↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/17

闇の中

  闇の中


 今の今まで夕暮れ時の校舎を見ていた目に入るのは、闇の中、坂の上にたたずむ建物だった。幾つかの窓から漏れる明かりが建物の存在をかろうじて伝えていた。画面を賑わせていた矢印も長方形も消えて画面は暗く静かになり、ブザー音も消えていた。


 二人は木で組まれた門の中に立っており、両開きであったろう門扉の片方は閉じたまま半ば朽ちている。二人は足元を見た。アスファルトではなく、土の上に大きな石が敷いてあった。見上げると木で組まれた骨組みが見えた。

「鳥居でもないね、古い時代の門かなあ」と博が言い、海人の顔を見た。

 海人はランドセルを背負ったまま胸の前には博のランドセルを抱えて、強張った表情で博の顔を見ている。


「後ろ、見てみようか?」

 博が海人に向かって言った。海人はこわばった表情のまま、コクリとうなずいた。二人はせーの、と声をかけてそうっと後ろを振り返った。門の外はすでに暗く、門のすぐ先を左右に横切る道がかろうじて見えた。左手の奥の方には橙色の光が集まっているのが見え、どれほど離れているのかはわからないが街か村があるようだった。しかし右手は完璧な暗闇だった。星も出ておらず黒い霧にでも覆われているかのような重い闇が立ち込めていた。


「なに、これ」

 海人が震える声で言った。

「別の時空、かな?」

 言ってしまって博はゾッとした。


 海人の表情が泣きそうになっている。

 なんとかしなければ、と博がourPadの画面を見ると、“DSSV”と画面右上に表示されている。

「バックグラウンドで動いているみたいだ」

 安心した声でそう言うと、博がDSSVと表示された部分をタップした。

 ”Continue”と”Reset”という文字が表示された。

「続けるか、リセットするか、だって」

「リセットしようよ、お願い」

 海人が半分鳴き声で、懇願した。

「そうだよね、でも」

 せっかくこんな不思議なところに来ることができたのに、と博は思った。もう二度と来ることができないのだ。


「でも、じゃなくて。帰れなくなったらどうするの!」

 暗闇で半泣きになっている海人の声を聞いて、博は”Reset”の表示をタップした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。