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民明書房刊 役に立たないネコのコトワザ図鑑   作者: ロータスシード


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勝軍艦敗漁船(かてばぐんかん、まければぎょせん)

民明書房刊『戦慄の海洋略奪史 ― 偽装と虐殺の航跡 ―』において、最も狡猾かつ非道な海戦術として記されているのが、**「勝軍艦敗漁船(かてばぐんかん、まければぎょせん)」**の故事です。


これは「勝てば官軍、負ければ賊軍」という、結果がすべてを正当化するという格言の、さらに一段階「えぐい」実利主義を説いたものです。かつて「百合城」の崩壊から生き延び、略奪者へと変貌した「ネコ」の乙女たちは、その戦場を陸から海へと広げ、環境適応能力(恥衣)を極限まで進化させました。


勝軍艦敗漁船(かてばぐんかん、まければぎょせん) ― 偽装する捕食者

彼女たちは、奪い取った大型の軍船に、巧妙な細工を施しました。それは、一見すると網を積み、潮の香りを漂わせた平穏な「漁船」にしか見えませんが、その船腹の内側には、かつての城塞に匹敵する重武装が隠されていたのです。


1. 「漁船」という名の毒針

彼女たちが狙うのは、防備の薄い商船や、平和な沿岸の村々でした。

水平線の向こうに彼女たちの船が現れたとき、被害者たちは「あぁ、獲物を追う哀れな漁師たちだ」と油断し、救いの手を差し伸べることさえありました。しかし、その距離が「必殺」の圏内に入った瞬間、彼女たちはその正体を現します。

挿絵(By みてみん)

「勝てば軍艦」勝てば軍艦: 獲物が格下だと確信するや否や、彼女たちは漁網の下に隠していた大砲を突き出し、漁船の帆を翻して軍艦としての「牙」を剥き出しにしました。

――その時、彼女たちは一切の容赦を捨てた「完全超悪」の捕食者となります。かつて自分たちが受けた凌辱を倍にして返すかのように、商船の乗組員を一人残らず海に沈め、物資を根こそぎ略奪する。勝者の特権として、彼女たちはその瞬間だけ「最強の軍隊」として振る舞い、傲慢なまでの威圧感で海を支配したのです。

圧倒的な武力で蹂躙し、金品から食料、そして人間までもを「戦利品」として根こそぎ略奪するその姿は、海を裂く軍艦そのものの凶暴さでした。


2. 「負ければ漁船」という究極の卑劣

しかし、この戦術の真に恐るべき点は、彼女たちが「不利」を悟った瞬間の豹変にあります。

強力な海軍の軍艦や、手強い武装船団が追撃してきた際、彼女たちは即座に大砲を海へ投棄し、軍旗を焼き捨て、再び「ボロボロの漁師」へと成りすましました。


敗ければ漁船: 追っ手が追いついたとき、そこにいるのは武装した略奪者ではなく、「嵐で遭難し、仲間を失って泣き崩れる、素っ裸に近い哀れな女たち」でした。彼女たちは自らの体を傷つけ、あるいは死んだ仲間を「不慮の事故の犠牲者」として差し出し、敵の良心に訴えかけました。


良心の利用: 「私たちはただの漁師。戦争なんて知らない。どうか、食べ物を分けてください」と、かつての「百合城」で培った「受け(ネコ)」の演技を総動員し、追っ手の戦意を挫き、あまつさえ補給まで受けて逃げ延びるのです。


3. 民明書房刊『偽装の解剖学 ― 慈悲を食らう獣たち ―』の記述

「彼女たちに『誇り』という言葉は存在しない。あるのは『生存』と『勝利』という二文字のみ。


強者に対しては弱者の仮面を被り、弱者に対しては絶対的な強者として君臨する。その船が軍艦か漁船かを決めるのは、道義ではなく、その瞬間の利益である。彼女たちの前で涙を流す者は、その涙を拭う暇もなく、漁網に絡め取られて海へと消えてゆく。」


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