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転生したらズボンだった件

 主人公は天寿を全うして逝きました。次の人生を決めるためによくある"転生ガチャ"をやるのですが小説や漫画で見る俺ツェぇえ!!!みたいなものを引き当てることは出来ず、なんとも地味ぃなものばっかに転生します。


地味ぃなもの達なんですけど逝き方は派手で美しいのでぜひ最後まで見ていって下さい。


 多分あなたも含めて私たちは豪運を持ち合わせていないと思うので99.9999%の人は死後にこの本に共感することでしょう。

 5度目の転生。どうせまたちっせぇ石ころだろうと思いながらもガチャを回す。カコンッ。ん、いつもと違う音だもしかして、、、、、


 予想に反し、そこにあったのはただの石ころだった。ただ今までのものより一回り大きい石ころだ。


 小当たり的なやつなのか?だとしたらちょっと嬉しいぞ。。今まで、鶏卵、消しゴム、蟻、鍋敷ときているからきっとそれ以上の何かだ!

分からんがとりあえずあの天使のところへ行ってみよう!


 天使の受付へ行く。「えーっと、あなたはズボンですね〜じゃあ、あちらの光に入って、、ん?あ、これあれか。ただのズボンじゃないやつだ。少々お待ちくださいね〜」お、なんだこの反応初めてだ。「お待たせしました〜!あなたはグッチーニのズボンですね〜、少し遠いんですけどあちらの光へどうぞ〜」


 俺でも聞いたことがあるぞこのブランド。言わずと知れたハイブランドだ。きっと何かいいことが起こるのだろう。


「じゃあ、いってきまーす」天使に声をかけ光に向かう。


 目が覚めるとグッチーニの店内にいた。様々な人が買い物している。絵に描いたような小太りの社長。なぜこんな所にいるのだと心配になる若い女。初めて来たのだろう初々しいカップル。


 せっかくなら若い女か、初々しいカップルに大切に使われたいものだ。


 おっ、若い女が近づいてきたぞ。俺の前で立ち止まってマジマジと見てる。来たか!頼む!


 くそっ!惜しかった。俺と同じズボンを手に取り会計に向かった。違いは一つだけ。俺はMサイズあいつはSサイズだったのだ。あと一歩だった。自らのサイズを悔やむ。


 だがまだ諦めるには早い。若い女が買ったのを見て、初々しいカップルが近づいてきた。一応俺の柄は無地のワンポイントだから男女どっちも履くことができる。この際どちらでも良い俺を選んでくれ。


 くそっ!今回もダメだった。こいつらはSとLを選びやがった。ペアルックにするようだ。


 あといる客は、あいつだ。でもあいつは見るからにLサイズ、もしくはXL。こっちに来たとしても俺なんて眼中にないだろう。


 ゆっくりと近づいてくる。大丈夫だと分かっていてもこちらに来ると緊張する。何か悩んでいる。女性の店員に声をかけ相談しているようだ。

 

 良かった。隣のLが連れて行かれた。安心したのも束の間、俺の方にも手が伸びる。まさか、、


 そうだ試着だ。本当はLサイズを買う予定なのだろうが店員に見栄を張ってMサイズも試着しようとしているのだ。小太りの社長はそういう節がある。なんとか試着を乗り切らねば。


 俺の体に脚がとおる。はち切れないように耐える。苦しい。体が引き裂かれそうだ。なんとかお尻、腰を通す。最後にボタンが閉まればクリアだ。


 ボタンをググッとひっぱる。やばい。。ちぎれる。。さらに力が入り、引っ張る。ぐぁっ。耐えろ俺。ギリギリでボタンが閉まる。山場は乗り越えた。あとは脱ぐまで耐えるだけ、と思った。油断した。


 "チャリン"社長の指輪が落ちた。


 やめろ、やめるんだ。

 

 指輪を拾おうと社長が前屈みになる。


 限界を越した体がさらに引き伸ばされる。


 社長の指が指輪にとどく。その瞬間、俺の体が裂けボタンが弾け飛んだ。


今回の俺の人生は、53歳渡辺宰の見栄で逝った。

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