↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
乙女ゲームの姫に転生した元若頭、攻略そっちのけで世界を変える――ふわ姫若頭  作者: 夜嶋朔
第二章 日本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
114/137

第114話 幕末反乱軍の進路相談

 最初は、龍馬だった。


 リリアーナは机の下から一足のブーツを取り出し、そのまま龍馬へ差し出した。


「ほら。約束のやつや」


 龍馬の目が大きく見開かれる。


「姫さん……!」


「履いてみ」


 龍馬はすぐにブーツへ足を入れ、立ち上がって何度か足踏みした。


「ええ! 動きやすい!」


「海でも街でも使えるようにしてある」


「最高ぜよ!」


 リリアーナの横では、刀を肩に担いだ黒スーツ姿の清司が少しだけ目を細めていた。


「ほな、進路相談や。お前は外交と商人やろ」


 龍馬は迷わず頷いた。


「やりたいぜよ。海を越えて、国と国を繋ぎたい。物も、人も、未来も」


「ええな。アレクシスとリキュウのチーム入れ。商談も外交も、見せ方も全部学べる」


「やらせてほしいぜよ!」


「採用」


 龍馬が嬉しそうにブーツを見下ろす。


「あと、また後で来い」


「まだあるがか?」


「ある」


「分かったぜよ」



 次は桂だった。


「何したい」


 桂は静かに頭を下げた。


「姫君のもとで学びたいです。この国のことも、王宮の仕組みも、人がどう動いているのかも。すべて」


「ええやん。ほな、セドリックとバルドから学べ。王宮勤務や」


 桂が目を見開いた。


「よろしいのですか」


「お前、人を見る力あるやろ。話も聞けるし、必要なら潜れる。王宮で使える」


「ありがとうございます」


「あと、また後で来い」


「私もですか」


「あぁ」


「承知しました」



 次は高杉だった。


「何したい」


 高杉は腕を組んだまま答えた。


「若い奴らに剣術を教えてぇ。兵を育てたい。ただ戦うためじゃねぇ。守るための剣を教えたい」


 刀を肩に担いだ黒スーツ姿の清司も、静かに高杉を見ていた。


「王宮兵士、採用や。講師もやれ。若い兵、鍛えてくれ」


「やらせろ」


「頼む」


「あと、また後で来い」


 高杉の眉が動く。


「まだ何かあんのか」


「ある」


「嫌な予感するな」


「気のせいや」



 次は西郷だった。


「何したい」


 西郷は少しだけ考えてから、ゆっくり口を開いた。


「親のいない子どもたちを見てやりたい。それと、農業も続けたいです」


「両方か」


「はい。子どもたちには腹いっぱい食わせてやりたい。土に触れることも覚えさせたい」


 リリアーナはすぐに頷いた。


「孤児院、採用。農業も続行。両方任せる」


「ありがとうございます」


「お前は、そのままでええ」


 西郷は深く頭を下げた。



 最後は大久保だった。


「何したい」


 大久保は姿勢を正した。


「制度を作りたい。国が、人の善意だけで回らない仕組みを作りたいです」


 リリアーナの横では、刀を肩に担いだ黒スーツ姿の清司が大久保をじっと見ていた。


 記録。


 判断。


 制度。


 調整。


 先を見る力。


「光秀の補助、やってくれへんか」


 大久保の目が大きく見開かれた。


「国王陛下のもとで?」


「あぁ。オヤジの近くで、制度も国の動かし方も、傘下国との調整も全部覚えろ。その上で、長く使える仕組みを作ってくれ」


 大久保は迷わず頭を下げた。


「ぜひ、やらせてください」


「採用」


「ありがとうございます」



 こうして五人の進路は、それぞれ決まった。


 龍馬は外交と商い。


 桂は王宮勤務。


 高杉は王宮兵士と剣術講師。


 西郷は孤児院と農業。


 大久保は光秀の補佐として制度と国政へ。


 誰かに命令されて決めた仕事ではない。


 自分で選び、自分の力を使える持ち場へ進んでいく。



 そして少し時間を置いたあと。


 龍馬。


 桂。


 高杉。


 三人だけが、もう一度呼び戻された。


「姫さん。まだ何かあるがか」


「ありますね」


「ある」


 龍馬がリリアーナとミレーヌを交互に見る。


 桂は静かに座り直し、高杉は明らかに嫌そうな顔で腕を組んだ。


「ほらな」


「何がや」


「嫌な予感するって言っただろ」


「まだ何も言うてへん!」


 リリアーナの横では、刀を肩に担いだ黒スーツ姿の清司が三人を見ている。


 その後ろで、ミレーヌはすでに黒革手帖を開いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。