ゲーム画面のような
ゲームの画面のような
博がランドセルの中を見ると、ourPadの画面が光っていた。博がOurPadを手にとって画面を覗くと、カメラ画面が表示されて全体が赤く光り、黄色に輝く線で描かれた長方形が、画面の中心部分に三分の一ほどのスペースを使って表示されていた。
「うわ、勝手にアプリが作動している。やばいな、これ」
博が端末を上下左右に動かすと、電子音の間隔と音の高さが変わった。
「何かに反応してる」
博が、興奮気味に端末を校門に向けた。真っ赤だった画面が暗くなり、画面全体に広がっていた赤い色が集まって長方形の縁を形作った。端末を動かすとその縁がぼんやりと太くなったり細くくっきりと明るくなる。その赤い長方形と同じような大きさの黄色い線の長方形が、画面の中に傾いて浮かんでいる。
海人が、「これ、ゲームでよくあるパターンだよね。赤い長方形を黄色い長方形に重ねるんじゃない?」とアドバイスした。
「へー」
感心して言いながら、博は端末を少しずつ動かして赤い長方形の見え方を調整した。ブザー音の間隔がだんだんと短くなり、甲高い連続音になると赤い線の長方形がはっきりし、黄色い線の長方形と角度がずれた状態で表示された。
博が端末の向きを調整すると、徐々に二つの長方形が重なっていき、完全に重なると電子音が止まり、重なった長方形の縁取りは明るい緑色に輝いた。そしてその長方形の中心に手前から奥に向かって、明るい緑色の矢印が浮かび上がった。
「進めってこと?」
博が誰に聞くともなく呟いた。画面を睨んでずれないようにしている博の後ろから画面を覗き込んでいた海人が、画面から顔を上げた。
校門は変わらずにそこにあり、画面の中とは対照的に静かに夕暮れを迎えていた。海人は、博が地面に置いたランドセルを抱え、「進んでみようよ」と博に言った。
博と海人は画面の矢印の示す方向にそっと足を踏み出した。画面の中で奥に向かう矢印が大きくなり、長方形が広がる。端末を目の前に掲げたまま、二人はさらに進んだ。
画面の中の緑色の長方形が徐々に大きくなり、画面の縁と重なった、と思った瞬間、二人は学校の門ではなくて、崩れかけた木の門をくぐっていた。




