「僕たち、今緑色の矢印に沿って進んで真っ暗な世界に行ってきたよね。ハカセがリセットボタン押したからここに、行く前に戻ってきたんじゃない」
「いや、今矢印に沿って進んで校門越えたけど、何も起こらなかったよね」
大真面目な顔で反論した博が、海人の半泣きの顔を見て考え込んだ。
「ちょっと待って、頭を整理しないと。僕たち二人の記憶が違うの?」




