表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

帰還

「力が漲る!」

バリバリと書類をやっつける店主が居た。

…ギィィィ。後ろの本棚のシークレットドアが開いた。ランタンを持った吟遊詩人が長い階段を渡り姿を現す

「おかえり」

店主は椅子から立ち上がり詩人に歩み寄った。

「私は人間ですか?」

「人間や」

「忘れ去られた英雄や神々と会った。危うくイモータルになる所でした。」

「何?イモータル?」

「私の元型は違う次元に置き去りになってはいないですか?事実私はあの次元から生還を果たし。消え去った。私は何処に居るの?」

「名無しの酒場だよ。よくぞ戻ってきた」

店主は詩人と握手した。

「何があった?」

「 また始まった。先生のオープンクエスチョン。何もかも吐き出させて。…秘めた思いまで、白状させる。」

見上げて

「怖く無かった。先生を愛してしまったことを、具現化すれば、底なしの孤独が待っている。それを分かっているから、怖く無かった。何も怖く無かったんです。」涙がぽろり。

「なんとなく、解脱しましたよ。」

ふらっと店主に向かって倒れこむ

「アラヤシキで私は漂い続ける。もう、何があっても。この世がひっくり返っても。存在し続ける。」

「科学的に言えば、命の定義なんぞはまだまだ曖昧なんだよ。お前が何を願ったか分からないけどなあ」

店主は詩人の肩に腕を回した。

「当たり前です。ちゃんと死んでみせます。死んでみせます!」

「悪人ほど長生きする。私は先生のお陰で長生きするでしょうね。でも私は先生より随分若いです。トントンでしょうか」

詩人は店主の腕の中でクスクスと泣き笑いした。

「…と、いうことで。」

店主は詩人の両肩に手を当て顔を覗き込む。

「今からマキナへ行くぞ!」

「はあ?」

あの近未来都市国家。詩人は素っ頓狂な声を上げた。

「何故マキナ?」

「お前を検査するんだ!MRIしたいの!!!」

がばっ!店主は詩人を抱きかかえると、カバンを肩にかけ、書斎から出る。勝手口の乞食に、留守頼むよーと声をかけ、何かに絶望している詩人を抱き抱えたまま。鼻歌なんぞ歌いながら、裏通りを辻馬車の駅まで。朝日眩しい中足取りは軽やかだ。

「お前はカッコイイ!お前はカッコイイ!!!」

ふるふると連呼しながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ